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現代ポップス考。(移転しました)

Dir en grey「凌辱の雨」
      

凌辱の雨

フリーウィル
Dir en grey,京

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<絶対的な力の存在、そしてその前で身悶えもがきほとばしる感情>

 もしかしなくてもディルを取り上げるのははじめてですか。一度くらいは書いておかないとね。

 最近また着々と勢力を拡大しつつあるいわゆる「ビジュアル系」バンドですが、最隆盛を誇った前世紀末にメジャーデビューし、以来その中でも極北の立ち位置で活動を続けてきました。La'cryma Christiも解散宣言を出した今、当時から「転向」せず自らの方向性を守っているバンドはこことJanne Da Arcくらいでは。
 まあ、「ビジュアル系」っていう括りは不満に感じる人も多そうですし、じゃあ明確な基準ってどこなのよ?というと話がややこしくなります。ビジュアル系って言葉が嫌がられるのは、「白塗りメイクしている人たち」という、楽曲の評価とは直接は関係ない部分での揶揄を感じるからではないでしょうか。なので別の定義を作るとなると、ひとつ基準にできそうなものは「美学」の存在でしょう。ラブソングは愛を、メッセージソングは主張を歌に込めるのに対し、楽曲に独自の世界観による「美学」を構築し表現する一派が、いわゆるビジュアル系。だから、曲を聴くファンは、描かれる感情に「共感する」というよりは「共鳴する」…という見方はどうでしょうか。

 で、単に「化粧する人たち」という先入観ではなくこの「独自の美学を歌で表現する人たち」と前段を変えると、何かとひとくくりにされがちなビジュアル系の方向分けもわかってきます。
 たとえば自分の場合、Dir en greyのデビュー時は、あんまり惹かれませんでした。どちらかというとMALICE MIZER(ただし、Gackt在籍時のみ)やLa'cryma Christiのほうが好きだったんですね。マリスとラクリマもだいぶ違うことは違いますが、方向としては耽美・幻想・物語といたキーワードが当てはまりますでしょうか。
 で、Dir en grey、あるいはPIERROTなんかは、破滅・露悪・グロテスク・狂気といった、まったく逆のドロドロした「美学」があります。さらに言えば、だいぶ昔にPIERROT「Smiley Skeleton」の項で書きましたが、PIERROTは破滅の後に浄化・再生を感じさせるアルマゲドン的思想が見えるのに対し、Dir en greyはひたすら人間の暗部を抉り出し、暴き立て、その行為でしか得られない何かの美学を見出そうという姿勢が感じられます。
 これ、今では理解できますが、やっぱりなかなか「共鳴」はできないかなあ。「JEALOUS」「【KR】cube」あたりはけっこう好きだったりしましたが。


 ずっしりしたテンポとサウンド。塗り込められるような音圧は、そのまま『生温い雨』を表しているかのようでもあります。べっとりとしたこのイメージは、もしかしたら「雨」=血、なのかもしれないなあとも思ったりしてしまいます。このバンドならありえない話ではない。
 詞から明確なひとつのストーリーを想像しようとすると難しいです。「雨」とあるのに『祈りを夕日にかかげ』たりと、全体的な整合性よりも各フレーズの響きを感じとることを優先したほうがよさそうです。『あやまちに埋もれてゆく』『アナタニハスクエナイ』『It is then the proof of sadness,caused by absolute justice』などなど、次々に繰り出される独特のフレーズは、どれも「喪失感」につながっているのがわかります。ただ、喪失感といっても、はかなく散って消えていくといったおぼろげなイメージではなく、何か大いなる力/壁によって支配され縛られ、『激情に狂い嘆き』身悶えるような強く激しい感情が渦巻いているわけですね。
 ま、実際に聴けば絶叫に次ぐ絶叫が響き渡っているので、激しい感情が込められているなんてことは明白なんですけどね。

Dir en grey

コメント(0)| Track back(0) | 2006年10月31日

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