<物語世界として語られる放浪の詩人のイメージには、生々しさのない物寂しさが漂う>
メヌエットとは本来は宮廷舞曲、かっちりとしたタイプの音楽なので、こういうさすらいの荒野を思い浮かべられるような曲には当てはまらないかとも思いますが、まあ細かいことはよいでしょう。
三拍子のリズミカルな、だけどどうしようもなく物悲しさが滲んでいる、そんな雰囲気の曲です。モノクロっぽいなと思う人、セピアの風景を考える人、逆に鮮やかな大地を思い浮かべる人…それぞれにいるのではないかと思いますが、現実の世界とは、どこか違う色具合の空間が広がっているように感じるのではないでしょうか。
こちらは「ロマンシング サガ」というゲームシリーズの最新作に使われていて、その中に登場する「吟遊詩人」をイメージしているとのことです。で、見事なまでにハマっています。完全に、空想の物語の世界。
それは視点が「語り部」的な位置付けになっているから、そう感じるんだろうなあと。呼びかけに「あなた」という語を使っていますが、それは一対一で向かい合っているというよりも、「物語の受け手」=「聴き手」の全員に語りかけているといった趣があります。直接面と向かっではなく、本に書かれている「あなた」という言葉っぽいんですね。
山崎まさよしは、その立ち位置やイメージ的に現代のスナフキンぽい印象を抱かれがちで、そういう意味では確かにこのファンタジーゲームへの抜擢は合っているし実際マッチしたものができていると感じます。が、でもこの人は本来は「一対一」「面と向かった」曲世界を作り出すのが本領だと思うわけで。「One more time, One more chance」しかり「セロリ」しかり、気持ちをぶつけていける相手がいてこその曲ですしね。
そんなことがあって、この曲はどうも通りいっぺんのイメージをなぞった言葉を繰り出しただけのような感覚を覚えてしまいます。雰囲気は味が出ているし、曲としてよくできているとは思うんですが。
「ビー玉望遠鏡」にあったような、何ともいえない微妙で絶妙な皮膚感覚、そこからじわっと漂うエロティックさのほうが、個人的には好きかもですねー。
山崎まさよし
コメント(2)| Track back(0) | 2005年05月25日
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