いまだにロングセールスを続けている「瞳をとじて」のためにすっかりバラードのイメージが固まってしまった感があります。もうウカツに「Strawberry Sex」なんてタイトルの曲は出せなくなっちゃったかもですが、でもこの人はそういうパブリックイメージの制限を、それほど苦にしなさそうな気がしますね。ハジけにくくなったらなったで、今回のように直球ど真ん中のバラードを正面からリリースしてくるというように、その枠の中でうまく曲を作り出せていける職人的なところがあるというか。
平井堅が「職人的」に曲を作っているという根拠は、まずタイトルからして前回「瞳をとじて」に続き「思いがかさなる」とひらがな表記にして、柔らかい印象を出しているところなんか、まあこれは誰でも気がつく初歩的なところ。
内容は、カップルの男性側からの等身大な視点ですが、そこに『ねえ いつかキミは僕のことを忘れてしまうのかな』と、あえて別れを思い浮かべさせることによって、ただ幸せな両想いの描写だけでなく「切なさ」も意図的に加えていますね。これって、ただ欲張って同時に取り入れたりすると、内容のまとまりが崩れてしまいがちなんですが、この「別れの時の想像」を『そんな事を隣でキミも思ったりするのかな』と、お互いのシンクロに結びつけて考えさせることで、「切なさ」をうまく両想いの関係に溶かしていたりしています。
で、まとめになるのが『強く手を握ろう』という、非常に健全なスキンシップ。プラトニックな描写に徹することで、曲全体の透明感、純粋さを保たせています。「キミ」とカタカナ表記にしているのなんかも、生々しさを排除する効果がありますし。
歌い方も気になりました。特に高音を出そうとするとき、やや苦しげに絞り出すような声になりますよね。この人歌うまいんだし、おそらくもっと楽に歌えるんじゃないかと思うんですが、それも訴えかけのイメージを与える演出なのかなあ、と勘ぐったり。
平井堅
コメント(0)| Track back(0) | 2004年10月27日
|