J-POPヒットチャート歌詞分析ブログ

現代ポップス考。(移転しました)

BoA「Winter Love」
      

Winter Love

エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ
BoA, Natsumi Watanabe, ats-, Emi K.Lynn, Takuya Harada

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<消えない強い想いも、前に進む強い決意も、どちらも強く主張する>

 冬は一般的にバラードが多くなる季節ですが、BoAは一昨年の「メリクリ」、昨年の「Everlasting」に続きまさに典型的なリリースを行っています。

 BoAのバラードの特徴は、しっとりながらもメロディがわりと泥臭いところ。今回も、細かい譜割りになっているメロディラインとはいえ、サビなんかはどこか懐かしい歌謡曲の響きがします。
 基本的に頭拍重視の進行なんですよね。最近はR&B系の、裏拍を多用するリズムで進行する曲も増えていて、どちらかというとそっちのほうが現代的な香りがするんですが、そうじゃない。わかりやすい、耳に残りやすい旋律を選んでいる感があります。

 さて失った恋を歌う内容ですが、『忘れなくてもBaby好きでもいいですか?』とかなり強い感情がまだある模様。ただし、それは「未練」とはまた別種の感情のようでして。
 『あなたで良かったって心から言えるよ』とか、「あなた」への強い気持ちはあるものの、それが未練とか後悔とか、マイナスの感情にはどうも繋がっていないんです。「あなた」が忘れられない一途さも、その二人の日々を糧にこれからも進んでいこうという強い決心も、両取りしようとしているんですね。その貪欲なポジティブさはすごいなと思いつつ、ちょっと無理があるような気もします。
 会いたい、とも言ってはいますけど、またやり直したい、という感じではないんですよねー。『約束した映画の長い列に 二人してもう並ぶ事はないの』と断言しながら、それでも想い続けるというこの状況の「切なさ」に浸っている、そんな感があります。

 ま、これはこの曲に限ったことではなく、最近の失恋ソング全般に言えることなんですが。
 消せない想いを切々と歌い上げるのが「未練型」だとすると、その終わってしまった恋の思い出を力に変えて進んでいこう、ときっぱりと前を向くのが「ポジティブ型」。未練型は聴き手をどっぷりと感情移入させられる一方、ウジウジしていると反感も買ったりする。対してポジティブ型は前向きに元気付けてくれるものの、共感のボルテージは「好き」という感情を募らせる未練型にはかなわない部分があったりして。
 この曲なんかは、そんなふたつの傾向のまさにいいとこ取りをしようとしているわけです。『会いたくてキスが100億の雪を伝うの』と、雪に絡めてドラマチックに「あなた」への冷めない想いを歌う一方で、『時が流れて 違う恋してもあなたを想い出すでしょう』と「違う恋」の礎として「あなた」の記憶を足場にしようとしているんですね。

 個人的にはちょっとそりゃ無理があるんじゃないの?と思いますが、まあ矛盾する感情を同時に孕んじゃったりするのが人間の面白いところですし、細かいことに目をつむれば「まだ好き」という強い感情に浸れつつポジティブさも得られる豪華な歌だとも言えるので、そのあたりは各自のご判断でどうぞです。


 それにしても、どうしてこんなに平凡なタイトルを付けちゃったんだろう。漠然としすぎていて曲の内容を的確に示しているとは言いがたいですし、せっかく歌詞にも登場している「100億の雪」というインパクトあるフレーズを付けることもできたのに。

BoA

コメント(0)| Track back(0) | 2007年02月06日

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