<現実感を出しつつ徹底的にドラマティックに盛り上げる、濃厚こってり系感動ソング>
この春の大ヒットソングとなったこの曲。
レゲエとヒップホップを基調とし、そこにストリングスで盛り上がる展開を作り上げ、男臭くストーリー性のある詞を乗せる…という手法は、「カラス」でも見られた彼らの音楽の特色になっているようです。
主人公は、不器用な男。こういう設定だと、単純なラブソングでも、好きだなんだは柄じゃないし照れくさい、けれどお前相手ならマジで言いたい、みたいな「ギャップ」が生まれます。
そんな男が『嬉しくて嬉しくて 柄にもなくスキップして』というところなんかは、ウルフルズ「バンザイ〜好きでよかった〜」の一節『コンビニをうろうろしながら/思い出し笑いをかみ殺す』を想起させます。男臭い感じ。まあこちらのほうが『自分勝手に怒鳴りまくって/パチンコ屋逃げ込み』と、多少ガラ悪いですが。まあその分「お前」への気持ちは純粋なんだということ、またそんな「俺」の側にいてくれる「お前」の優しさや包容力を際立たせていたりもするわけです。
友人の彼女の紹介とか、大貧民とか、『変なあだ名で呼ぶなよ/バカップルだと思われるだろ』とか、なんというか現実にありそうなディテールも特徴です。こうした明確な現実感を持たせず、キレイな描写や抽象的な表現で非現実的な世界を構築する歌のほうがずっと多いですが、リアルさを盛り込もうとあえて取り入れているなあという気がします。
それだけじゃなく、桜とか夜空の星とか、きちんとキレイなものも取り入れているあたり、ちゃんと心得ているなあと感心します。くどいくらいのストリングスも同様で、現実の質感を重視しつつ、きちんとドラマティックな仕立ても忘れない。この点で、男からの直球求愛&レゲエとなんだか傾向的に似ているなあと感じた三木道三「Lifetime Respect」よりも、ひとつ上を行っているなあと。
総じての詞の完成度としては、個人的には完成度は前作「カラス」のほうが高かったように思いますが、イントロの美しさと高音から入る冒頭部分のツカミは間違いなくこちらのほうが強いなあ、という印象。この手の感動系の歌は特に、まず興味を引き付けられるかどうかというのが非常に重要ですから。
ストーリーがあって、不器用だけど「お前」に素直に伝えたい「俺」がいて、現実感とドラマ性がある言葉を両方取り入れ、ストリングスで思い切りベタに盛り上げる…実にてんこ盛りです。これだけ真っ向から感動させようと作っていると、やっぱり強いなあと。まあ、ベタがニガテな人、ここまでやられると胸焼けしちゃう人というのも当然いるとは思いますが。
湘南乃風
コメント(0)| Track back(0) | 2006年05月24日
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