<伝えようとするあまり、ネコの視点からあふれ出してしまった作者の主張>
ネコの視点で描かれている、ミディアムテンポの一曲。
アップテンポでもバラードでもない、こういう曲をリリースできるようになった、というのは、ひとまずの彼女の安定を見ることができるでしょう。それはスタイルの広がりであったり、ランキング的地位の確立であったり、「安定」といってもいろいろあるわけですが。
まあ、今回はかなりコンセプチュアルな内容で、その点で話題を集められた部分があるので、本当に正攻法でミディアムテンポを歌った、というと微妙なところですが。
その肝心のネコの物語ですが…うーん。う〜ん。
ちょっと評価できないですねー。これは。以前のシングルに絵本がついていたりしましたが、あれの内容もこういう感じだったんでしょうか。うーん。
1コーラスのメロとかは、けっこういいんですよ。『気づけば ネコ科の なんとかっていう種類にわけられてた』とか、ちょっとした皮肉っぽさになってますし。
でもそれがだんだんエスカレートしてって、なんだかちょっと説教臭くなっちゃってるんですよね。や、メッセージを込めるんなら込めるで全然構わないんですけれど、その方法がちょっと稚拙かなあと。
それは、せっかく「子猫」という題材を使っているのに、そのイノセントさ、純粋さを生かしきれていないんじゃーないかなという点。まあ、かわいーと寄ってくる人間に対して『バカじゃない?』と投げかけるような蓮っ葉なキャラクターではあって、それはそれで面白いんで微妙なところではあるんですけれど。
でも、たとえば『自分勝手な奴らが 毎日 ゴミを 捨てる』と言ったりしますが、1コーラスでは自分がネコということもよくわかっていなかった子猫が、「ゴミを捨てる」ということを「自分勝手」と断言しているのは、ちょっと不思議です。なんか汚い、臭いものを捨てる人がいる、くらいでよかったのではと。そういう「よくわからないけれど、イヤなことをする人がいる」という視点で世界を語ることができるからこその「子猫」なんじゃないかなと思うわけでして。「自分勝手な人」というのは、作者の意見が生で出てきてしまっているような感触がして、ちょっと萎えてしまいます。
同じことが『こんな 暗い 世界にも』という一語にも見えますね。子猫の思い、というよりは描き手の主張になっちゃっているなあと。「こんな薄暗い路地裏でも」とかだったら、まだわかるんですけれど…メッセージを曲中に込めようとするあまり、いろいろちぐはぐになっちゃっている感じがします。
試みとしては面白いと思うので、絵本にして特典とかにせず、こうして曲で表現していくのはアリなんじゃないかなと。あ、でも、まずはもうちょっとお勉強して完成度を上げてほしいかもです。
大塚愛
コメント(3)| Track back(0) | 2005年09月05日
|