少々読み難いですが、「いさやま みお」さんです。
この「月のワルツ」は去年の秋に「NHKみんなのうた」で放送された曲で、いかにもそんな感じの、メルヘンタッチな幻想性でできています。
作詞は湯川れい子。古くはアン・ルイス「六本木心中」やエミー・ジャクソン「涙の太陽」、松本伊代「センチメンタル・ジャーニー」などなど、最近だと中島美嘉「火の鳥」や美勇伝「恋のヌケガラ」を手がけている、けっこうすごい人です。
テンポ速い三拍子のスイングに乗って、『こんなに月が 蒼い夜は/不思議なことが 起きるよ』と歌い、迷い込んだ見知らぬ場所では、摩訶不思議な宴が繰り広げられる・・・といった、「不思議の国のアリス」なんかに代表される、オーソドックスな幻想譚の形をとっています。『タキシード姿のうさぎ』なんかはありがちな感じですが、『虹色タイツのかぶと虫』って、どんなんだろう。
とまあ、ステレオタイプなばかりでもなく、「みんなのうた」ではトラウマソングとして名高い「メトロポリタン美術館」「まっくら森のうた」のように、ホラーな方向にも転がっていない、なかなか均整の取れたバランスだと思います。
で、ちょっとしたポイントは『(貴方を)待って 待っているのに』『確かな愛が欲しい』など、幻想の宴に終始せずに「貴方」の愛を求めているところ。自分は「みんなのうた」見てないんでわかんないですけど、ちょっと主人公の年齢は「不思議の国のアリス」より高め、少女というよりは大人の女性をイメージしているのではないかな、と。
さらに、『「月の宮殿(チャンドラ・マハル)」の王子様は/貴方に似た 瞳で/笑う』とあるところからすると、ある「月の蒼い晩」に恋人に対して少し不安な気持ちを抱いた女の人の夢、と推測することができます。まあこういう曲はひとつの正しい答えがあるわけじゃないので、ひとつの解釈ですけどね。小さな女の子の冒険のおはなしでもいいし、「貴方」は実在しないもっと漠然とした「何か」なのかもしれないし。心地よい「夢うつつ」を描いている歌なんだから、あんまり細かいことは気にせずに、浸ってしまったほうが楽しいでしょう。
ちなみに、カップリングの「坂道」を妙に気に入ってしまってまして。
落ち着いたピアノバラードにちょっと弱気な「僕」という取り合わせが柴田淳「ちいさなぼくへ」っぽく、さらに『だんだんだんだん・・・』と静かに膨らんでいく柔らかい声が素晴らしいです。個人的名曲認定。
諫山実生
コメント(0)| Track back(0) | 2005年01月20日
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