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現代ポップス考。(移転しました)

BUMP OF CHICKEN「カルマ/supernova」
      

カルマ / supernova

トイズファクトリー
BUMP OF CHICKEN, 藤原基央

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<「物語」に縛られない広がりと、その上であえて「物語」を構築するしたたかな表現力>

 バンプの両A面シングル。それぞれ順番の違うバージョンがありますが、今回はレビュー記事の構成の都合上、こちらで。
 ぱっと聴き、「カルマ」は従来のバンプらしいどこか無骨な疾走感ある曲、「supernova」は「ロストマン」や 「プラネタリウム」の流れを汲む、叙情的な側面を持ったミディアムナンバーかなという印象でした。
 さて、実際のところはどうでしょうか。見ていきましょう。

 物語性を帯びた歌詞と、それを語っていくうちに何らかのポジティブな解答を導き出していく、いわゆる「バンプらしさ」が出ているのは「カルマ」のほうです。
 今回は、『ガラス玉』=「僕ら」の置き換えが基盤にありますね。そして、その「ガラス玉」のための居場所として『ひとつ分の陽だまり』が設定されています。『存在が続く限り 仕方無いから場所を取る』ガラス玉は、転がり、互いにぶつかり弾きあい、その暖かな光を得ようとします。それぞれのエゴのために傷つけあい奪い合わずにはいられない、そんな哀しさをこの歌詞世界が示しています。
 しかし、そんな醜く哀しい争いから得られるものがある、彼らはそう歌います。『汚れた手と手で触り合って 形が解る』つまり、ぶつかり合うことで初めて争いあう相手を知ることができる。透明なガラス玉は『鏡なんだ』、つまり自分をも省みることができる、そう伝えています。
 ぶつかり合う、奪い合うのではなく、触りあう、『出会う』ことで、『一人分の陽だまりに 僕らは居る』『僕らはひとつになる』という理想的な「居場所を分かち合う」姿になることができる、と歌っているわけです。

 寓話仕立てになっている点、その中で「理想から外れた状態」からスタートし、自ら気付いたり他者から教わったりを重ねて「ある理想的な形」を高らかに宣言するところまで持っていく…という点は、バンプの王道的楽曲の持つ特性と言えるでしょう。
 しかし、たとえば架空の存在を用いていないこと、そして『記憶を疑う前に 記憶に疑われてる』『同じ悲鳴の旗を目印にして』辺りから聴き手に対するさりげないアピールを感じることなど、やはり当初よりも閉鎖性や内向性が薄れてきたなと。そして、自らのパブリックイメージに沿って、技巧的に「物語」を作っているといった感触をこの曲から受けました。
※こう書くと誤解されやすいんですが、それが「悪い」と言ってるんじゃないですよー。ここ最近の音楽のメッセージがみんな「ナチュラル派」志向だったせいか、どうも聴き手側に「作る」ということに対してマイナスのイメージが蔓延している気がします。

 そういう「カルマ」の印象を裏付けるのが、もう一曲「supernova」の存在です。こちらはさらに物語性が薄まり、「〜すると、〜とわかる」という、状況の仮定を繰り返すにとどまっています。全体を見ると「君と過ごした時間は、もう戻ってこなくなってその大切さがわかる」という背景が浮かんできますが、上に示したような「理想」への導線はなく、また「プラネタリウム」や「車輪の唄」のようにストーリーがあるわけでもなく、『本当の大事さは 居なくなってから知るんだ』というようなことを、ただ淡々と確認しています。
 考えてみれば当たり前のことを、改めて取り上げ、ひとつひとつ確認していく。もちろん最終的には「君を失った」切なさに集約されていこうとするのですが、実際のところはかなり取りとめのないつぶやきになっています。でも、そんなつぶやきひとつひとつに、心を動かされた人も多いのではないでしょうか。『本当のありがとうは ありがとうじゃ足りないんだ』『誰の存在だって 世界では取るに足らないけど/誰かの世界は それがあって 作られる』などなど、取りとめなく淡々としたつぶやきは、淡々としたテンポとリズムの中で、確実に聴き手に積もっていきます。
 こういう一見地味だけどボディブローのように響いてくる曲を作るようになったというのは、確実にバンドの成長を映しています。また、「物語」や「比喩」の枠組みを用いずとも詞を書けるようになったことも、広がりと見てよいと考えます。今まではたいていどの曲にもはっきりとしたプロットがあり、そこに沿って言葉が詰め込まれていたものですが、今回はやや無軌道にフレーズを並べていたり、また言葉を入れず「ラララ…」と歌い上げたりと、伸び伸びとしてきたように感じました。
※今までも「wow〜」とか「ラララ…」とか言葉にならない箇所はありましたが、それってどちらかというと「言葉にした部分だけではまだ言い足りない」から生じた要素だったように感じます。今作は、そこまで前のめりではなく、あえて言葉にしない、言わないでおこうという余裕が感じられました。

 と、「あえて物語を作らなくても詞を書ける」ようになったと「supernova」で感じたゆえ、「カルマ」は物語を紡ぐ手法を「選んだ」というような手ごたえを感じたわけです。あくまでも個人的な見方ですが。


 活動が続くと、どうしても変化が気に入らないファンの方も出てくるものですが、バンプに関しては(毎回言ってる気がしますが)非常にいい方向へ変化してきていると感じています。確かに昔のほうが純粋に「濃かった」気はしますが、閉鎖性の薄れた今でも「閉鎖環境」→「外へ」というベクトルを忘れずに紡ぎ続けようとしつつ、広がりも得ていく、そんな心遣いとバイタリティを感じるからです。
 あとはメロディと楽曲の幅がもっと広がれば…というところでしょうか。演奏はずいぶんうまくなりましたし、まだまだ伸びる可能性はあるんだろうなと。

 やっぱり、以前までの曲に続きまたしても長くなりました。でも今回は2曲だったんだし、コンパクトになったほうかな。

BUMP OF CHICKEN

コメント(0)| Track back(0) | 2006年01月15日

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