<閉じこもった閉鎖的なロマンティシズムから、現実の中で夢を抱え続ける決意へ>
バンプの歌詞には昔から一貫して物語性が色濃く出ている…というのは、みなさんすでにご承知の通りかと思います。最近でも、離れ離れになる二人の情景を自転車と電車でつないだ「車輪の唄」なんてのは、ちょっとした短編小説のようなお話が展開されています。
物語性はそのまま自己完結性につながり、やや閉鎖的な世界を構成している、とも言えます。初期の完全に「自分自身を見つめなおす」ためだけにある、閉じきっていた箱庭の中のような詞世界から、「天体観測」〜「ロストマン」の期間における「君」の喪失を経て、だんだんと外側に開いてきている傾向にある…てな考察に関しては「オンリー ロンリー グローリー」の記事を読んでください。
※注意:「車輪の唄」「オンリー ロンリー グローリー」の両記事はともに超絶長文です。しかも、まとまりに欠けてます。取り扱い注意です。
と言いつつ、今回も、そうとう長いですが…
この歌は、四畳半の狭い部屋にプラネタリウムを自作する、というお話です。まあ照明を床に置いて黒い布にぽつぽつ穴を開けてとかで、意外と簡単にそれらしきものは作れるんですよね実際。や、作ったことないですけど。ともかくそうやって作った、現実から引き離してくれる「架空の宇宙空間」で、デタラメに開けた星に『恥ずかしい名前付けた』わけですね。
さて、この「恥ずかしい名前」とは何でしょうか。歌詞を追っていくと、こんなフレーズがあります。『四畳半の片隅には ここにしか無い星がある/傷付かず傷付けないままで 君をついに閉じ込めた』この文脈から察するに、「ここにしか無い星」に「君」を投影していると考えられます。つまり「恥ずかしい名前」とは「君」の名前、ということになるわけですね。
さて、この「君」は単純に考えれば「僕」の片想いの相手、と解釈するのが一般的ですね。そうではなく、字義通り「君」とは自分の開けた「星」そのものを指すんだ、とも考えられないこともないですが、しかしそれならば「傷付かず傷付けないままで」という表現が浮いてしまうことになります。
現実ではとてもできないけれど、このプラネタリウムの中の君(=名前をつけた「星」)ならば、たやすくつなぎ止めておくことができる…という解釈が、いちばんスマートかなと思います。でなければ、現実では傷付けあう可能性がある、ということを暗に示している意味がありません。
ここまで見ていく中では、解説するまでもなく、非常に閉鎖的な詞世界になっているのがわかるかと思います。これをロマンティックと称するか暗い奴だと感じるか、それはバンプを好きになれるかなれないかの境界線にもなってくるとは思いますが、とにかく現実をシャットアウトして幻想的な空間を作り上げている、という点は押さえておきましょう。
四畳半の宇宙空間の中で「僕」は「君」をいつでも眺められる、手の届く位置に置くことに成功します。しかし『近づいた分 遠ざけてて』とあるように、閉じ込めはしても触ろうとはしません。まるで姫をさらっておきながら何もせず監禁しておくゲームの悪の親玉みたいです、というとちょっと違いますか。
でもふとした弾みで「僕」は「君」の星に触れてしまいます。そして、プラネタリウムの魔法は解けてしまうのです。人の手が星まで届くはずがない、そして「僕」が「君」に触れられるはずもない…「現実には不可能なこと」をしてしまったために、その世界が現実ではないことを、改めて認識せざるを得なくなってしまうのですね。
そうやって「僕」は、現実の世界に帰ってきます。ちゃんと現実に戻ってくるあたり、昔よりも成長したなあという気がします。(初期だったら、プラネタリウムの星が「僕」に語りかけてきたりとかしそうです。それはそれで名曲になったかもですが)
とはいえ、『実在しない星を 探す心が プラネタリウム』とあるように、現実にあっても常に夢見心地でいることを讃えているあたり、やっぱり「夢」を追いかけるバンプらしいなあ、というところでしょうか。
ええと、曲のほう行きましょうか。
シンコペーションが連なる、するすると流れていくメロディラインによって、やわらかい雰囲気が出ています。これはバンプとしては、かなり画期的だなあと感じます。今まではどちらかというと、がっちりめのラインを作ってきた印象があるので。この辺りはあとでメルマガで検証しましょう。
こういうノリの曲はゆったりとして好きです。もっと激しくなきゃ、ってファンも大勢いるんでしょうけれど、幅が広がってきたことの表れだと個人的には感じられますね。ちょっと残念なのは、サビの高音があんまりキレイじゃないところ。ここもすぅっと歌ってくれたらよかったのですが。
今回も長くなりました。
バンプは歌詞についてあれこれ書きがいがあるので、楽しいです。…そのぶん時間かかりますけど。
BUMP OF CHICKEN
コメント(6)| Track back(0) | 2005年09月22日
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