こりゃ・・・すげえわ。センスオブワンダーって言葉は、まさにこういうことなんじゃないか。短い一話ごとに描かれるのは、日常の何気ない風景と、明らかに異質な「何か」との交流。現実と非現実がまったく境界なく描かれるから(もちろん作者はそう感じさせようと意図しているのだけど)、読んでいて首をひねってしまう人も多いとは思うけど、つまりこれは現実にあるものごとも非現実的なものごとも一様に紙の上に描けるっていう「虚構であること」を武器にして、不思議空間を作り上げているわけですね。
できるだけ堅苦しくならないように言いたいことを整理すると、例えば現実にはペンギンが空を飛ぶことはないけど、絵で描くんだったら当たり前だけどできるわけですよ。んでさらに、「ペンギンが空を飛んでいるのが当たり前だと思っている」人や社会も一緒に描くことができるわけです。そうすると読み手は「変なの」と思う。
この漫画は、その「変なの」を「変、だけど/だからこそ、面白い」まで読み手を軽々と持っていってくれます。細かいとこまでしっかりしている割にドキッとするほど味のある絵柄や、「空飛ぶペンギン」なんてありがちなもんじゃない、異様でユーモラスで不気味で愛おしい「非現実のもの」をいくつも生み出すセンス、そういうところに拠るものでしょう。
とりあえず「虹を織る声」「博物館で月見」「竜田姫に魅入られた話」「こんな冷え込んだ日には空を見ながら歩かないほうがいい」「飛猿」「ガガガガ」あたりが好き。下巻もまとめて買ってくるんだったと後悔したり、でもゆっくり読みたいからよかったかもしれないとも思ったり。
五十嵐大介
コメント(0)| Track back(0) | 2004年06月13日
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