<ファン視点で構築される「男どうしの友情」のイメージ>
「僕のキモチ」「5センチ。」とリリースを重ねてきたデュオ・WaT。前2作が甘めな雰囲気のあるポップな楽曲だったのに対し、今作ははじめこそしっとりしているものの、すぐにアッパーなテンポで軽快に進んでいきます。
ごく普通のサマーチューンかと思いきや、実は失恋ソングなんですね、これ。フラれた男二人でヤケになってはしゃぎ回っている、そんなシチュエーションです。
同じ失恋の心の傷を癒すといっても、女どうしのDreams Come True「サンキュ.」とはえらいテンションの違いです。まあドリカムのこの曲の相手は男友達だという解釈もありますが、とにかく『恋人たちで溢れる砂浜/僕ら微妙に浮いてるかも』なんてバカなシチュエーションに飛び込んじゃうのは、やっぱり「男どうしだから」ですよね。こういう振る舞いができちゃう男の友情っていいもんです。
…って、ちょっと待ってください。よーく考えてみましょう。
実際に女の子にフラれた『負け組同士』だからって、わざわざ男二人で海行くかなー。少なくとも自分は行きませんし、行っちゃいそうな知り合いも浮かんできません。それは単に自分の周りにいないだけ?そうかもしれません。本当はダブルデートのはずだったとかじゃ?だったとしても、テンションは上がんないよなあ、きっと。上がるとしたら、次の彼女をゲットするためにナンパ目的で行く、とかしか考えられないわけですが、『僕ら単純ふたりバカやって/カラ元気でも強がってても楽しもう』と言っているあたり、そういう気配もありません。
あ、別に現実感がないとか非難しているわけじゃないです。だって、このヤケ起こした男二人の海水浴は「ありそう」なシチュエーションだ、って感じている人は多いと思うのです。
このノリは、ドラマや漫画に出てくる男子のノリに近いんじゃないかなあと。さらに言うと、女性視点からの「男の友情」に当てはまるのでは、と思うのですがいかがでしょう。つまり、いつもつるんでいてバカなこともやっているけど、お互いにすべて曝け出している絆の深さ、みたいな、憧れを含んだ視点です。女の子には割って入ることはできないし、女の子どうしにはない種類の友情、というようなイメージですね。
実際には、確かに女の子どうしの友情とは質の違うもんだとは思いますが、そんなにキレイなもんじゃないんですけどね。男どうしでは、女の子には聞かせられない猥談とかもしているわけだし。それにやっぱり、ディズニーランドに男二人では行かないように、海にもまた男二人では行かないもんだと思いますが…とにかく、「男どうしの友情って、バカだけどいいもんなんだよ」という風に描いているこの曲は、男どうしの友情に憧れを抱いている女の子にとっては、疑いなく受け入れられるし、とても魅力的なシチュエーションなのだと思うのですよ。
そしてそんな女の子層は、歌い手の二人がどちらも、そしてその二人の関係が好きな(BL要素含む)ファン層に、思い切りダブってくるわけです。
この曲のバカなノリとテンションはウルフルズを思い出しますが、実際には似て非なるものです。もしウルフルズが同じシチュエーションで曲作ったら、きっと男二人で水着の女の子を目で追う、みたいな歌になることでしょう。そうならないのは、この曲が「バカだけど憧れる男の友情のイメージ」で描かれているからではないかなと。
当初から主張しておりますが、彼らの大きな強みは「自己プロデュース力」なのですね。ファン視点から「イメージとしての男の友情」を描いて見せるのといい、また『子供みたいに日が暮れるまではしゃぎたい』あるいは『孤独を楽しめるほど大人じゃないし』などと無邪気な少年らしさを強調するのといい、また『心の奥でつかえてたもの溢れだす』などと切なさも忘れずトッピングしてくるのといい、自らにどうしても求められるアイドル性をきっちりと受け止めているなあと。
別の人がこういう曲を作っていると、どうしても歌わされている感が漂ってしまうものですが、彼らの場合は自分で作っていたり、本人達もまったく仲が良くて無邪気そうで、とこの曲に反しない印象を与えていたりするので、全然不自然じゃないんですよね。
ちなみに「Hava Rava」とはウエンツ瑛士が考えた、特に意味はない響きだけの造語なのだそうで。なんかハワイとかにありそうな語感なので、てっきりそうだと思ってました。
WaT
コメント(0)| Track back(0) | 2006年11月08日
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