J-POPヒットチャート歌詞分析ブログ

現代ポップス考。(移転しました)

KAT-TUN「SIGNAL」
      

SIGNAL (通常盤)
J-One Records
ma-saya,JOKER,白井裕紀,新美香, KIRA

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<ちょっと斜に構えつつポジティブさは崩さない、アイドルグループの新しいスタイル>

 スガシカオ作詞・B'z松本孝弘作曲の「Real Face」でデビューを飾ったKAT-TUNの、セカンドシングル。前作はジャニーズらしいまっすぐなポップチューンでしたが、今回はちょっと趣向を変えて、ミディアムテンポで歯切れのよいダンサブルな楽曲になってます。CMタイアップの関係もあるかもですが、あんまり方向性を限定せずにいろんなことをやりたい、やらせたいのでしょうね。
 デビュー曲でも(実は)そうでしたが、『癒されちゃ もの足りない…/頑張るだけじゃ 救われない…』というような、ちょっと「斜に構えた」スタンスが感じられます。今までのジャニーズグループだとこういうのってわざとらしかったり、なんだかんだ言って優等生っぽく感じちゃったものですが、彼らははじめてナチュラルにそういったイメージを出せるグループなのかなあ、と。
 まあ、最終的な落としどころは『Your heart 決して ひとりじゃない/話してごらん』とファルセット混ぜて優しく語りかける、というようになってはいるんですけどね。まーアイドルグループが救いのない絶望的な歌なんか出したらそれは世界の終わるときなので、こうでもらえないと、というか。

 ただリードボーカルをチェンジしていくだけというわけじゃなく、サビでは全員+一人がリズム良く切り替わっていったり、メロディの下に『Take it easy now』などをかぶせてきたり、ちょっとスローになってファルセットでの歌い上げパートからサクッとラップに繋がったり、リフレインではアドリブっぽく「Yeh〜」とフェイクを絡めてみたり、チキチキ言ってたり、咳したり…と、なかなかに多彩です。こういう単色イメージの曲はえてして飽きやすいものですが、曲そのものが短くまとめられていますし、こうしていろいろ手を変え品を変えやってくれるといいですね。ところで、前奏で咳しているのは一体誰なんでしょうか。
 ただ、せっかくの歌い上げパートからすぐに低音ラップに移り変わるのは、余韻を潰しちゃっているような気も。間奏入れてからラップやって、それでサビリフレインに持っていったほうが良かったのでは。
 ところで、咳しているのは一体誰なんでしょうか。

 なんにせよ次回はまたさらに趣向を変えて別の方向に挑戦してもらってもいいかなと。じゅうぶんにファンはいるし、それは今までにないスタンスだからこそという面もあるでしょうし。
 彼らは男性アイドルのパラダイムシフトそのものたるべき存在として登場したのでしょうし、せっかく事務所全体が今好調で活発な時期なんですから、守りに入らずにあれこれチャレンジしてほしいなあと思います。

KAT-TUN

コメント(4)| Track back(0) | 2006年10月14日

ケツメイシ「男女6人夏物語」
      

男女6人夏物語

トイズファクトリー
ケツメイシ, YANAGIMAN, NAOKI-T

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<細かくストーリーを語ることで、付き合いたての楽しさと不安が浮かび上がってくる>

 どこかのドラマでやっていたようなタイトルの、ケツメイシこの夏のシングル。
 ストリングスの多用、ラップというよりは歌モノに近いノリ、気だるい雰囲気などなど彼らの特徴がよく出ています。

 特徴としては、はっきりと筋道が示されたストーリーがあることですね。『夏の遠出 海の方へ/男女3対3』の旅の様子が描かれていて、なおかつそれは主人公にとっては『君と付き合ってから初めての小旅行』でもあります。で、他のみんなには二人が付き合っていることはどうも内緒の模様。それを受けての、サビの『確かめる君との恋を 目と目だけ合わせて/気づかれないように笑う』という状況になるわけですね。

 他のみんなといつも通りにはしゃぎあっている、でも二人は実は友達以上のつながりがあって、秘密の目配せをしあったり…付き合いたての頃っていうのは何でも楽しいものですが、こうしてお互いに特別な存在であることを確認しあうというのは、「二人だけの秘密」を持っているという点もあって、特に楽しいものです。バレやしないかというドキドキ、仲間の目の前ではお互いに普通にしか振る舞わないけど、気持ちは通じ合っているという自信と優越感、夏の海で盛り上がる感情がメインに据えられています。

 が、はじめこそ『どうせ本命は俺のようで』と自信満々だったのが、ちょっと状況が変わっていきます。『そろそろ 君と過ごす時かも/見ると奴と君との距離がおかしい』…よぎる不安。
 まあみんなでの時間を楽しんでいるならいいか、『まあ いつでもいい ここ来たいなら』と余裕ぶってふるまうも、内心だんだん気になってきて…という、ちょっとしたラブコメの一場面みたいになっていきます。付き合って間もないハッピーな気分から、その時間の短さが不安を掻きたてて…という。こういう感情ってのはやっぱりストーリーしっかり語らないと表現できないですよね。

 で、最終的にどうなったか、結論は描かれていません。まあ、そのままいいムードになっていたアイツにそのまま持って行かれてしまうのも、単なる取り越し苦労で後で胸を撫で下ろし二人で笑いあうのも、どちらも夏という季節にはよくあるストーリーなわけで。その一コマを切り取って見せたに過ぎないのさと言わんばかりに、最終的には『それぞれが 夏と語る 輝く』という風にまとめられています。一人称視点とこういう傍観者視点が入り混じるのはあんまり好きじゃないですが、まあこういうカッコイイ語りが入ると「キメ」になって聴き手に響きやすくはなります。

 さて、ストーリー仕立てのヒップホップというと、今年に「純恋歌」で躍進した湘南乃風を思い出します。業界の流行を押さえつつ(?)、「さくら」で周知の通り叙情的な雰囲気や「君にBUMP」で見せたようなちょっととぼけたシチュエーションを作る自分たちのスタイルをきっちり見せつけています。
 あと『夏の思い出 手を繋いで』と、どこかで耳にしたようなフレーズが…これって、もしや、パクリか!?

 ところでこの曲、デュエット扱いで、Mao-d(傳田真央)が参加しています。ただ、デュエットというほどには出番がないような。

ケツメイシ


※「パクリか!?」というのは、もちろん冗談ですよ?
 念のため。

コメント(0)| Track back(0) | 2006年10月08日

GLAY「G4」
      

G4

東芝EMI
TAKURO, GLAY, 佐久間正英

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<確かな重みのある「ずっしり感」漂う曲世界>

 昨年はEXILEとのコラボ「SCREAM」のみしかシングルを発表せず、実に「ホワイトロード」以来のオリジナルシングルとなります。お久しぶりです。

 で、そんな長い沈黙開けの新曲は4曲構成になっています。どの曲もそれぞれ個性はあるものの、それぞれにいかにもGLAYらしい王道で作られているような感じ。良く言えば安定感信頼感があるし、悪く言えばマンネリといったところ。まあ久々なので、改めて自らの音楽性を確認するような意図なんでしょうか。

 とはいえTAKUROという人は基本的にマジメな作曲家なので、自らの作風を守りつつデッドコピーにはならないよう毎回ちゃんと味付けを変えたり工夫したりしてるんですよね。
 「ROCK'N'ROLL SWINDLE」ではサビの『WAY!』の連呼が耳を引きつけますし、「誰かの為に生きる」ではリフで珍しくコートに対してM7の音を効果的に使っていたり、「LAYLA」はその名前を繰り返し呼ぶパターン化したメロ部分、「恋」はさりげなく混ぜられる2種類の調性。そういう要素を常に開拓しつつ、サビのキャッチーさや真摯な主人公像は押さえておく、という作り方は常に考えているんだろうなあと。


 さて、では曲ごとに詞を見て行きましょう。
 「ROCK'N'ROLL SWINDLE」。さて「SWINDLE」とは「詐欺、いんちき」という意味だそう。世の中に疑問を投げかけ、自らに奮起を促すというのが大筋でしょうか。社会批判をするフレーズはもう珍しくもないものですが、たとえば『未練なんかない 思い出もない』とかはちょっと気の利いたフレーズです。ありがちそうに見えて、思い出をばっさり切り捨てるというのは、ただなんとなくそれっぽい言葉を並べようとするだけでは出てこないかと。
 あと個人的には『ぬるいビル風 誰のせいだろう?』が好き。都会の不快感と閉塞感、自分以外の力に翻弄される自分、やり場のない怒り、みたいなものが詰まってますよね。こういう想像力が広がる表現はいいなあ。


 ちゃきちゃき行きましょう、「誰かの為に生きる」はタイトルからしてGLAYっすね。メロのハイトーンのすっと抜ける歌い方が新鮮。
 『誰かの為に生きる それも悪くないね』ということですが、別にこれから運命の相手を探すという歌ではなく、きちんと「君」がいます。自分の満足のために恋愛をするのではなく、『時に厳しさで 時に優しさで/歩いてゆけばいい/僕はいつも ここで笑っているから』と、相手をそっと見守る生き方を受け入れようというわけですね。『生まれたままの愛で』と言ってますが、どちらかというとこういうシチュエーションは年季の入った重みのある愛じゃないかなあと思ったりも。


 はい、「LAYLA」。こういう名前呼びかけ系の歌ってありましたっけ?GLAYのイメージだとあってもおかしくないですが。
 だいたいこういう名前アリの曲って、いわゆる「ひとつの理想的な女性のイメージ」が託されている場合が多いです。ひとつのはっきりした正確とそれゆえの魅力を持つ女性を描きたいため、名前を与えてはっきりと輪郭づけるのですね。で、それが母性的な人だと「MARIA」になったりするわけです。
 で、今回の場合は、憧れてしまうような凛とした強さを持つ女性。なんというか「LAYLA」という名前を選ぶあたりも含めて、GLAYらしいというか。

 で、『「一番大切なモノは決して目に映るモノじゃない」』とかあってうわーと一瞬思ったんですけど、『と判った振りの自分がいる』と続いたので安心しました。さすがにもうそんなストレートには言わないっすよね。


 ラストの「恋」これだけがバラード。とにかくサビの言葉がすごくて、韻を踏みつつ短く言葉を繋ぎ、多角的に恋愛というものを捉えようとしています。『叶わぬ願い 厳しくも恋/奪うのが愛 降り積もる迷い』…奥深く突き詰めようとするあまり、なんというか演歌でもいけそうなくらいになっています。
 そんな恋愛哲学が表に出ていますが、よく読んでみると別れのシーンも混じっていまして。終わってしまう時にこそいろんなことがわかるのが恋愛だというのは、ひとつの真理なんだろうなあ、というのはわかる気がします。


 ちょっと上を行く皮肉。そして見守ることを選んだり憧れの生き方を見出したり時に哲学的になったりと、どこかずっしりと重みがある恋愛の描き方。オトナ、とは言わないまでも、ある種人生経験を感じさせる手ごたえがあるのが、昔からのGLAYの詞の特徴ですね。
 対して、今のJ-POP界の大筋の流れは、「少年性」にあるんじゃないかなあという感覚があって。何かと悩みの真っただ中だったり、今このときが大事だったり、男らしさ女らしさよりも中性的な雰囲気が好まれたり…そういう傾向ですね。
 なんというかGLAYはちょっと今の時代からズレてきたかも…と感じたりするのって、ここに差ができているからではないかなというように思うのですが、いかがでしょうか。

GLAY

コメント(2)| Track back(0) | 2006年10月07日

甲本ヒロト「真夏のストレート/天国うまれ」
      

真夏のストレート / 天国うまれ (初回生産限定盤)(DVD付)

BMG JAPAN
甲本ヒロト

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<あえて細かさのない荒削りで、それでもふいに奥まで迫ってくるような言葉たち>

 ブルーハーツを10年、ザ・ハイロウズを10年、フロントマンを務め続けてきた甲本ヒロトの、初のソロシングル。
 …とはいえ、すでに朋友マーシーこと真島昌利と再び手を組み、クロマニヨンズとしてバンド活動を再開していたりします。なのでこのソロは、非常に貴重な一枚なのかも。

 シンプルなメロディワークとシンプルな言葉を選ぼうとする曲の作り方は、今までと何ら変わっていません。それでいて『「明日こそは」と つぶやいて/泣いたのは おとといだった』と、平易で飾り気のない言葉だけで奥行きのある意味生み出してしまうセンスも、また。
 こういう凄さって解説しづらいんですが、単純に言ってしまえば「明日よりも今日」「今が一番大事」というメッセージなんですが、それだけなら誰にでも言えちゃう、誰が言っても同じなわけです。それを、『明日なんか もう知らないよ/今日の勝ち』と、ユーモアを交えつつただ一人しか表現できないフレーズにしてしまっている、と。

 この曲での「真夏」とは、イメージです。燃えたぎる情熱とか、渾身とか、ハイテンションとか。夏という季節自体がかもし出す昂揚感とか、そういうものを全部凝縮して一言にまとめたのが「真夏」。だから『夏が終っても/真夏はそのまま』なんです。季節が移り変わっても、夏のようなギラギラした感情はいつまでも「まっすぐ」持ったままだ、というような。
 それにしても、『ワッハッハ 我こそは/この身体の/総理大臣』と言っちゃうのも、他人には真似できないセンス。もちろん自分自身が身体を動かしているんだから当たり前と言えば当たり前なんですが、悩める若者だと「いや、でも僕の意識というのは…魂は存在するのか…」とかなんとか、あれこれ考え込んでしまいがちな人もいるでしょう。そういう葛藤を軽くぶった切って、偉そうにすっぱりと言い切ってしまうこの爽快さ。あれこれ思い悩むよりも、不敵な自信を持って笑っていたほうが、ずっと賢いのかもしれません。


 カップリングの「天国うまれ」は、映画「THE有頂天ホテル」での挿入歌として使われた一曲。とはいえ、こちらは「真夏のストレート」よりも不思議な世界。

『ドンキホーテ サンチョパンサ ロシナンテ & 俺/ふるさと遠く 天国うまれ』
 セルバンテスが書いた世界初の近代小説といわれている「ドン・キホーテ」の登場人物と、そこに加わる、俺。これは単に有名人と俺は同列、みたいな強い自己主張というわけではなく、その小説の暗示するような生き方をしたい、くらいの意思表示なのかなあと。
 風車を敵(竜?)と勘違いして突進していったりして、かなりアレなんだけど、騎士の高貴な精神を持ち続けているドン・キホーテ。(サンチョは付き人でロシナンテは馬。一般常識の範囲かもですが一応)まあ、キレイに言えば「人に笑われても自分の行き方を貫く男」というキャラクターです。とはいえ、原作は生き方を貫いたばっかりに散々な目に遭う喜劇として描かれているんで、まったくカッコいいキャラではなく。でもだからこそ、「カッコいい」よりも「笑い者」の要素が強いからこそ、この3拍子の緩やかな雰囲気の曲に乗せて「俺」を並列にしようとしたのかもしれません。
 天国の生まれで「ふるさと遠く」ということは、単純に繋げると今は天国から遠い場所にいるということで。それはすなわち「現世に生きている」ということに他ならないのではないでしょうか。…まあ、曲中で『チンタッタ 3拍子で』と言っちゃったり、ゆる〜い雰囲気の曲なんで、あんまり難しく考えないで聴いていたほうがいいのかもしれません。『叶わない恋もある あきらめてしまえ /叶わない夢はない あきらめるな』という対句もなんだか意味深ですが、あんまり真剣に意味を探ろうとしても面白くない類のフレーズのような気がします。(ある種、正論ですし…でも正論だと思って見ちゃうと、つまんない)「なんとなく、響くかも」くらいで、ぶらぶら歩く心地で聴くくらいがちょうどよさそうです。


 バンドの音楽も形態もそれはそれでいいものですが、本音を言うともっとソロを続けてほしかったかも。バンドだとやっぱり、形態としての「ロックンロール」に縛られてしまう面もあるはずなので…ロックの枠にとらわれず、でも思想は(今回のように)ロックな、適度に力の抜けたタイプの名曲がきっとザクザクできたと思うんですよね〜。
 もちろん、まだまだバンドで突っ走ろうとするその飽くなき活力は、それはそれで尊敬してしまうところではありますが。

甲本ヒロト

コメント(0)| Track back(0) | 2006年09月27日

関ジャニ∞「∞SAKAおばちゃんROCK/大阪ロマネスク」
      

∞SAKAおばちゃんROCK (通常盤)

テイチクエンタテインメント
関ジャニ∞(エイト), 久保田洋司, 馬飼野康二, 相田毅, ha-j, 飯田建彦, 大坪直樹

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<ユーモア満載のの中にも、ほんの少しの絆/地域性アピールにとどまらない、地元愛ある哀愁ソング>

 このところ非常に活発な展開をしているジャニーズ勢力ですが、その中でも独自の方向性を開拓しているのがこの関ジャニ∞。「浪花いろは節」 「大阪レイニーブルース」 「好きやねん、大阪。」と、ひたすら地元関西(今のところ特に大阪)に根ざした歌ばかりをシングルで発表し続けています。大阪ネタが尽きやしないかと心配ですが、そうしたら京都や神戸なども歌っていくようになるんでしょうか。

 さて、この曲はひたすら大阪のおばちゃん達の生態を陽気に挙げていく内容になっています。『買いもん行ったら 絶対値切る』とか「ああ、ありそう」と思うものから『ベルのかわりに 自分の口で チリンチリン』とか「マジで!?」と思うようなものまでいろいろ。嘉門達夫とかウルフルズあたりもやってそうな、地元に根ざしたユーモアです。
 途中には掛け合いのセリフ回し(もちろんおばちゃん言葉で)もあったり、面白さを主軸にしている中にも、『おかん わかるで ボクだって その心意気 継いでるで』と家族の絆を見せたりも。それも『見習うべきは ずうずうしさと たくましさと ムラサキメッシュ』と、さりげなーく「たくましさ」を混ぜ込んでいて、うまいなーという。いい言葉を最後に持ってくると感動は高まりますが、それよりも大オチを優先するところは、さすが関西密着型を標榜するだけのことはあります。

 でもこれ絶対ロックじゃないよなー。ジャンル的には、ブギウギ?だいぶ懐かしい感じですね。まあ、大阪のおばちゃんの生き様は確かにロックかもしれないので、これでいいのかも。


 で、カップリングの「大阪ロマネスク」はしっとりとした哀愁歌い上げ系の楽曲で、デビュー前からファンの間では人気の高かった一曲なのだそうで。
 あるひとつの、大切な恋の回想。さまざまな思い出が生まれた関西の各地が歌詞に織り込まれています。御堂筋、梅田駅、心斎橋、難波の庭園、神戸、戎橋…どこかまでは詳しくないのでわかりませんが、曲中登場する『ふたりではしゃいだ 観覧車』にも、おそらく実際のモデルがあるんでしょうね。『振り向いた 交差点』は、さすがに特定はないかな。

 で、まあ地名を織り交ぜて過ぎた日々を想う、とかだとほとんど演歌や歌謡曲の世界で、実際曲調もそれを意識しているのだと感じます。ただやっぱりキラキラ感のあるアレンジは、レトロさを感じさせつつ、しっかり今時のポップですね。
 さらに歌詞で上手いなーと思ったのが、『この街の言葉 乱暴と言ったね/でも僕は 変えないよ/「好きや」と言うから』という一節。大阪をただ舞台にするだけにとどまらず、大阪を愛していることが示されているんですね。単純な「ご当地ソング」ではなく、そこに根ざした「地元ソング」になっているわけです。

 ところで、街の言葉になじまない「君」は、関西圏の人じゃないんでしょうか。別の土地からやってきた「君」と地元の「僕」とのロマンス…というとドラマっぽいですね。「君」は今はずっと遠くへ行ってしまったのでは、というように想像も広がりますし。
 まあ、大阪内でも地域によって言葉は微妙に違っていたりはするので、そこまで遠くとかではないのかもですが。

関ジャニ∞

コメント(3)| Track back(0) | 2006年08月27日

ゴスペラーズ「一筋の軌跡」
      

一筋の軌跡/風をつかまえて

KRE
ゴスペラーズ, 鷺巣詩郎, 安岡優, Ryuichiro Yamaki, 北山陽一, 山田ひろし, Maestro-T

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<輪に誘いながら代わるがわるに繋ぎ重ねられていく「歌」のための歌>

 非常に久しぶりのような気がする、歌唱集団ゴスペラーズのシングル。そして、ハーモニーを重ねて歌い上げるバラードのイメージが強い彼らにあって、今回の「一筋の軌跡」はアップテンポ・ナンバー。
 で、これが凄い。はじめから終わりまで、ずーっとハイトーンで走り抜ける構成になっております。休みなく、入れ替わり立ち替わりに披露される伸びやかなボーカル。まさに、かなり高い位置でメロディラインが「一筋」につなげられていくのですね。

 『一つになるのさ 一筋の軌跡を追って』詞のメッセージはシンプルで、何度も連呼されるこの一点に集約されています。ここでいう軌跡とは、『溢れる音が/光を集めて 世界を照らす日まで』というフレーズや上に挙げた曲の作りからしても、「メロディライン」…歌そのもの、と想像することができます。音楽、歌への信頼や愛情を示す、あるいは彼ら自身のスタンスを再確認するといった意味合いがあるのかなあと考えたり。
 で、「一つになる」といっても、まったく同じものを強制するというわけでもないのですね。『ソロエ チラセ ズラセ ハモレ』とか『1.2.で口ずさむ 3.4.で入れ替わる』とあるように、一斉に歌うというよりも、思い思いに参加していくとか、歌い継いでいくとか、そんな方向性を指し示しているように感じられます。斉唱ではなく、重唱とか輪唱とかの方面、みたいな。まあ、コーラスグループという性質上、全員が同じ音を歌ったら意味がない!というのがあるわけで…そんな彼らの立ち位置も影響しているのかもしれません。

ゴスペラーズ

コメント(0)| Track back(0) | 2006年08月06日

GOING UNDER GROUND「VISTA/ハミングライフ」
      

VISTA/ハミングライフ(初回限定盤)
ビクターエンタテインメント
GOING UNDER GROUND, 河野丈洋

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<持ち味を生かしつつ曲構成への挑戦を/日常賛歌を素晴らしく響かせるために>

 ベスト盤も発売したGOING UNDER GROUNDのこのシングルは、今までの胸キュン系爽やかロックサウンドを踏襲した「VISTA」と、穏やかなシャッフルのリズムを打ち出して斬新さを感じさせる「ハミングライフ」との両A面シングル。


 これまでの路線を沿っていると上に書いた「VISTA」ですが、まったくいつもどおり、というわけではないです。4/4の中に2/4が挟まってきたり、3連のリズムがぐぐっと盛り込まれてきたり、突然のリズム転換が非常に頻繁に行われます。途中、いったん曲が止まり、またイントロのフレーズから再開するなど、ドラマティックな展開が仕込まれているんですね。『きみを景色に重ねてた/違う世界に生きていると思ってた』という考えから、『いまぼくらを つまぐ世界はひとつだろう』と感じるようになるまで、曲構成のダイナミックさが詞世界のストーリーをイメージさせてきます。また、前へ前へと進もうとしているような感覚も自然と匂わせることになります。
 このため、全体にかなり動きのある構成ではあるものの、滑らかなメロディラインとボーカルが安心感を与えてくれるので、せわしないというようなマイナスの感触はあんまりなく、まとまっています。こういう挑戦的な作りの曲を聴くと、バンドが成長しようとあれこれ試みているのが見て取れて面白いですね。


 一方の「ハミングライフ」はまさに新境地。少なくともシングルでは常に直線をひた走るような曲ばかりという印象で、こんなに揺れるノリはなかったんじゃないかなと。
 「La La La…ハミングライフ in Tokyo」と繰り返すコーラスが、非常に印象的です。はじめにボーカルによって提示され、その後はコーラスがサビの『この街も あの街も 物語になる』と歌われるメロディラインの裏で歌っています。ふたつの旋律が同時に奏でられ、絡まりあうような構成になっているのですね。そこに、さらに切れ目のなく続いているストリングスも混ざってくる…そうして複数の旋律が渾然一体となり、うねりとなって聴き手に響いてくるのです。

 『人混みの中へ埋もれてしまっても/ぼくはぼくのまま きみはきみのままで/いられるかな』…都会に住んでいる人であれば、誰でもどこかで考えている不安が描かれています。そんな思いを抱きつつも、それでも『ぼくの目も きみの目も 同じようで違う』という気付きに思い至り、そして高らかに『ハミングライフ in Tokyo』が提示されます。
 シティライフソングの模範的な流れではないかなと思いますが、緩やかで広がりのある雰囲気や上記の複数のメロディの交錯などの要素が、「日常への祝福」といったささやかな幸せを願い、暮らしていこうとする曲の趣旨に非常に合っているなあと感じました。

GOING UNDER GROUND

コメント(0)| Track back(0) | 2006年07月17日

ケツメイシ「旅人」
      

旅人
トイズファクトリー
ケツメイシ

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 <前へ向かう方向性と広がりを手にし、「循環」ではなく「展開」していく曲世界>

 ご存知、大ヒットした「さくら」から1年以上間を空けてのリリース。この長いブランクは、熱を冷ますための意図的なものなのでしょうか。次の一手はどんな曲で来るのかな、と思ったら、「さくら」のイメージから離れすぎない、ミディアムテンポの王道路線でした。

 哀愁系ヒップホップはすっかり一ジャンルとして定着しています。その中でも、「さくら」は短く細かくループする音の組み合わせから聴き手を世界に沈めこんでいくタイプであるのに対し、こちらは大きな広がりを作ろうとしているサウンドになっています。始まりから終わりまで裏でメロディアスに響き続けているストリングス。要所要所で耳に残るサビ的なメロディに回帰するも、ラップ部分は同じメロにならずさまざまに形を変えていくこと。また「さくら」ではマイナーに収まっていく4つの和音で構成されるコード進行が主体だったのに対し、こちらでは8つと倍の和音で構成され、そして毎回収束せず次の始まりにつながるような進行になっています。
 いわゆる「パッヘルベルのカノン」の王道コード進行を深めの響きにしたものが骨組みになっていますね。8つの構成で、しかもシンプルでありつつドラマティックなところがこの種類の進行の絶大な強みなのです。

 よって、「さくら」とこの「旅人」は、一聴すると似たような雰囲気にも感じますが、音楽的には実はかなり異なる工程で作られていることがわかります。
 ミニマルで断片的でぐるぐると循環し続けるところに、中毒性と過去の哀愁を込めた「さくら」。一方、大きな枠をもってその中でも先へ先へ、劇的に展開していく「旅人」。季節の循環/過去への哀愁と、旅と未来への志向/自由と広がりという、それぞれの曲の詞世界の方向性自体を、音楽そのものが表しているかのようにも感じられます。

 詞は真上で述べたように、旅に出る、『進む未来へ』というメッセージに集約される内容。そこに広がりや感動をもたらさせているのは、「〜して 〜して」という反復によるところが大きいのではと考えます。繰り返すことで強さも広がりも膨らむし、韻も踏みやすく音が揃う効果で印象深くもなる、という。
 『ありのままの旅へ』と「自分らしさ」を肯定するのは非常に正統派なやり方だなあと思いました。ただ、『悩むだけ悩んで night&day/悩んで 悩んで 悩んで行く』と「悩んで」を繰り返すところはなかなか感心しました。たとえば「信じて」とか「夢見て」とかってプラスの言葉を繰り返しても、そんなに面白くない。そこを「悩んで」だから、えっと聴き手は引き付けられるわけで。
 また、ただ人生に悩みは付き物だって言っているだけじゃなく、悩みそのものを肯定している書き方なんですね。「悩んでも(○○だから大丈夫)」じゃあない。悩みながら進むことに何か改善策を提示するんじゃなく、悩んで生きていくのが当たり前、それは決して悪いことじゃない。そんなことを伝えられているんじゃないかなあ、と。

 なんにせよ、したたかな曲作りをしているユニットです。ちゃんといろいろ計算して構築しているような印象がビンビンと。

ケツメイシ

コメント(0)| Track back(0) | 2006年07月08日

清木場俊介「人間じゃろうが!」
      

人間じゃろうが!/さよならの唄・・・。
エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ
清木場俊介

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<ドラマティックに語られるメッセージを、これからさらに掘り下げられれば>

 EXILEボーカル・清木場俊介がユニット脱退、メンバーとして最後のアルバムと同時にソロシングルをリリースしました。まあ在籍時からシングルのカップリングに個人名で曲を歌っていたり、すでにソロアルバム出したりしていたので、そういった個人を出していく欲求が抑えきれなくなった、というところでしょうか。
 今回のこの曲を聴くと、そんな思いを抱かされます。

 「〜していようが」と、良くも悪くも酸いも甘いもさまざまな人間のあり方を繰り返し、そしてどんな属性であっても『僕らは皆同じ人間だ。』…ただひたすらに、感情をむき出しにしながらこのメッセージが強く強く叫ばれています。いわゆる「勝ち組」「負け組」といったような格差/差異を真っ向から否定し、『それでも/分け合いながら/生きれたらいい』とまっすぐな言葉を投げかける。それは歌うと言うより叫びに近いようにも思えます。おそらく『僕が全てこの唄に乗せるから!』というフレーズは、本人は間違いなく本気で心から言っているんだろう、と。
 EXILEよりもずいぶんと泥臭い、地にまみれたキャラクターになっていますが、本人としてはまさにそんな、綺麗に取り繕うのではなく汚れても本心をむき出しにしていたい、そんな思いがあるんだなと感じます。

 曲にしても、フォークっぽい語りの雰囲気があったりして、生の言葉を吐き出すかのような雰囲気を出したいんだろうなあと推測。ただストリングスが入ったりアレンジがいろいろ変化に富んでいたり、直球勝負にしてはやや手が込んでいる感もします。

 またこの歌(「唄」といったほうがいいのでしょうか)の「誰もが同じ人間だ」と力強く宣言、その理想は確かにとても崇高なもので、高らかに拳を突き上げて叫ばれても恥じないだけのメッセージではあります。が、あくまでもそれは「入り口」であって。
 みんな同じ人間同士だ、それはわかります。でもそれがどうしたのか?同じならどうするのか?という点については、『分け合いながら/生きれたらいい』とだけ示されています。これは願望であって、じゃあ「分け合う」にはどうすればいいか、どう考えればいいか、というビジョンをこの詞は持っていないわけです。

 「誰もが同じ人間だ」というシンプルな考え、そのものはいいです。今回はそこをクローズアップし、ひたすらに強く主張することで大きなうねりを作り出すことはできています。ただ『全てをこの唄に乗せる』ことを理想とするのであれば、ちょっと突き詰めが足りないかなという感触。そこまでシンプルさ生の雰囲気に徹していない盛り上がる曲と相まって、一人で理想論を思い描いて盛り上がってしまっているような受け取り方もされかねません。魂を込めて歌うシンガーソングライターとしてやっていきたいのであれば、本気で泥にまみれる覚悟があるならば、理想を夢想しているままでは物足りないところです。
 「誰もが同じだ」はスタートライン。自分の言葉を振り絞って歌っていきたいのだとすれば、ぜひともみんなが分け合いながら暮らすためにはどうすればいいのか、「その先」を見据えて歌っていってほしいなあ、と。

清木場俊介

コメント(2)| Track back(0) | 2006年06月17日

KAT-TUN「Real Face」
      

Real Face (通常盤)
J-One Records
KAT-TUN, スガシカオ, JOKER, CHOKKAKU, 久保田洋司, 長岡成貢, 原一博

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<キャッチーでめくるめく大掛かりな曲の中に垣間見える、「生」の感覚への志向>

 さて、今さら紹介するまでもない話題のジャニーズ最新ユニット、KAT-TUNのデビューシングルです。去年くらいまで「かっつん」ってあだ名っぽいなーとか思っていたことは秘密です。
 それにしても、ずっとCD出さないで音楽活動を続けさせていて、修二と彰「青春アミーゴ」で強烈な追い風が吹いたところで、堂々のデビュー。実にうまくいった例ですよね。やっぱりジャニーズ事務所はすげえ。

 とりあえず、ここ最近のジャニーズになかった雰囲気がありますよね。一人称が「僕」じゃなくて「俺」っぽいというか、優等生じゃないぜ、って言いたそうとか。ワルっぽいというとちょっと違うんですが…どこかで誰かが言ってたんですが「ホストっぽい」というのはひとつありますよね正直。
 曲調からも、そんなイメージを出していきたいのが感じられます。嵐やNEWSのデビュー曲はなんだか展開が派手でドラマティックに作られていて、この曲もその流れを踏襲しているんですが、前者がポップ基調でラップを取り込んでいた形式だったのに対し、今回はやはりラップがあるものの基調はロックサウンドになっています。ま、それでもバックはジャニーズっぽい感じではあるんですが、でもストリングスじゃなくエレキギターですし。

 作詞がスガシカオ、作曲がB'z松本孝弘。狙いとしては「若者の等身大の視点」+「わかりやすいロックらしさ」というところでしょうか。結果的に、どちらも自分の仕事をきっちりやってるなあという印象。彼ららしさをそのまま出しているかって言うとそうじゃなく、「求められていること」を盛り込んでいる感じ。どっちもエンターテイナーだなあ、と。
 とはいえまったく彼ららしさがないかというと、そうでもなくて。松本孝弘のメロディラインなんか、CHOKKAKUのアレンジでちょっとごまかされてますが、らしい特徴が出ています。
 それはスガシカオにしたって同じ。歌詞の中に「→」や「×」とかが入っていたりしてずいぶんキャッチーに作ってますが、丸々遊び心だけってわけでもなく。『ギリギリでいつも生きていたいから』、この「ギリギリ」という感覚がいかにもスガらしいですね。遥か彼方まで何かを超えていっちゃうんじゃなくて、どっちに転ぶかわからないような危なっかしい位置をあえて好むようなところが。あと、『夢を語るフリしてれば/なんか大人になれる気がして』っていうどこか冷めた自覚とか、『雨上がり濡れた堤防で/はじめて君についたウソは/いまも 乾いちゃいない』みたいな、皮膚感覚を伴ってくるシーンの切り取り方とか。

 さて、この曲は『リアルを手に入れるんだ』と歌っています。これはつまり裏を返せば、「リアル」は今は手元にないんだ、ということです。
 歌詞とは聴き手へと届けるものであり、聴き手の共感を呼ぶために考えて作られたものです。ということはこの曲は、今「リアル」を感じられていない聴き手へ向かってアピールされているわけです。『思いっきりブチ破ろう』としなければ、「リアル」は手に入りすらしない。今はそんな時代なんだ、とこの歌は主張しているんですね。
 そしてそれは「ギリギリ」を求めることと深く関連しているのかもしれません。普通にただ生きていると、あんまり「ギリギリ」って感じませんもんね。『舌打ち』にしろ、『ずぶ濡れ』にしろ『牙をむき出し』にしろそれは同じで、すべては作り物でない「生」の感覚を志向しているなあ、というところで統一されているように感じます。
 そういう意味で、今までの先発隊と違ったメンバーの雰囲気も、作り物っぽくない、いまこの時における「生っぽさ」を、より感じさせようとした結果、こうなっているのかもしれません。

 しかし本当にいろんな要素を取り込んでいて豪華な曲ですが、分解していくとけっこうバラバラかもなあ。スガシカオの詞だけでも感覚的な描写とキャッチーさとユーモアとが同居しているし(それはある意味「よく時代を表している」と言えそうですが…)、ラップは輪をかけてスゴイことになってるし。でも聴いてみるとそれほど違和感ないのはすごい。CHOKKAKUの為せる業なのか。

 さて、デビュー曲にしてグループ名は定着しましたが、まだまったくメンバー名は亀梨和也しか浸透していない状況です、…よね?とりあえず今後はまた大物プロデュースでいくのか、そうしないのか、別の話題を狙いに行くのか…最近大当たりしているジャニーズの動向ですので、注目したいところです。

KAT-TUN

コメント(4)| Track back(0) | 2006年06月14日

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