 | ヤドカリカリカリ
鈴木かすみ, 森浩美, 渡辺和紀, 渡辺未来, MIZUE, 家原正樹
日本クラウン
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6月くらいから有線で流れ始め、たいへん多くの人心を惑わしている怪曲です。サンバに合わせて、実に能天気に『やどかりかりかりやりたがり/恋するわたしはやりたがり』とか歌っているわけで、眉が寄ってしまったり口がぽかんと開いてしまったりした人も多いことでしょう。
ピンと来ない人は、ぜひここで試聴してくださいな。残念ながらサビまでは行きませんが。
歌っているのは、14歳の鈴木かすみ。1990年生まれというのにもショックですが、でもむしろバックについている(上の試聴サイト参照)、22歳の人のほうが気になります。22歳でこの歌は、きっついなあ。
これ、何がヤドカリなのかというと、ハーミーズクラブというこの夏発売の、簡単に言ってしまうと「貝殻を着せ替えられるヤドカリ」という商品がありまして。生きたヤドカリをペットでなくおもちゃとして売るあたりちょっとアレですがまあそれは置いといて、この曲はれっきとしたタイアップ曲だったりするんです。
ちょっと、ほっとしました。つまりは「ヤドカリ」というテーマがあってできた曲なわけで、もしこれがまったく縛りのないフリーな状況でこんな壊れた詞が生み出されたとしたら、本当に精神疑いますからね。
さて、どういう風に壊れているのかといいますと。
たとえば初期のSPEEDなんてのは『痛い事とか恐がらないで/もっと奥まで行こうよ
いっしょに』『成熟した果実のように/あふれ出してく/欲望に正直なだけ』(「BODY&SOUL」「Go!Go!Heaven」)とか、かなりきわどい、というか冷静に考えたらアウトな歌詞を歌わせていて。そういう、少女にわざとアレなことを歌わせるってのは、ショッキングさを出すためには珍しくない手法で、程度の差はあれど古くからあるパターンです。
ただ、SPEEDの初期路線は「大人になりたくて背伸びしている」という等身大な女の子を描いているという、ちゃんとした意図があります。詞の言い回しも、『いつか朝陽浴びて/ふたりきりで抱き合いたい!』(「Luv Vibration」)とか、ちょっと過激路線の少女漫画にありそうな雰囲気だし(一歩間違えると途端にオヤジ向け官能小説の世界なんですが)。
でも、この「ヤドカリカリカリ」はぜんぜんそうじゃありません。
まずは試聴(1コーラスのメロ)を聴いてもらいたいわけですが、曲調も歌い方も『おしりふりふり』なんて言い方も、すごく能天気で、子供子供しているわけです。でもコーラスは変に色気を振りまいているし、サビでは『恋するわたしはやりたがり』なんて言ってるわけで。SPEEDのお年頃少女漫画・官能路線に比べると、直接的というか、すごく幼稚な表現です。
つまるところ、「オトナになりたい」という志向もなく、無邪気な子供のまま変なこと歌っているんで、非常に危なっかしいんですね。だから、聴いていて座りが悪い。開けっぴろげすぎてエロくもないし、かといって、楽しく聴くには居心地がよくない。
ただし、インパクトだけは絶大なわけです。
不安定でおかしな内容のぶん、耳に残る。販促としてはこれ以上ない出来なんじゃないでしょうか。このブログではじめてこの歌のことに触れてからほぼ一ヶ月ですが、その間この歌関係の検索でここに飛んできた方は、実に300人は超えていると思われます。このCD自体は、ぜんぜん売れてないみたいですけど。
このぶっ飛んだ詞を書いたのは、作詞家の森浩美。SMAP「青いイナズマ」や「shake」なんかを手がけた人ですが、まさかここまで壊れた詞が書ける人とは思いませんでした。個人的には、知名度では遥かに負けますが、秋本康の書いたおニャン子クラブ「セーラー服を脱がさないで」を超えたかと。あれも一応「背伸びする女の子」というスタイルなわけで、そこを崩したぶん、ヤドカリの勝ち。勝ちっていうか。
でもさすがに、やはり秋本康作品の、伊武雅刃「子供達を責めないで」の壊れっぷりには届かないか。まあ、秋本康はわざわざ世間を挑発している向きがあるんでアレですが。
鈴木かすみ
コメント(8)| Track back(0) | 2004年08月10日
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