ギター・ベース・ドラムの3ピースバンドACIDMANの3rdアルバム。
歌詞にまったく恋愛が絡んでこないなど、「人間関係」ではなく「世界との対峙」をストイックに硬質に描きあげる徹底された世界観。レベルの高い演奏能力、息の合ったアンサンブル能力に裏打ちされた、強弱やリズム、テンションの幅の広さ、曲展開の鮮やかさ。この二点において、邦楽界では非常に稀有な存在です。一度は聴いてみてください。ほとんどすべての音を三人で出しているとは思えない、ダイナミズムある音楽世界が広がっています。
内容が濃いです。シングル「水写」「イコール」、前編と後編に分かれている「彩-SAI-」、なんとディズニー音楽のカバーである「colors of the wind」、そして一曲で10分近くありひとつの世界を構築してしまっている「廻る、巡る、その核へ」と、実にさまざまですが、統一感はまったく欠けてません。インスト三曲も聴いていて退屈しないのは、やはり音だけでの表現力の賜物でしょう。
さて、ややディープな話になりますが。
1stアルバム「創」2ndアルバム「Loop」から確実に変わったと言えるのは、なによりも詞ですね。世界そのものを見つめる透徹した視線は変わらずにありますが、今までと異なるのは、そこに、視点人物、つまり書き手の意志が入り込み始めた、という点です。
今まではほとんど、書き手は客観的な描写に終始する傍観者でした。とりとめのないつぶやきを漏らすことはあれども、思考に志向を持つことはしなかったように思います。
それが今回は、はっきりと意志が感じられるのです。たとえば「FREAK OUT」は遠まわしではありますが、これ反戦の歌ですよね。『war is over 何回目だ?』なんて、ドキッとさせられる皮肉に満ちています。こちらの インタビュー記事によると、今回は全曲にそうした思いが入っているとのこと。
そうした反戦、平和への気持ちがさりげなく混ざっている他にも、先行シングル「イコール」の時のレビューでも触れたような「発見」の驚き、新しい意識の誕生のようなものが、全体に溢れているように感じられます。
『木漏れ日に舞う粒子達が 世界を一つ創り出した
透明な迷路を超えて イコールで繋ぐ』
(「イコール」より)
「創り出した」「迷路(≒ループ?)」「イコール」と、意図的なのかそうでないのか、アルバムタイトルらしきものが揃っているフレーズです。で、まさに今回は「繋ぐ」という確かな意志が感じられる作りになっているので、この箇所は実に象徴的なフレーズです。
「創」で世界観と音をバシッと叩きつけてきて、「Loop」ではバンド性を内向きにひたすら煮詰めていた彼らですが、今回でついに、外に向けて自らを発信しようとし始めました。音楽も、どこか吹っ切れて一歩前に出てこようとしているように感じられます。
ただ、個人的には、前作「Loop」の、方向性を失ってただ高まる混沌とした密度の濃い音のが好みだったりして、外に発散していく道を見つけた今作は、ちょっと感じられる圧力的に物足りない部分もあったりしました。まあ「Loop」みたいなの何枚も作っていたら、精神とか病んでしまいそうですが。
でも、他人に勧めるんなら、断然この「equal」ですね。「創」の頭のシングル三曲連続はものすごいインパクトなんですが、一枚通して全体的な出来のよさで見れば、今回がもっとも安定しているかと。
ACIDMAN
コメント(0)| Track back(0) | 2004年09月30日
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