一ヶ月前に復刊「はなしっぱなし」上・下巻読んで、すっかり度肝を抜かれてしまいまして、こちらの短編集も買ってみました。って、ああ!「すなかけ」ってこの人だったのか!アフタヌーン購読前、立ち読みか何かは忘れたけどこれ読んで衝撃を受けたのを覚えてます。そうだよなあこの絵柄だよなあ。
短編集ですが、どの話も、一冊ぶんはあるような読み応えがあります。独特の不思議な世界が独自のタッチで描かれていて、そういう意味では宮沢賢治的なものを感じます。童話・寓話っぽい部分もありますし。
「熊殺し神盗み太郎の涙」は異様な迫力がありつつも、なんとなくまとめられないままで終わってしまっている印象だし、「le pain et le chat」は全体の流れやとぼけた味のあるオチはともかく、ファンタジー要素の必要性がいまいちわからない、などありますが、「親子」「食事」などの要素が、幻想的だけどややホラーな話を引き締めている「そらトびタマシイ」や、ちょっと不思議な体を持った女性と周りの人々の絆をわりあいオーソドックスに(でも独自のタッチで)書き上げた「すなかけ」は、すごいの一言です。きっと、話を組み立てるときに、プロットのあちこちから作者の想像力表現力があふれ出してしまったりして、うまく展開がまとまんなくなってしまいがちなんじゃないかなと。そう思えてしまうほど、空想性に富んだ一冊になっています。