読み進めるのが辛い。一度雑誌で読んでいるのにもかかわらず、まとめて一気に読み返せない。でも面白い。厄介な漫画ですよ、ほんと。なにせ、いまだ、これが「どういう漫画なのか」がわからないまま、どんどん重そうな展開に入り込んでいるわけでして。
単行本の帯には「アナーキーかつ純粋な子供の目線で社会を告発する問題作!」とあるんですけど、そんな単純なものじゃないと思うわけですよ。キーチはとても子供とは言えないし、かといって大人とはさらに呼べないし。彼は彼としかくくれないし、彼なりに行動して、周りを動かして、彼なりに成長していく、そういう存在で、だから彼がどこにたどり着くかなんて、まったくわかんないんです。わからないがゆえに、面白い。彼を取り巻く、彼と合わない/合わせられない環境とのすれ違いにやきもきさせられても、彼がどこまで進んでいくのかが、気になって仕方がないわけです。
とりあえず、単なる「破天荒な主人公漫画」じゃあないです。そういう読み手側からのくくりが通用しない、新井英樹の漫画のむせ返るほど濃い登場人物たちの中でもひときわ異彩を放った主人公、それが「キーチ」です。
お勧めはしません。悪いことは言わないからまずは「SUGAR」のほうにしましょう。
新井英樹
コメント(0)| Track back(0) | 2004年07月17日
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「15人の少年少女が、巨大ロボットに乗って謎の敵を倒すぞ!」と書くと、なんら間違ってはいないんですけど、おそらく詐欺になります。この作者を知っている人なら誰でもわかるとおり、熱血さの欠片もなし。むしろ血が凍りますよ。はい。
もうすっかり前作「なるたる」のことがあるんで、非常にはらはらしながら読んでいます。「この人のことだし、15人も出したってのは、きっと、だんだん、一人ずつ頭数が減っていくってことじゃ・・・」という恐ろしい考えがよぎり、っていうかそうに違いない、なんて設定知った段階から考えてしまってまして。ほんと、ためらいなくそういうこと描くんですよこの作者。
で、読み進めてみたら、・・・そう来たか!って感じですわ。うわ、うわー、何てことをしやがるんだ!というか、流石だやってくれる!というか。いや、一応言っておくと、一人ずつではなくまとめて死んだとか、そういうことじゃあないです。というより別にその「15人の少年少女」たち、少なくともこの巻では誰一人、敵に殺されたりはしてないです。でも、ある意味、それよりヘコみますよ。ほんと。
話の展開のさせ方からして、15人いっぺんに動かすのではなく、一人ずつにスポットを当てていく形式のようです。その辺はきっとすでに決めていて、細かく描写して行ってくれるはずです。そういう緻密さは持ち合わせている人だと思うので。ただそうして行き着く果てが、素晴らしい結末になるかどうかは危ないところです。素晴らしいってのは別にハッピーエンドを求めているわけではなくて、バッドエンドにしてもやり方ってもんがあるだろう、と前作で思ったからだったりします。
なんか、短編集も出ているらしいです。そっちはあんまりグロい展開はないらしいです。また買って書くと思います。
鬼頭莫宏
コメント(0)| Track back(0) | 2004年07月15日
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ベタベタなことはベタベタな展開ですが、19世紀イギリスという舞台とか階級差のある恋という設定とかがもう、王道な話運びでこそ映えるものであるわけでして。この一冊はいったん離れた二人が再会するというまさに盛り上がる部分なうえ、いろんな人が絡んで、しかも展開も怒涛の速さで読み応えあります。ベタな展開でぐわっと盛り上がるってのは昔から苦手で(嫌い、とは違うのですよ)深呼吸しながらページめくってましたが。
作者の変質、じゃない偏執的な嗜好がすべてプラスに働いていて、実に恵まれた作品です。とにかく楽しんで描いているなあ、メイドさんと19世紀イギリスが大好きなんだなあ、というのがびしばし伝わってくるし、それが見事に雰囲気を形作っています。やっぱり、女性作家だからという部分も大きいでしょうけど。男性作家が描いていたらこんな上品さは出ないでしょう。間違いなく。
BGMはエルガー「エニグマ変奏曲」で。イギリスの作曲家だと、手元にあって合いそうなのはこれしか。「威風堂々」もホルスト「惑星」も違うし。
あ、エニグマのCDに入っていた「チェロ協奏曲ホ短調」のほうが合うっぽい。雰囲気的に。エルガー渋くていいなあ。
エマ
コメント(0)| Track back(0) | 2004年07月10日
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面白ければ、少女漫画だろうが何だろうが読みます。だいたい女性は当たり前のように少年漫画を読むのに、男性が少女漫画を読むのが変、というのはおかしいかと。
まあ、でも、実際本屋で少女漫画コーナーに入って本を物色するのはちょっと厳しくて、なのでチェックしていないうちにこの話も二冊出てました。そして結局アマゾンで買いました。やっぱり世間の目は気になります。
男が少女漫画読んで何が悪い、とは言いましたが、やっぱり男が読んでも面白い少女漫画って、特に恋愛ものだとそんなにないんですよ。男がもう生物学的に理解できないタイプの感情を中心にして、全体ができているってものが多く。そういうのが面白い男性もいるとは思いますが。この辺りは邦楽の世界にも共通してくるように思えたりします。女性の創作は、特に恋愛のことになると、同性どうしの共感に訴えかけてくる手法の人が多い、と。
でもこの作者の話は、感情的な側面よりも理知的な側面が強いので、男でも読みやすいです。一時は実は男なんじゃないかと疑ったりもしましたが、男キャラの書き方見ているとやっぱり女性かなと。あと、たぶん育ちもいいし、学歴も高い。良くも悪くもそういうのが作品に反映されてきている感じがします。
なんだか、話が大きく長くなりすぎのような。作者コメント見ると、ずっと暖めていた裏設定を公開していくってとこらしいんですけど、どうも唐突に進んでいくし、キャラが能力や地位などにおいて揃いも揃ってすっかり一般人離れしてしまっているため、なんだか置いてけぼりにされてしまったような気分に。前巻までが母親、ここからは父親編で、さらにそれに絡む義父と父の回想編に入っているわけだけど、有馬はもう母親編で過去の因縁から立ち直っているわけだから、あんまりドキドキしないんですよね。作者としては、一つ一つ丁寧に残ったエピソードをを消化していきたいんだろうけど。それだったら浅羽編を早く見せてくれ!だし、文化祭のころのような、複数の関係を同時に進めまくっていたあの混沌とした流れの濃さが懐かしくなってしまったり。
前回でほのめかされていた赤ちゃんの伏線が、あっさりと読者にバラされたのにはびっくり。てことは、作中で発覚するタイミングがポイントになってくるんだろうか。作者は頭よさそうなんで、そのくらいは考えてそうかなと。
彼氏彼女の事情
コメント(2)| Track back(0) | 2004年07月01日
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オーソドックスなファンタジー少年漫画の作りでありながら、お約束過ぎない小技がいろいろときいています。
たとえば、主人公は「錬金術」の使い手で、大まかに言ってしまうといわゆる「超能力バトルもの」漫画ということになるわけですが、この「錬金術」には「等価交換」という原則があるために「なんでもあり」になってしまうインフレ現象を抑えているし、さらにこの「等価交換」の概念は、ストーリーにもいろいろ組み込まれていて面白いです。
バトルは毎回意表をついた戦法がひとつは来るし、ちょっとばかしヘビーな展開も欺瞞がなくてさっぱり読めるし、数話先までから一話内でまで大小さまざまな伏線も楽しめるし。よくできてます。
今回の話では「何者だ!」「主婦だ!」が一番ウケました。展開に関してはちょっと唐突過ぎる気がしないでもないかなーと。にしても主人公はまだ、敵の正体というか、敵がいること知らないんですよね。でも、敵側の描写が多い。これがスリリングさ出していていい感じ。
アニメも好調なようですが、原作面白いからだろうなあ。ここまで完成度の高い緻密な展開している少年漫画は、あとは「アイシールド21」くらいのもんじゃないだろうか。「DEATH NOTE」はもっと緻密だけど、あれはスリリングであるけど爽快感はないしなあ。
なんにせよ、スクエニ系では唯一追っている漫画です。まあ今さらガンガンとか買えないんで知らないだけかもですが。すっかりキャラ受けで売る漫画が増えているファンタジー漫画業界ですが、こういう純粋に面白い漫画が、埋もれずに頑張ってもらいたいものです。
コメント(0)| Track back(0) | 2004年06月24日
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うわー。連載で追っていたけど、改めて読んでみるとすごい流れになってますよ今巻。すごいっていうのは、もう「面白い」とかそういう言葉を超越してきている感じ。「思わず眉が寄り、首をかしげ、不快感さえ漂ってくる面白さ」なんです。ここまでは作者にしてはずいぶん、健全に「すげえ面白え」なおはなしだったんですけど、本領発揮、といったとこでしょうか。とにかく、本当に、先が読めない。
現在新井英樹はもうひとつ「キーチ!!」という連載も持っていて、その最新刊が今月下旬に出るよ、と「SUGAR」7巻の帯に書いてあるんですけど。かたやヤングマガジンアッパーズ、かたやビッグコミックスペリオール、出版社違うんですよ。でも確か前回も「単行本同時発売!」みたいなこともやっていて、これって二社がタッグを組んでまで宣伝しているわけで、けっこうすごいことなんじゃないかと。
新井英樹
コメント(0)| Track back(0) | 2004年06月18日
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五十嵐大介「はなしっぱなし」下巻。上巻に比べてほんのすこし発想の奔放さが落ちている気がしたけど、いやあでもすごいわこれ。一話ごとに、本当に豊かに現実と非現実の境界線上の世界と、そこに迷い込んでしまった人、当たり前のように二つの位相を渡り歩いている人、と、ありえないはずの出来事、ありえないはずのもの、奇妙だけど温かく(生ぬるく?)愛らしい空想に溢れてます。絵のみずみずしさと説得力もすごい。
今回のお気に入りは「アメフリ」「風になるはなし」「雪灯籠」「華と豺(やまいぬ)」「コイとサギのはなし」「ヒダリマキマイマイ」あたり。話が好きなのと絵にハッとさせられたのと、二パターンあり。
五十嵐大介
コメント(0)| Track back(0) | 2004年06月15日
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こりゃ・・・すげえわ。センスオブワンダーって言葉は、まさにこういうことなんじゃないか。短い一話ごとに描かれるのは、日常の何気ない風景と、明らかに異質な「何か」との交流。現実と非現実がまったく境界なく描かれるから(もちろん作者はそう感じさせようと意図しているのだけど)、読んでいて首をひねってしまう人も多いとは思うけど、つまりこれは現実にあるものごとも非現実的なものごとも一様に紙の上に描けるっていう「虚構であること」を武器にして、不思議空間を作り上げているわけですね。
できるだけ堅苦しくならないように言いたいことを整理すると、例えば現実にはペンギンが空を飛ぶことはないけど、絵で描くんだったら当たり前だけどできるわけですよ。んでさらに、「ペンギンが空を飛んでいるのが当たり前だと思っている」人や社会も一緒に描くことができるわけです。そうすると読み手は「変なの」と思う。
この漫画は、その「変なの」を「変、だけど/だからこそ、面白い」まで読み手を軽々と持っていってくれます。細かいとこまでしっかりしている割にドキッとするほど味のある絵柄や、「空飛ぶペンギン」なんてありがちなもんじゃない、異様でユーモラスで不気味で愛おしい「非現実のもの」をいくつも生み出すセンス、そういうところに拠るものでしょう。
とりあえず「虹を織る声」「博物館で月見」「竜田姫に魅入られた話」「こんな冷え込んだ日には空を見ながら歩かないほうがいい」「飛猿」「ガガガガ」あたりが好き。下巻もまとめて買ってくるんだったと後悔したり、でもゆっくり読みたいからよかったかもしれないとも思ったり。
五十嵐大介
コメント(0)| Track back(0) | 2004年06月13日
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