J-POPヒットチャート歌詞分析ブログ

現代ポップス考。(移転しました)

鈴木亜美「Delightful」
      

Delightful
エイベックス・ディストリビューション
鈴木亜美, Axel Konrad, 西川レオ, REMO-CON

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<見え隠れするのは、「小室への回帰」ではなく、90年代ダンスミュージックの復権>

 小室哲哉プロデュースでスター街道まっしぐらかと思ったら、いろいろもめた挙句の活動休止。その後いったんメディアから遠ざかり、最近になって「強いキズナ」などを出して、などなど紆余曲折を経て、鈴木亜美がようやくavexに戻ってきました。
 が、そしたら、この復帰第一作目が非常に小室哲哉的なサウンドになっている、というこの不思議。これはわざわざ今更指摘することでもないくらい取りざたされていますが、やっぱり触れておかないと…

 とはいえ。
 非常に小室哲哉的ではある打ち込みダンスチューンなのですが、ただ、「小室哲哉的」ではあっても「小室哲哉プロデュース時代の鈴木あみ的」であるか、というと、そうでもない気がします。だって、「love the island」とか「BE TOGETHER」とか「white key」とか、もっとアイドル要素のある、かわいらしい歌でしたよね。声の変化のせいもあるのでしょうが、ずいぶんクールな方向性にシフトしていています。だから「いろいろあったけど結局元通りじゃん」という感じは受けなかったんですよね。個人的には。昔の「鈴木あみ」というよりは、TMNとか、trfとか、そういった方面のサウンドに近いんじゃないかなあと。小室哲哉の、特に初期のほうですね。

 親しみやすい開けたコンピュータ音と、踊りやすいリズム。ツカミとしてのサビ頭の英語フレーズと、平易で歌いやすいメロディライン。あるいは、どこを切り取って読んでもだいたい同じようなことを言っているために、一曲通して聴かずともだいたい違和感なく楽しめる、短いまとまりで構成された詞。こうしたギミックは、90年代のカラオケ全盛期、シングル売り上げ全盛期を想起させるものです。おそらく意図としては、この人はやっぱり小室哲哉サウンドで、みたいなことじゃあなく、90年代の空気を出す歌い手として押し出していきたいというところなのではないでしょうか。

 とりあえず、今後の動向が気になります。数奇な運命をたどってきた鈴木亜美個人の方向性もそうですが、本当にこのサウンドを基調としてやっていくのだとしたら、それはエイベックスが、「90年代サウンド」を、現在のチャートにおいて市場価値があると考えている、ということでもあるわけですから。少なくとも、呼び戻した鈴木亜美に歌わせるくらいには、ですね。

鈴木亜美

コメント(4)| Track back(0) | 2005年05月02日

■ 願望込みで
僕がこの曲を聴いたときの最初の感想は、「キーが低いなぁ」でした。
晩年(この表現は的確なのだろうか…)の小室曲って露骨なまでに高音を多用してたので。

今後の鈴木さんですが、個人的な願望丸出しで意見するならt-kimuraに提供してほしいかな、と思います。
アイデアル (2005-05-02 15:44:11)

■ Re:アイデアルさん
小室さんは、超高いキーにすることで、苦しげになったり超音波みたいになってきたりする声をひとつの楽器みたいにしようとしていたんじゃないかなあ、と思ったりします。鈴木あみはちょっと微妙ですが、あの、華原朋美の「I'm proud」とか、中期以降のglobeとかを見ると、そんな考えが浮かんでくるんですよね。

t-kimuraってFavorite Blueの人ですか。あー、なるほど。そういうバリバリデジタル路線も面白いかもですね、ここまで来たら。
個人的には、って今ちょっと思いついただけなんですが、Jungle Smile「おなじ星」みたいなの歌わせたら合うんじゃないかなあとか考えました。
はじ(管理人) (2005-05-02 22:54:03)

■ 90年代ブームが来るぞぉ(笑)
うちのサイトでも、90年代というキーワードは何度か話していて、例えばT.M.Revolutionとか玉置成美なんかが思いっきり90年代していて、これはいい!なんつってはしゃいでいたんですけども、最近また増えてますよね。鈴木あみのこれもそうだし、浜崎の新しいのも、微妙に90年代チックな気がするし。で、小室的なるものとは別にアンダーグラフなんかは、小林武史的なるものとしての90年代っぽいなあとも思うわけですが。

どうも、音楽業界の人たちは、案外早いうちに90年代という鉱脈に手をつけようとしているのではないかな、というのが、なんとなくの予感です。この前80年代ブームがあったけど、90年代ブームって結構すぐ来るんじゃないかな。これは予言(笑)。

まあ、90年代の邦楽の洗礼を思いっきり受けてきたものとしては嫌じゃないんだけど、あんまりレイドバックするってのもどうかな、って複雑なんですけどね。行き詰った結果のレイドバックだったらあんまり良くないし。
TSUKASA (2005-05-06 20:05:14)

■ Re:TSUKASAさん
90年代の再来っていう考えは、 菊地成孔の↓の記事を読んだときからずっとひっかかっているんですよね。
http://www.bounce.com/article/article.php/1727/2/
自分も来ると思います、90年代ブーム。
っていうか、音楽業界の中で明らかに「90年代はよかった」的な懐古ムードってのがあると思うんですよ。
最近では、コンビニの有線でもその頃の曲を流していたりとかするじゃないですか。これは、実はこれからの音楽にとってすごく危険な兆候だと思っていたりしますけど。

ただ、そのブームはそれほど大規模なものになるかというと、ちょっと怪しいかなとも。
というのは、「回帰」の流れの一方で、「拡散」という方向性も、今の音楽にはあるように感じるからですね。
おおまかな流れとしては、以前から自分が主張していたようにだんだんポップ性が全体的に増しているように感じるんですが、でも、ブームとか関係なくわが道を行く歌い手と、ブームに乗らない歌い手を好む聴き手の数というのが、すごく増えた気がするんですよね。
ブームの波はそれなりにあるものの、一極集中の時代ではなくなっているように思うんです。

まあ日本人のことだから、またひとつにまとまってくるのかもしれませんが。


この辺は、ちゃんとまとめて書きたいですねー…。
はじ(管理人) (2005-05-07 01:09:52)

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