「夏の名曲選」シリーズ。
上記のシングル版は持っていないので、「空の飛び方」に収録されているアルバムバージョンしか聴いたことないんですけれども。
ただこのシングル、カップリングの「猫になりたい」(後に「花鳥風月」に収録)もまたファン人気No.1と言っても過言ではない名曲で、製作段階途中ではそっちがA面扱いだったそうです。ジャケットも猫のイメージですしね。しかし当時、勢いに乗っていたバンドの雰囲気を出せているからということで最終的に「青い車」が表になった、というのは、ファンの間では有名な話。
実際、勢いに乗っていたことは事実です。このリリースの後にはアルバム「空の飛び方」(近々全曲レビュー予定)を発表、そこから「スパイダー」のシングルカットを経て、次の「ロビンソン」で大ブレイクを果たします。また、この前のリリースである「空も飛べるはず」もまた後にドラマ主題歌に起用されることで再評価されたのは、ご存知の通りですね。
イントロのアップテンポでかき鳴らされるギターから、もうすでに夏の匂いが満ちています。爽やかで、胸がさざめくようで。でも、それでいてどこか切迫しているような、倦怠のあるような、そうした「翳り」も見え隠れしている感覚がして。それは詞の方にも言えることで、一見ハッピーな海へのドライビング・ソングですが、そしてそうした受け取り方でも十分にいい曲なのですが、たとえば『永遠に続くような掟に飽きたら』あるいは『愛で汚された』など、どこかネガティブな言葉が多く混ざりこんでいます。
歌詞についての詳細な解釈はアルバム紹介のほうに書くとして、ポップで疾走感がありながらも、内側に憂いを含んだ曲調と詞が、この歌に深遠な色合いを与えているように思えるのです。
哀愁、というとちょっと意味的にずれるかもしれませんが、しかし、「夏」という季節を思うときに常に付きまとう哀愁の感覚と、この曲の孕む憂いは、『置いてきた何かを見に行こう』の「置いてきた何か」という表現や、2コーラス後のふっと静かになるCメロや、その直後の素晴らしく叙情的なギターソロなどの部分で、ぴったりと、うまい具合に溶け合います。
スピッツについては、こちらで全曲解説していますので、よかったらそちらもどうぞ。
完っ全な余談ですが、よしもとよしともって漫画家がいまして、この曲からタイトルを付けた短編漫画を描いています。内容は別に曲とかぶるってわけじゃないんですが、「切ない」とか「痛々しい」といった言葉を気軽には使えなくなるような傑作なので、ぜひどうぞ。っていうか映画化されるみたいです。原作のあの空虚な感じを再現できるのか。
スピッツ
よしもとよしとも
コメント(0)| Track back(0) | 2004年08月31日
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