<言葉を畳み掛けて勢いに乗ろうと試みる/自分一人じゃなく、声を掛けあうみんなで羽ばたこうとする>
どちらかというと穏やかな曲のリリースが続いたスキマスイッチ、ここでギアを入れ替えて両面ともアップテンポのA面シングルです。
「ガラナ」は、勢いのあるラフなナンバー。「全力少年」よりもさらにエッジの利いた感じで、初期の「view」あたりの尖りを想起させます。
そこに、w-inds.に提供した「キレイだ」のアルバムバージョンみたいな、ハマリのいい口語調が載っています。しゃべっているキャラは、メソメソ気味な「キレイだ」よりもずっとぶっきらぼうになってます。
こうした口語調の歌詞詰め込みはサザン、B'zやミスチルなどに代表される書き方で、一音に英語のように言葉を詰め込めるぶん聴き心地もいいしナチュラルな響きになる、という利点があります。スキマの場合は、ミスチルをリスペクトしていることもあり『情けないぜ、何してんだ!』とか『憂いはつきものってもんだ』とか、ぶっきらぼうな口調が桜井和寿の詞に一番近いかなあと。
これはスキマの特徴のひとつですが、特に今回は顕著です。それはなんとなくそうなったのではきっとなくて、この曲で表現したかったのだろう「勢いのよさ」を、言葉をガンガン詰め込んでいくことで聴き手に感じさせようとしているわけです。
しかし現在この手の詞は少ないですねー。おそらく、言葉の詰め込み、しゃべっているかのようなナチュラルさを出したい歌い手は、どちらかというとヒップホップに表現の場を求めているのかなあと。実際話すように歌えて自由度も高いし、韻も踏めるし。こっちのジャンルは今本当に広がりましたしね。
ただそれでも歌に口語を乗せる優位点はあって、それは「一音に言葉を詰め込む箇所と一音ずつ乗せる箇所を使い分けて、緩急をつけることができる」という点、そして何より「メロディがある」ということです。
前者はたとえば、冒頭のイントロなしで始まる5音に『最近体調は』と9語を詰め込んで聴き手を一気に曲に引き込んでおいて、サビ最後の中心に据わるメッセージ部分『カッコなんか気にしなくていいや この想いを止めるな!』は、じっくり伝わるよう、わりと一語一語はっきり歌っている…とかですね。
後者は当たり前といえば当たり前ですが、スキマの躍動性あるメロディラインだからこそ、より生き生きと血の通った言葉として響いてくるという点も見逃せません。今回は特に上下移動が激しく、恋のアタックに思い悩んでジタバタしている雰囲気が出ているかのよう。
…ちなみにヒップホップ側の擁護もしておくと、あちらはメロディのない代わりにバックトラックの循環リズムやコードで魅せる、という面があるわけです。メロディ以外の部分を印象付けているんですね。
歌詞の要旨は「ウダウダ悩んだりしないでまずは行動あるのみ!」ですが、はじめから元気いっぱいなんじゃなく、その前に『「要は有言実行」出来るなら苦労はしねぇが/実際そうはいかんよ』『大体なんにしたって中途半端 へらず口ばっか吠えている』と、まずはあれこれ思い悩んでいるあたりが「今の時代」らしいし、スキマらしい。
対して、「スフィアの羽根」は爽やか路線。サビも盛り上がるというよりは聴きやすく口ずさみやすいメロディになっています。
こちらもメッセージ的には「ガラナ」と大差はない、『燃え盛ってハイになって脳天突き抜け熱くなれ』『ちっちゃな迷いを蹴散らせ』というあたりですが、こちらは恋愛に向かうのではなく、タイアップになった甲子園番組の関係もあるのか、夢を目指すといった装いになっています。
もちろん自分が空へと羽ばたこうとする歌でもありますが、一方では『喉震わし熱くなれ』など、「声」に関する描写があちこちに見られます。自分だけが上昇するんじゃなく、チームプレイ、仲間を意識しているのでしょう。また、プレイヤーだけじゃなく、応援する側も自然に曲に感情移入できるような配慮なのではないかなと。
こっちにも「ガラナ」ほどではないものの言葉の詰め込み要素はありますし、関連して『まだ、上へ』の「うえへ」が明らかに「way」の発音だったり、『待ってないでラインに立って』の「まって」「たって」等は、メロディラインとの調和を意識して乗せられていたりしますね。でも、曲調のせいもあるのか、ガンガン詰め込みまくり!という印象はありません。
スキマスイッチ
コメント(0)| Track back(0) | 2006年11月23日
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