<ひねりのない王道中の王道な作りの中にも、紛れ込む小さな「うまさ」>
B'z、シングルとしては実はかなり久々のバラードです。テレビドラマ「海猿」のテーマということもあり、タイトルどおり海をテーマにした壮大な一曲に仕上がって…はいるんですが、内容が真正直すぎて何を書いたらいいものやら。
航海への出発という形をとった歌で、時には波が襲い嵐が来ることがあっても、この広い僕らを見守ってくれている海原を進んでいこう…というところでしょうか。ひねりも何もないですが、非常にオーソドックスで何度繰り返されてもすり減らないモチーフですね。
曲も王道の王道、オケ+ピアノにギターソロというアレンジ、そしてコード進行も妥当なラインです。
詞もなんだか当たり障りがなさ過ぎて、壮大なぶん、特筆するべきところがないような。や、言葉の選び方はなんら間違ってないし、素人とはやっぱり全然違ううまさが(さりげなく)あるとは思います。
たとえば2コーラスの『僕はその心に さわりたいよ』とか。これ、本当に何気ない一文ですけど、「さわりたい」とは実はなかなか言えません。たいてい「触れたい」って書いちゃうと思うんですよね。字は一緒ですが、それだと「触る」より「触れる」のほうが詞っぽい単語だなーとか思っちゃうんですよ。
でも、詞っぽくない、現実的な「さわる」という単語のほうが、生々しさというか、現実的な響きを感じさせられるんですよね。実は。特にここでの主語は「心」という、形のないものだったりするわけで。そうすると、「心に触れる」だと響きはカッコよくてそれはそれでアリなんですが、ちょっと幻想的、抽象的な方面になっちゃうんですよ。「心にさわる」と言うことで、現実感、生っぽさを出したほうが、この詞の文脈では合っているかなと。
さらに言えば、1コーラス目の同じ箇所ではここ『越えたいよ』です。そしたら普通は同じ5文字である「ふれたいよ」で済ませられるところを、わざわざ「さわりたいよ」と、6文字詰め込んでいるんですよね。
つまりここは意図的に「さわりたいよ」を選んで入れたんだ、と考えられますし、6文字詰め込みつつ1コーラスとは少しアドリブ気味に歌い回しを変えるという+αにもつながってきています。波及効果です。
とまあ、今回は全体にはあんまり面白いところがないので、細部にこだわってみました。やっぱり詞を作るのがうまい人っていうのは、さりげないところで工夫しています。
B'z
コメント(6)| Track back(0) | 2005年10月08日
|