<「恋人を楽しませる役割」を、男女問わず現代のすべての人へ呼びかける>
00年代初頭のメッセージソング全盛期から、時代がだんだん、真剣さより軽さ、メッセージよりポップさ、マジメな「愛」ではなく楽しい「恋」を求めて変化してきている…という去年立てた仮説は、まさに今年確実に進行しているなあという思いがありまして。この「POP STAR」の登場は、「瞳をとじて」や「思いがかさなるその前に・・・」からの大転換ということも併せて、まさにその裏づけとなる大きな証明になりそうです。
『恋に落ちたら誰もが誰かのpop star』…まさにこのワンフレーズに、この曲、ひいてはこの曲を受け入れヒットさせた今の社会の雰囲気が出てきているように感じます。それくらい、この一言でいろんなことが指摘できてしまうんですね。
まず、「恋に落ちる」という言い方。これ、「恋をする」とするよりもずっと軽い響きですよね。数年前まではこういうちょっと芝居がかった単語は、あんまり出てきた印象はありませんでした。今年くらいからCrystal Kay「恋におちたら」がロングヒットしたり、再びこうした軽めの言葉が使われるようになってきていると感じます。
「誰もが誰かの」…というのも、ちょっと考えると面白いです。『I wanna be a pop star』と歌っているように「男性が女性のpop starになる」歌だというふうに受け取られがちなこの曲ですが、しかし2コーラスでは『You're gonna be my pop star』と、「女性が男性のpop star」になってほしい、という願いも混じっているわけです。
つまり、この曲の目指すところは、男女でまったく同じ、イーブンの関係を築き上げようということなんですね。『神様が僕に下した使命は君だけのヒーロー』とこれもまた芝居がかったことを宣言しつつ、『僕をもっと夢中にさせてよ微笑んで』と、相手にも同じようにヒロインになってほしいと望んでいるわけです。
これも、今始まったというわけではないですが、男女の垣根がなくなってきた現代が反映されていると言えます。
そして「pop star」という称号。これこそまさに「楽しませる」ことを至上命題とした存在として使われています。ただ「ヒーロー」だとカッコよすぎるわけですね(なので、ヒーローという語をを持ち出す際には、わざと「神様が…」なんて大げさな言い方をして、笑える方向に持っていっているわけです)。「スター」という語のチープさ、レトロさをうまく利用しているという部分ではくるり「Superstar」にもつながりますね。それにさらに「ポップ」がつく。それくらい、「楽しませる」ことを重要視していると言えます。
これが1年前だと、EXILE「HERO」になります。もうちょっと「カッコいい」「マジメな」ヒーロー像が描かれていました。
はじめてコメディに挑んだ月9ドラマ「危険なアネキ」の主題歌というのも、ハマり過ぎです。この曲は、ポップな時代の幕開けを告げる高らかなテーマソングなのかもしれません。
平井堅
コメント(5)| Track back(0) | 2005年12月30日
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