<過去に失ったものを未来に見出し、進んでいく凛とした強さ>
シングル「JOY」そして「長い夢」と、「輪廻」とか「永遠」までもをイメージさせる、コンピュータサウンドの海にたゆたう曲をリリースしていたYUKIですが、再びまたホームグラウンドである元気なロックに戻ってきました。
とはいえ、曲中を駆け巡るスピード感のあるストリングスや、『こわれた大切なものと/いつか又あえる日がくるかしら』という「繰り返し/ループ」のイメージは、おそらく前作までを経てきたからこそ生まれたものなのではないでしょうか。
しかし、完全にぐるぐると回る「閉じた世界」を作ることはしていません。もっと突き抜けた、まっすぐに進んでいく直線的な方向性が、再び表れています。たとえばタイトルにもなっている一節、『すれ違う人の数だけ/ドラマチックになるの』という表現。これは、明らかに一方に向けてひたすら増加していく、というベクトルですよね。
曲構成に関してもそういう部分があって、2コーラス目のサビ後半が定型から崩れているのとかも、整然としていた「JOY」とは異なっていると言えます。
さてもうひとつこの曲の特徴は、「過去」を否定していない点です。さまざまな「喪失」のイメージがそこらじゅうに散らばっているのですが、それらすべてを、こぼさないように抱え込もうとしているかのような印象を受けます。『思い出はとけないでそばにある』のも、大切な記憶をずっと忘れないようにそっと傍らにおいておくような感じで、やさしく、そしてせつない言葉になっていますね。
かと言って、ノスタルジーに浸りきっているというわけでもなくて。「こわれた大切なもの」と再び「会う」ためには、たくさんのすれ違いを重ね、ドラマチックに前へ走っていかなければならないのです。
失ってしまったものを過去から取り戻すことはできない。でもそれは、もしかしたら未来で待っているかもしれない。再会を信じて、思い出を大切に抱えつつ『もう行かなくっちゃ』と進みだす。
過去に篭るのでも、決別するのでもなく、受け入れたまま未来に向かう強さを感じさせる一曲だと思います。
YUKI
コメント(0)| Track back(0) | 2005年08月24日
|