ブルーハーツの全盛時代を、自分は知りません。このTHE HIGH-LOWSが活動を始めたころに、ようやく邦楽の世界に興味を持ったくらい。それ以前はまったく音楽と縁のない子供だったので、「リンダリンダ」や「TRAIN-TRAIN」くらいは耳にしていたものの、誰が歌っているのかなんて知らなかったし興味もなかったという小学生でした。
リアルタイムで直撃しなかったからなのか、自分には、草野正宗が「当時やりたかったことを全部、ブルーハーツに先にやられてしまった」と言うほどのショックは、今ひとつ実感がわかなかったりします。名曲をたくさん残した間違いなく歴史に残るバンドだとは思ってますが、ハマるまではいけないというか。
まあ何が言いたいのかというと、ブルーハーツの代表曲の「リンダリンダ」や「TRAIN-TRAIN」、あるいは「青空」あたりより、この曲が、ハイロウズが結成されてから生まれた「千年メダル」が最も好きだ、ということなんですが。
『永遠に君を愛せなくてもいいか』で始まる、真実の愛の歌です。
↑という一文をしょっぱなに持ってきて気を引こう、というような、「なんかかっこよくてウマイことを言ってやりたい」という欲求が多かれ少なかれ人間にはあって、みんながみんな、意識的無意識的にあれこれ言葉を飾り立ててしまいながら生きています。特に歌のことばなんていうのは、宿命的に、飾られることから逃れられません。飾らないように、ストレートに伝えようとしても、それはどうしても作為的な痕跡が残ってしまうものなんです。
甲本ヒロトは、その言葉と声で、ぎりぎりまでストレートさに肉薄できる稀有な歌い手です。なんの衒いも力みも感じさせず、ただまっすぐな気持ちを歌に込めることのできる人です。
この曲の主人公は、冗長に語ります。「永遠に愛してる」なんて言えなくって、『守れそうな約束と/気の利いた名ゼリフ』を考えている、なんてことまでも。ぜんぜんロマンティックじゃない、けれど、飾ろうとしている本心までも飾らずに口にし、赤裸々にさらけ出しています。「永遠」とかそういう抽象的な大それた言葉を使いたくはなく、もっと砕けた、シンプルな、かつ世間に流通している表現でない自分自身の言葉で、彼は想いをつづろうとします。
『たとえば千年 千年じゃ足りないか/できるだけ 長生きするから』
この『千年』は、途方もない長さではあるものの、実際にその時間を越えて人間の歴史が続いてきたという重みのある、それだけ生きるのは非現実的でありながらも、ぎりぎり想像の届く具体的な数字です。その、もはや生きている人間にとっては「永遠」と変わらないような「千年」をとっかかりに、より先を思う。「永遠」という無限の長さへ「永遠に向かっていく」というはっきりした意志のベクトルが、ここにはあります。
もちろん千年なんて生きられるはずがないわけですが、そこを突っ込むのはあんまりにも野暮なことだし、また曲中で、自分の気持ちを『メダル』に託して語っているぶん、「メダルならば、千年でもそれ以上でも輝きを保つことはできる」とも思えます。
照れもあり、うまいこと言いたくもあり、なんだかんだいって『表彰』される自信があったり、千年よりもっと長生きすると突飛なことを言っちゃったり。さまざまな感情に揺られてあれやこれや冗長に語る主人公の言葉は、しかし一片の無駄もなく真摯さに溢れています。
加えて、むき出しさをびんびんと感じる甲本ヒロトの声。テクニックに走らないオーソドックスな音。この一曲で、世に氾濫しているロマンティックなだけの歌、永遠の愛を安易に誓う歌の大半は、軽々と吹っ飛ばされてしまうでしょう。それだけの強度がことばに込められている歌です。
ブルーハーツは好きだけどハイロウズは知らない、そんな人はぜひ聴いてみるといいです。ブルーハーツでは絶対に生まれなかった曲だとも思うので。
THE HIGH-LOWS
甲本ヒロト
コメント(2)| Track back(0) | 2004年07月05日
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