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現代ポップス考。(移転しました)

平原綾香「晩夏(ひとりの季節)」
      

晩夏(ひとりの季節)/いのちの名前

ドリーミュージック
平原綾香, 荒井由実, 松任谷正隆, 覚和歌子, 久石譲

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<個人の心情を歌う原曲、情景イメージの広がりにスポットを当てたカバー>

 荒井由美時代のユーミンのアルバム「14番目の月」収録曲からのカバー。この前メルマガのほうで「『月』をテーマにした曲」を募集した際にこのアルバムタイトル曲「14番目の月」が挙がり、レンタルしたので、たまたまオリジナル版も併せて聴くことができました。

 やはり大きいのは声の質の違いです。と言っても、この曲…というかユーミン曲全般は平原綾香にとっても相性のいいものだと思うし実際よく溶けて聴こえるので、あくまでも個性の話になるのですが。

 深い響きがある和音と、初期のユーミンらしい美しいメロディラインで構成されたこの曲、平原綾香版を聴いたときは、「ゆったりと落ち着いた、広がりのある曲だなあ」という印象を持ちました。実際タイトルの示すとおり『空色は水色に/茜は紅に』という自然の変わりゆくさまを歌っているわけだし、アレンジも地味めながら壮大な雰囲気になっているし、「自然の移り変わり」を強く感じさせる内容に仕上がっているので、おそらく他の人も似たような印象を持っているのではと思います。
 しかし、荒井由美のオリジナルバージョンを聴くと、スポットは「季節の移り変わり」よりもむしろ「その移ろう季節の中に、独りでいる私」の存在が大きく浮かび上がってくるんですね。夏が終わり秋が来る、『何もかも捨てたい恋があったのに』その季節は過ぎ、『やがて来る寂しい季節が恋人なの』とつぶやいてみせる、そんな一人の主人公像が立ち現れてきます。

 この差として考えられるもっとも大きい要因が「声」なんじゃないかなと。主人公の心情を伝えてくるパーソナルな歌声の荒井由美と、主人公の視点から周囲の風景や自然へと広がっていくイメージを抱かせる歌声の平原綾香。二人の持つ資質の違いが、同じ曲でもまるで印象を変えてしまっているんじゃないかと思います。

 で、やはり平原綾香サイドとしては、彼女の声を生かすためにこの曲の豊かな情景描写に注目したんでしょう。いくらユーミンの曲の質があっていると言っても、同じアルバム収録の有名な「中央フリーウェイ」とかだと、たぶん都会的な雰囲気や街の描写がハマらないだろうなあという気がしますし。さらには、「まちぶせ」みたいな個人の感情が思いっきり出たような歌だと、もうギャグみたいな領域になっちゃいそうですし。

平原綾香

コメント(0)| Track back(0) | 2005年12月17日

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