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現代ポップス考。(移転しました)

スピッツ「魔法のコトバ」
      

魔法のコトバ

ユニバーサルJ
スピッツ,草野正宗,亀田誠治

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<思い出も想いも大事にしながら、そこに浸りきらない強さが生み出す「キラキラ」感>

 映画「ハチミツとクローバー」の主題歌としてリリースされたこの曲。もともと原作がスガシカオ「クローバー」とスピッツ「ハチミツ」の両アルバムから付けられたタイトルがということは、もはやあえて触れるまでもない有名な話です。
 で、詞も曲もいかにも青春な感じでキラキラしたり切なかったりする、スピッツシングルの王道を行くミディアムチューンに仕上がっています。

 この曲のメロディラインの特徴として、山形の曲線を描く流れがあって。メロもサビも、大まかにはふわーっと上がっていきそして滑空するように降りてくる、という形を描いています。サビのほうがその触れ幅が大きくハイトーンまで到達するので盛り上がる、というシンプルな構成。それが曲の穏やかでなだらかな雰囲気に結びついているのではないかなと。

 『君は何してる? 笑顔が見たいぞ』とあるように、今は離れている状況で「君」のことを想うというシチュエーション。『夢見るとか そんなヒマもないこの頃』の中にあっても、それはすでに過去になってしまったものではなく、はっきりと地続きになっています。なんたって気持ちは今も溢れそうで、『今日もまた 遠くばっかり見ていた』くらいですからね。「君」と過ごした日々は、胸のうちではまだ終わってはいないのです。
 と言っても、あんまりメソメソとしているわけではなくて。会いたい気持ちを『振りかぶって ワガママ空に投げた』りもしていなすし、『また会えるよ 約束しなくても』と「会えたらいいな」でも「会いたいよ」でもなく「会えるよ」と言い切るところには、何かはっきりした自信も感じとることができます。

 タイトルにもなっているこの詞の中心「魔法のコトバ」が何であるかは、曲中でははっきりとは明示されません。二人だけにはわかる合言葉のようなもので、短くて、でも効果絶大。これが一体何であるか、ということは、明確な答えがあるわけではないので各自で追求してみてください。聴き手が自分で想像して当てはめてみる、もしくはイメージとして楽しむモノだと思うので。
 イメージとして語るならば、この「魔法のコトバ」はつまり、「君」との思い出の濃縮物であると考えられます。その「コトバ」を考えれば、二人で過ごしたあの頃の日々すべてが思い出されるような、文字通り「キーワード」になっているのでしょう。この写真を見ると当時がよみがえるとか、ここにくるとあの時の出来事を思い出すとか、この素朴な味はおばあちゃんの…とか、そういった類のものなんでしょうね。
 ポイントは『バレても色あせない』ところ。二人だけの秘密を持っている優越感/特別意識もありつつ、そこに浸りきりではないからこそ、バレても動じないのですね。ここでも、過去に繋がる気持ちをいまだ持ちつつも、女々しくなくきちんとした強さを持っている主人公像が見えてきます。

 過去を思い返しながらも、しっかりと今に腰を下ろしている。そんな姿勢だからこそ、このキラキラとした曲調にうまく乗るんだろうなあ、と。思い出に浸りっぱなしだったら、もっと切ないマイナー調とかでないときっと合わないでしょうから。


※過去曲を多数引っ張り出しているマニア向けレビューは、すでにこちらでやっているので、スピッツファンの同志はそちらをどうぞ。

スピッツ

コメント(0)| Track back(0) | 2006年09月30日

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