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現代ポップス考。(移転しました)

YUKI「メランコリニスタ」
      

メランコリニスタ
ERJ
YUKI, Yoku, Kaztake Takeuchi, Katsuhiro Idomoto, Emma, Taro Kawauchi

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<何もかも忘れて踊ろうとする刹那の衝動と、すべてと繋がり受け入れようとする巨大な衝動>

 思わず体が動く4つ打ちのビートと弾むダンサブルな曲調が示すように、また ひたすら踊れる曲を作りたかったという本人の弁もあるように、歌詞には、基本的にほとんど意味はありません。
 もちろん想像するのは自由です。断片的で不思議な言葉たちのウラをとろうとするのはそれはそれで楽しいです。が、たとえば『浮気をしました』なんてフレーズからストーリーを考えるのはやっぱり違うかなあと思ったり。
 この曲で大事なのは、あくまでも、雰囲気です。浮気した、なんて問題発言をさらりと言ってのけてしまうくらいの軽さ、いちいちそのフレーズで立ち止まらずに『魔法の音に乗せて 輪になって/ラーイドオーン!』と突き進んでいってしまうくらいの勢いやノリ、そんなものを感じられればいいのかなと思うのです。

 『メランコリニスタ』とは、女の人の名前として作った造語なのだとか。メランコリー(melancholy=憂鬱な)をベースにした名前を持つ女性は『静かなハイで眠れない』。一方、フランチェック(frantic=ひどく興奮した)がベースとおぼしき『フランチェックベニスタ』は、『フライパンの上で眠らない』。飛び跳ねている、というようなイメージでしょうか。
 静かに興奮する人も、派手に興奮する人も、みんな分け隔てなくまとめて踊ろう。意味なんて求めずに…そうやって、ただ立っているこちらの心をざわつかせ、同じステージに上げようとしている、そんなふうに感じます。

 『ベースのリズムに あわせ』とか『キック アンド スネア』など、何かと鳴っている音に言及しているのも、また「生の呼びかけ」っぽさを出すひとつの要因になっています。CDの中でも「この音楽に合わせよう、いっしょに音楽を感じよう!」と同化を訴えかける力が作用するんですね。
 曲中でもっとも求心力のあるサビの頭が『コーラス渋いビート刻む』と曲自身の指摘に向かっているのも見逃せません。これは、そもそものこの曲の特徴を如実に表しています。つまり、ふつうは「曲を通して、聴き手(外側)に向かって何かを訴えかける」のに対し、この曲は「曲の中で完結していて、そこに聴き手を引き入れようとする」んだ、というような。
 「ride on」「sister&brother」「rollin'!」などがカタカナ表記になっているのも、気取るんじゃなくわかりやすさ・親しみやすさを出して引き込もうとする表れなのかなと。


 とりあえず、意味なんて込められていない歌詞だとしても、いろんなことがわかります。こうして考えていくと、「余計なことは考えずに踊るために作った」この曲は、ただ独りきりで踊るのではなく、誰も彼も引き込んでしまいたいという気持ちでいっぱいなのですね。
 あるいは、melancholy、frantic、『逆さになって 裸足になって』など、極端でも何でもあり、どんな感情や行動さえも混ぜこぜにして受け入れてしまいたい!という気持ちも見えてくる気がします。
 誰とでも、どんな気持ちも、ただ何もかも忘れて踊ろう…刹那的な感情の中に、どこまでも繋がって一体化していたい、というような究極の衝動があるように感じます。


 そして。
 「踊るための曲」なんだと本人も言っているしガンガン指摘しましたが…この曲、そのものズバリ「踊る」という言葉は、実は1回も出てきていません。
 それでも、こんなに伝わってくる。
 いやはや、表現力ってスゴイですよね。

YUKI

コメント(0)| Track back(0) | 2006年03月10日

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