J-POPヒットチャート歌詞分析ブログ

現代ポップス考。(移転しました)

東京事変「群青日和」
      

群青日和
東京事変, 椎名林檎, Lorenz Hart
東芝EMI

このアイテムの詳細を見る



 椎名林檎のバンドとしての再始動一作目です。PV試聴を参考にしてもらえばわかる通り、非常に突き抜けたバンドサウンドを展開してます。どの音も全開だあって感じですけど、一番印象に残ったのは、ドラムのシンバルの耳に残る響き方。ちゃんとリズム刻み付けつつも、『新宿は豪雨』な降り注ぐ雨っぽさも出しているようで。そう見ると、キーボードは新宿の喧騒でしょうかね。

 そうした音の雨嵐の中で、きちんと存在感を切り開いてくるボーカル。声も、ちょっと毒っ気は薄れた詞世界も、相変わらずバリバリにキャラ立たせにきてますね。
 この「椎名林檎世界の構築」への偏執的な情熱が、デビュー以来コアなファンを獲得してきた大きな要因だと思うのです。

 ただ今回からは、ちょっと事情が変わってくるんじゃないかなと。今までのソロ活動形式だと、あくまでも個人によって計算された世界だったって印象があるわけですが、バンドという形式を取ることで、演奏者がメンバーとしてそれぞれに「せめぎ合う」、つまり椎名林檎個人の範囲を超えていくスタイルで行きたいのかもしれないなあ、という気がします。個人の内側で葛藤するよりも、一つの音楽を作りつつも対等にぶつかっていける仲間を設定することで、より「椎名林檎らしさ」が出せる、ということも期待できるわけですし。主張しまくるバンドサウンドVS椎名林檎のカリスマ的個性、という構図を、音から感じました。
 それぞれの演奏者の能力が高い地点で拮抗していないと空中分解してしまいそうなやり方ですが、少なくとも今作においては、椎名林檎の持ち味をまっすぐに放出できていますし、成功なんじゃないかなと。メンバーの放つ衝動の方向と強さがうまくかみ合っているんでしょう。

 詞は、一時期に比べるとぐっとわかりやすくなってますね。それでも日本語訳が必要そうなほど、凝った言い回しだらけですけど。基本的には、「あなた」と「わたし」の気持ちのすれ違い、そこからくる対話の白々しさへの苛立ち、ひとりになって行き場のなくなった思い、とまで読んでいけます。
 特に行き場のない悶々とした思いというのはこの人の得意分野なわけで、『答えは無いの? 誰かの所為にしたい/ちゃんと教育して叱ってくれ』なんて、「教育」とか独特なわりに生々しいですよね。
 で、そうした感情と、舞台である雨の東京の情景を重ねていたりもしますね。
 『突き刺す十二月と/伊勢丹の息が合わさる衝突地点/少しだけあなたを思い出す体感温度』というフレーズに注目してみます。「伊勢丹の息」というのは、きっと外に漏れてくる暖房の比喩でしょう。刺さるような寒さの街を歩いていて、デパートから温風が流れてくる、そこに「あなた」の温もりを思い出しているわけです。少し視点を変えると、「あなた」の温もりが無ければ「わたし」は常に突き刺さるような寒さの中にあるんだ、ということですね。『誰か此処へ来て』という叫びも示すとおり、他者への依存具合が非常に高い「わたし」の姿が見えてきます。

 曲のテンションも高いことですし、解釈とかあんまり気にしないで、言い回しの妙だけ楽しんで音だけ聴いててもよさそうですけどね。

東京事変
椎名林檎

コメント(3)| Track back(0) | 2004年10月04日

■ こんばんは
東京事変を最初に聴いたとき、椎名林檎ソロ時代との違いが感じられませんでした。
作曲者が椎名ではないということにも驚きましたが、メンバーに亀田誠治がいるのにサウンド面が大して変わっていない(どちらかというと初期椎名に近い?)こともまた驚きでした。
それだけ詞が強烈ってことですかね。
彼女の詞は聴き手を選ぶとは思いますが、一度惹き付けられたら離れられないですよね。
そういうところはやはり流石だと思います。
アイデアル (2004-10-05 00:55:30)

■ Re:アイデアルさん
どうもです。亀田誠治は初期から椎名林檎とやってませんでしたっけ?確か。
作ろうとしている音楽の方向性自体は、椎名林檎時代とはそうは変わってないと思います。ただ、音楽の作り方をより刺激あるようにするために、バンド結成に踏み切ったんじゃないかな、と推測するわけです。同じ演奏者でも、バックバンドとして参加しているのとバンドメンバーとしているのとでは、やっぱり重みも気の持ち方も変わってくると思うのですよ。
初期に近い感じは、確かにありますよね。デビューしてすぐの初々しさというか、野望みたいなものを、もう一度捉えなおそうという意図もバンド結成にはあるのかもしれません。
はじ (2004-10-05 02:09:06)

■ 最高
今東京事変の曲の修羅場聞いてます!
新曲★:゜*☆※>('-'*)♪オメデトウ♪(*'-')<※★:゜*☆最高です!!!!!!
まつきり (2005-11-24 20:32:46)

名前 :
タイトル :
URL :
コメント :
<< コンサートとアクセス。
                 

にほんブログ村 音楽ブログへ      
・最近の邦楽を毎日片っ端から取り上げてコメントしています。単純に好き嫌いだけでなく、歌詞中心に、ポップス全体の傾向やひいては社会の流れとかまで、一曲一曲の中からすくいとっていけたらなあと。
 リンクフリー。どの記事にでも、直リンOKです。

はじめていらした方は、こちらをどうぞ。

2006年・年間シングルチャート一覧
1〜50位まではこちら
51〜100位まではこちら
1月
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
     

     
category
近況やお知らせ。
J-POPレビュー男性(あ行)
J-POPレビュー男性(か行)
J-POPレビュー男性(さ行)
J-POPレビュー男性(た行)
J-POPレビュー男性(な行)
J-POPレビュー男性(は行)
J-POPレビュー男性(ま行)
J-POPレビュー男性(や・ら・わ行)
J-POPレビュー女性(あ行)
J-POPレビュー女性(か行)
J-POPレビュー女性(さ行)
J-POPレビュー女性(た行)
J-POPレビュー女性(な行)
J-POPレビュー女性(は行)
J-POPレビュー女性(ま行)
J-POPレビュー女性(や・ら・わ行)
J-POPレビュー番外(男女混合、企画モノなど)
J-POPレビューアルバム編。
J-POPその他。(ニュース、雑感など)
お気に入り曲紹介。
お気に入り曲紹介「夏の名曲選」(23+寄稿3曲)
メールマガジン。
漫画のこと。(雑誌)※更新停止
漫画のこと。(単行本)※更新停止
過去の日記(04/06/18〜05/04/07)
過去ログ発掘。
このブログについて。
メールマガジン発行しています。
詳しい内容説明は、こちらで。
メールマガジン
『現代ポップス雑考。』
めろんぱん ↓E-mailを入力


↓現在の注目CD&本。(2/4更新)


柴田淳
HIROMI

淡々とダークな作風は、
2007年も健在の模様。
今回も、決して取り乱すことなく
ドロドロの本音を聴かせてくれます。


salyu
TERMINAL

作詞に一青窈 が加わったことで、
透明な世界に徹した1stよりも
輪郭が濃くなった印象の2nd。
「to U」のソロ版も入っているけど、
あんまり必要なかったかも…?


bonobos
Standing There〜いま、そこに行くよ〜

今年の自分を振り返ると、
この手のゆったり感のある
心地よいリズムがツボでした。
PV丸ごと試聴もあります。
なかなか感動的で後を引く。


メレンゲ
underworld

前々から薦められていたバンド、
PVフル試聴あったので聴いてみました。
雰囲気、かなーり好きな感じ。
映画タイアップの関係もあってか、
田中麗奈使いすぎな感じだけど、
それだけ押したいのもわかるかも。


あずまきよひこ
よつばと!6巻

読んでいるとほっとする上に
文句なしに笑えるという稀有な漫画。

bookmark
ことばのすきま。
このブログの本拠地、管理人のホームページ。スピッツ全曲紹介更新中。
落書きだらけの夢
どこよりもマニアックなスピッツ全曲解説と+αの、管理人の別サイト。
独りごと以上エッセイ未満。
日記用ブログ。こことは文体変えてます。ちょっとマジメ、ちょっとカッコつけ気味。


ORICON STYLE
言わずと知れたオリコンチャート。
ミュージックマシーン
音楽系情報サイト最大手。邦楽の情勢をつかむには欠かせない。
うたまっぷ
歌詞掲載サイト。無料で検索できます。レビューで興味持ったら是非調べてみて。
歌ネット
歌詞掲載サイト。こちらも無料ですが登録制。レビューで興味持ったら是非調べてみて。
J-POP CRAZY
90年代から現在までのポップスアルバムのレビューが質・量共にすばらしいです。必見。
今日の歌謡曲+α
最近の曲から懐メロまで、年代の幅広い曲層を日々紹介してらっしゃいます。
htpr
J-POP試聴情報を集めているブログ。管理人はもしや、あの人…?
覆面Z@ORICONチャートをゆく
毎週のセールスランキング予測と結果の考察、その他音楽コラム多数。最新ヒットチャート動向を知るならここです。


まだまだある!お勧めブックマークはこちら
その他のお勧め音楽レビューサイト・音楽以外のお気に入りサイト紹介を、別ページにてどっさりと。


SPITZ OFFICIAL WEB SITE
スピッツ公式サイト。有料の会員専用ページがあったり、充実してます。試聴有。
THE BOOM MUSIC GALLERY
THE BOOM公式サイト。日本語入れて五ヶ国語での記事を展開。世界に広がってます。試聴有。
www.grapevineonline.jp
グレイプバイン公式サイト。事務所の方より内容良し。試聴ない代わりにメッセージやレビューなど文章多め。
ACIDMAN
ACIDMAN公式サイト。曲世界を反映させたデザイン構成。曲試聴はPVでどうぞ。
archives

音楽系サイトブックマーク新着。

Blogpeopleのリンクに登録      

     


トップページへ戻る
ログログシール
ログログシールです。
ミクシィにおける「足あと」みたいなものです。

powered by news handler and seven ten design