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ダウナーな曲募集の呼びかけに応えてくれたみなさんに紹介していただいた曲を、このエントリーでコメントしていきます。順次追加していく予定。
偏執的な作りようにまずびっくりです。徹底的なこだわりがひしひしと感じられます。アレンジうんぬん言っているとキリがないですが、単純にボーカルパートの重ね具合だけでもやばいですし。気を抜いて聴けません。
それに曲以外だって、歌詞の旧仮名遣いはいつものことですが、曲順の「茎」を中心に据えたシンメトリー構成、それに伴う歌詞カードのデザインとか、やりすぎなくらいです。
このこだわりが、猟奇的におどろおどろしい世界観を演出することにもつながってきているわけで。あくまでも演出しているのであって、本人自体には(音楽世界を完成させることへの執着心以外には)そう狂気性はないように考えているんですが、ただ、初めの「宗教」と最後の「葬列」は別。特に「葬列」は異常です。
生と死が入り混じる言葉の群れ。「出産」の林檎的解釈かなあと考えたわけですが、ネットで見かけた意見で「自分自身が生まれ変わる宣言だ」っていうのがあって、なるほどなあと。インタビューで言っていたように、バンド結成が本当に初めからの予定だったなら、このヤバイ出来の3rdの最後にこれまでの曲と決別する意思を込めた、というのもじゅうぶん有り得る話かなと。
しかしまったく、この地上からすべて持ってってしまう竜巻のような荒れ狂うラストには、言葉がないです。
紹介されたのはアルバム三枚でしたが、結局以前から知っていた1stしか見つけられてません。またしばらく物色してみますが。
幻想的というよりは、幻惑的な雰囲気。音とウイスパーボイスだけならじゅうぶんにヒーリング系としても聴けそうですが、自分のように歌詞が気になる人間としては、「エレメンツ」「愛し子よ」「僕らの箱庭」あたりに、ちょっと狂気じみたにおいも漂っているように感じられます。「ロスト バタフライ」なんかはタイトルで想像するよりもずっとポップ&ポジティブに出来てますが、切々とした歌い方がなかなかぐっときますね。
なんというか、言葉の使い方が西洋美術の世界っぽくもあり、抽象的な内的宇宙っぽくもあり・・・様式美に染まりすぎず、かつ感情を露出させすぎず、端正に世界が構築されている印象を受けます。
騒がしい音楽、自己主張の強い楽曲を聴くのにちょっと飽きてしまった方なんかには、イージーリスニングや環境音楽に手を出してみるよりも、ずっと面白いんじゃないかなと。やっぱり人の声と言葉はいいですよ。
メールでお勧めを頂きました。
名前は知っていたけど音を聴くのは初めて。なんかイメージで「初心者お断り」な音楽なのかなと勝手に思っていたんですけど、そんなことないですね。ちょっとぶっきらぼうで毒はあるけど、音にきっちり乗せようとして乗せている言葉にはどこかユーモアもあって、対句を多用し、リフレインで少しずつずらされていって・・・
あれ、なんだ。GRAPEVINEぽい。
ただ、バインと決定的に違うのは、ずいぶんと彼らは「素直」であることです。
『さっそく矢のように やる気が失せてくねえ』(「イエロウ」)
『30代いくまで生きてんのか俺』(「I'm劣性」)
日常的に積み重なっていく、自分と世界との齟齬、怠惰、鬱屈。それをシロップはストレートに受け止めてしまうがゆえに、対応できずに不満叫んでみたり爆発してみたり冷笑してみたり投げ出したりしています。素直ゆえに、傷ついてしまうわけですね。強がってひねくれぶってみますが、『掴めそうで手を伸ばして 届かないね永遠にね』(「月になって」)と、どうしようもないやるせなさをぽつりと漏らしてしまったり。
ずいぶんと通気のいい音も、その辺りを反映しているかのようです。バインとかもっと粘っこいひねくれた音しますからね。
「健康=Healthy」を「Hell-See」と表記したタイトル曲は、皮肉まで満たずに持て余すだるい思考が鮮やかな灰色で描き出されていて、浮かびながら沈められていくようなまさにダウナー系楽曲。そして個人的には、鬱屈した思いを示すフレーズを揃えていくうちにどんどん込みあがってきてしまって最後には暴発する「不眠症」「末期症状」、空虚な安息の広がる「月になって」「パレード」がお気に入りですかね。でも、全15曲のどれも一定以上のクオリティあっていい感じです。
 | 小松未歩4〜A thousand feelings〜
小松未歩, 大賀好修, 池田大介
GIZA
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小松未歩ってDEENやFIELD OF VIEWあたりに提供している曲のイメージが強く、歌もどこかZARDとくくって見ていたところがあるんですけど、改めてこのアルバムを聴いてみると、坂井泉水よりもずっと翳りがありますね、声も曲も。響きのある声に魅力がある割に、メロディーのリズムにきちっと合わせようとしすぎっぽいのがちょっと気になってしまうんですが、そうした自分の特徴を飲み込んだうえで、ポップなものを作っている感じです。透き通った藍色というか、濁ってはいないけど色が深い、みたいな世界。なので、内容的には明るい曲でも、どこかメランコリックな気分になれたりします。
で、いちばん気に入ったのは「Idon't know the truth」。これだけ、情念の度合いが他より一段濃いように感じたので。他の曲は、たとえばZARDとか初期のMY LITTLE LOVERみたいに、それとなく歌詞中で主人公を取り巻く環境とドラマを示しているんです。でもこの「Idon't know the truth」だけはすごく抽象的観念的で、具体的に何があったのかは説明してくれないんです。この独りよがりな感じが、なんだか切迫したものを感じさせるんですね。たぶん。
そういう部分、また『どうしてそんな優しい言葉くれるの』という叫びは鬼束ちひろに近いものがありますが、ただ感情を吐露する鬼束とは違い、小松未歩には曲をきちっとした形にまとめ構成しようとする向きがあって、そういうプロデューサー気質と情念がせめぎ合っているようなフシもあります。
他だと「君の瞳には映らない」「Love gone」「regret」あたりが気に入りました。
病んでる病んでるとは思ってたけど、ここまで病んでいたのかイエモン。というのが、アルバム通して聴いた感想。
たとえば「JAM」は確かに病んでいるけれど、すごくストレートな病み方で。「ひざを抱えた少年」というイメージを描いてみせたような、そういう演出があったように思います(それで「JAM」という曲の素晴らしさが傷つくということはまったくありませんが)
だけどこのアルバムの曲には演出がありません。もしくは、演出してみせていることに自虐的になっていたり(「TVのシンガー」とか)そこから抜け出そうとしていたり、どれもこれも一段階ねじくれていて。ふっと取り込まれてしまいそうな危なさが、そこらじゅうに漂っています。
社会に弾かれたり、適応できなかったりという鬱屈さも、独自のセンスを持った言葉から滲んでいます。ただ、たとえばBlankey Jet Cityと違うのは、「君」との愛に溺れがちなところ、そして、コンプレックスに苛まれているところ。その結果、自虐的だったり、退廃的な方向にベクトルが向いている感じです。
また、そこらじゅうに漂う歌謡曲風味の臭いも、湿気のある暗さに一役買っていますね。メロディラインとコードには「日本」が染み付いていて、それがギターやベースのラインにも飛び火していて。外国の産物である「ロック」をこれだけ日本的に歌うことで、ある種のコンプレックスは生じるでしょうし。ただ、その和製風味を取り込んで、独自のロックをひたすらに目指していることは、音からも、バンド名からも読み取れます。
前置きが長くなりました。「天国旅行」の話をしなくちゃ。
イエモンのマイナスな方向性が結実したような、粘りつく音でありながらも『すべてに優しい愛も今はいらない』など、どこかふっきれたようなものを感じさせる一曲。わかりやすく「自殺」を感じさせる歌です。しかもそれは「旅行」とあるように「脱出」であり、『苦しさを越え 安らぎになる』と描写されるように、「ニセモノ」であっても安息を求めようとしての行動です。サビの歌謡風の旋律が疲れきった雰囲気を醸し出してまして、知らないうちに『身体バラバラ 身体バラバラ』とつられて歌ってしまいそうな風情があります。
重い始まり方、間奏と後奏の美しいピアノとギター、間違いを自覚しながらも留まろうとせず、立ち尽くしたまま海へと溶けていく詞の展開。一連の流れが、実に見事に構成されています。
この曲内部での構成もさることながら、どうもこの「SICKS」というアルバムは、7曲目「天国旅行」とラスト13曲目「人生の終わり」という二つの「死」を志向する曲へと収束する二つの流れがあるように思えてなりません。「天国旅行」の前のインストの6曲目が「薬局へ行こうよ」という題なのも、次の8曲目が「創生児」なのもそれっぽいですし。
コメント(8)| Track back(0) | 2004年11月18日
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