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ひぐちアサ「おおきく振りかぶって」2巻。
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すっかり大ブレイクしてますよー。今、もっともホットな漫画といっても過言じゃないですよー。野球知ってる人でも知らない人でも読める、新しい野球漫画ですよー。とにかく読みましょう。話はそれからだ。
いや、ひさびさに、人を選ぶとか内容濃いからとかのためらいなく、胸を張って薦められる漫画なので、とても嬉しいんですよ。
派手な魔球も、スポ根な展開もない。だけど、等身大である選手、敵味方のそれぞれが、それぞれなりのキャラクターをもって考え、信じ、せめぎ合う。この緻密な展開がたまらないです。今回の練習試合編は、過去の因縁ももちろん大きく関わって話を掘り下げているんですけど、普通に試合だけ見ていくだけで面白い。一球ごとに考え、あれこれ動揺してしまう、揺れやすく若く熱い高校球児らしい面々。それが積み重なって、畳み込まれていく試合展開。いいなあ。
試合じゃない部分でも、ウンチクがあったり、細かいキャラの生き生きとした描写にニヤリとさせられたり、実に芸が細かいです。
しかし、こんなに話題になるとは。本屋でもあちこちでピックアップされているみたいですし、アマゾンでは1巻在庫切れになってますし。
1巻発売当初から、いろんな人に面白い面白い言っていた甲斐があるというものです。ええ。
ひぐちアサ
おおきく振りかぶって
コメント(0)| Track back(0) | 2004年09月02日
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山口貴由「シグルイ」1巻。
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もう表紙からして、一般向けじゃあないんですが。ちなみにちょっとめくったはじめのカラーページ部分も、いきなり切腹で首切り落とされるシーンだわ、タイトルコールの見開きでは男が二人裸で刀持って血噴出して腹から臓物出しているすさまじい絵だわで、やばいことになっています。
でもこれ、めちゃくちゃ面白いです。マジで。血沸き肉踊るって言葉がぴったりの、熱くて容赦なくて息が詰まる漫画。
題材である「駿河城御前試合」からして、すさまじい。十一組二十二人の真剣勝負、そのうち生き残ったものはたった六人という血まみれの史実。これだけでもうドキドキなのに、しょっぱなの試合から物凄い剣士が出てきて。んで、いきなり因縁の過去編に飛ぶのですが、ただの回想と説明でなくこちもテンション下がらずずっと緊迫感があるので、気になりません。おそらく実際の勝負は、一瞬で決まってしまうんでしょうし。
作者、コアなファンを持つ独自路線の人だってことはずっと知ってましたが、その濃さにいまいち今まで手が出ませんでした。でもこの作品は原作ありということもあって、濃さがとてもいい方向に向いています。
え、二巻も出てるのか。買わなきゃ。
山口貴由
シグルイ
コメント(0)| Track back(0) | 2004年09月02日
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王欣太「地獄の家」
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やー、ギャグ漫画でしょこれは。そう思えるくらいの破天荒なキャラクター、展開、描写っぷりが炸裂しています。ほんと笑いながら読みました。
ギャグ漫画ではないのに笑える、しかしこれは決して、やりたいことが空回りしているための笑いではないです。人間の極限を描きたい、人間の極限を超えたカリスマを描きたいっていう作者の思いはビンビンに伝わってきて、そしてその表現を追い求めた結果、あんまりにも突飛な内容の漫画になってしまっただけで。「ウッソだあ」とは感じますが、「バカバカしい」にはならないんですね。
話が始まって、即、ついていけなくなる人はかなりの人数に登るでしょうし、映画編が終わってからの展開はさすがに破綻してますが(それまでどうにかなっているほうがおかしい)でも最後まで読まされてしまいました。
王欣太
コメント(0)| Track back(0) | 2004年09月02日
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王欣太「蒼天航路」32巻。
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三国志は本当に素人で、この漫画のおかげでいろいろ調べてなんとか大体の筋だけは知っている程度なんですが。過去の史実、読み手がすでに知っていることを描きながらもこんなに面白いのは、やはり登場人物の生き生きとした描かれ方によるものなんでしょう。歴史物のポイントは、小説であれ漫画であれそこなんだと思うわけです。
で、これだけ長いことたくさんの人を絡ませつつクライマックス近くまで物語が展開してきているのに、キャラクターがまったくブレてません。歴史的事実にキャラクターを当てはめていっているというよりは、キャラクターたちがまさに歴史を作っていっているように思えるような、そんな徹底ぶりです。特にこの漢中編は、表向きは夏候淵VS蜀軍ですが、曹操と劉備という物語の中核をなしてきた二人の、それぞれ積み上げてきた対立する生き様がはっきりと出てきていて興奮します。まさにクライマックスにふさわしい高まりが、ここにはあります。
なんだか豪華愛蔵版「クロニクル」があちこちで売り出されてますけど、途中で止まっていた文庫版の刊行も再開するようなので、過去分はそっちで集めようかと思います。
蒼天航路
王欣太
コメント(0)| Track back(0) | 2004年09月02日
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新井英樹「キーチ!!」6巻。
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相変わらず濃い内容で、相変わらず読み進めるのが辛くて、そしてだんだん話が広がっていくうちに、噛み砕けない重い塊がずしんと胸にぶつかって沈んでいくような。こういう、苦しいほどに分厚い感動をもたらしてくれる漫画を、自分は他に知りません。
いやーな空気を描くのがうまくて、いやーな世界を描くのがうまくて、それをぶち破ろうとする圧倒的なパワーを、そのほとばしりを描くのがうまくて。読んでいるだけで見て見ぬフリをしたがる自分、そしてだけれども見たがる、惹かれてしまう自分を、どうしても意識させられてしまいます。作者は明らかに、読者をそうやって挑発にかかっています。
しかし、連載ではこの後さらにもう一段ひっくり返しが来るんだよなあ。揺さぶりすぎです。さらにもう一波乱くらいはありそうで怖いし。
新井英樹
コメント(0)| Track back(0) | 2004年09月02日
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いがらしみきお「ぼのぼの」25巻。
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思えば高校一年の頃、本屋の店頭で第1巻の冒頭のネタをぱらっと読んだ瞬間に「この漫画は集めなくてはならない」と、その場で五冊、イコールその時の財布の中身で買えるだけ購入したものでした。
夏休みとかの午前中にアニメがやっていたりしたので(今でもやってるんでしょうか?)ご存知の方は多いかもしれません。ただ、実は原作、10巻くらいまでは、独特の味がある非常に考えさせられる内容を含んでいます。もちろん、愛すべきキャラクターによるどたばたほんわかテイストは初期から一貫してますが。
てなわけで、アニメ路線、タイトルと絵柄の通りのほのぼのテイストを味わいたい方は13巻くらいからはじめるのがよいかと。12巻はちょっとアレな話なんで。
でも、自分としてはやっぱ初期の、あのひたすら長いエピソードが続く(でもきっちり笑える)あたりが好きですねえ。独自の性格と信念と行動原理がはっきりとあるキャラたちが、さまざまにぶつかり合い、絡み合う人間ドラマ。人間じゃないけど。
で、最新25巻。なんか刊行ペースが速いような気が。
作者が歳を取ってきているのがよくわかる内容になってきました。あんまりあからさまにそういうのはなあ。あと、ツッコミがワンパターン化しているのも難。ぼのぼのにツッコませるのはやめましょうよう。昔だったら汗を飛ばしまくるとかだったはずなのに、キャラが変わってきてまっせ。まあそんなこと言ったらシマリス君の豹変っぷりのがものすごいわけですが、でももう変わったほうのキャラのがいい味出てるしなあ。
やー、しかし、ヒグマの大将が出てくるともう無条件で笑ってしまうんですが。面白すぎる。今回はチョイ役でしたが、あれだけでもう十分ですわ。うん。
ぼのぼの
いがらしみきお
コメント(0)| Track back(0) | 2004年08月01日
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遠藤浩輝「EDEN」11巻。
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展開はガンガン進んで、ようやくこのSF世界の核心みたいな部分も出てきたんですけど、一向に盛り上がって感じないのはなぜなんでしょうか。うーん。たぶん主人公格のキャラたちが、「何がしたいのか」がよくわからない、というのがいけないんじゃないかなと。いや、主人公のエリヤは一応「妹を助け出す」って目的があるんですが、どうもそれがどこかいってしまっているような感が。少年時代は生き延びるために必死で、世の中の負の部分を見るたびにショック受けてモノローグで語っていたエリヤは、青年になってもう自ら負の世界に足を踏み入れてからは、まったく自分自身について語らなくなってしまいましたし。語らせようとしても、茶化してしまう。コミカルな要素がかなり入ってきたのも、この関係からなんですかね。誰にも本心を見せずに、感情を昂ぶらせずに行動する。そういうキャラにしたいのはわかるんですが、でもなあ。
相変わらず人がバンバン死にます。たぶん今話を動かしている数人、一人も死なずに終わることないんだろうなあ。名も無きモブキャラなんて、飛行機一機ぶん単位で死にましたしね。もはや当たり前のように死にすぎて、死んでもカタルシスがない。そういう渇いた世界を描きたいのかなあ。きっと。
とりあえず広げた話をまとめようとはしているらしいので、まだ追っていきます。ギャグも個人的には案外キライじゃないですし。料理が下手なんて古典的な設定を、「四世ともなればルーツが怪しくなる」と、人種が入り混じる世界設定につなげたのとか、ちょっと感心しました。
遠藤浩輝
コメント(0)| Track back(0) | 2004年07月27日
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鬼頭莫宏「残暑―鬼頭莫宏短編集」
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デビュー作から最近までの、七編の短編集。
って、うわ、この人デビュー1987年なの!?17年前。うそっ。絵が違う!80年代当時っぽい!しかもノリが、一昔前のサンデーっぽい!キャラのしぐさとかセリフが、高橋留美子とかあだち充っぽい!うわー!うわー!
と、取り乱してしまうほどデビュー作「残暑」は衝撃的でした。ごく普通の切ない系少年漫画だし。やっぱり少年サンデーだったし。
そしてデビューからいきなり7年飛んで、今度は1994年に少年チャンピオンに「三丁目交差点電信柱の上の彼女」と。今度は秋田書店。何があったんだろう。で、次はまた6年飛んで2000年「華精荘に花を持って」になるんですが、この空白を補足しておくと、1995年にアフタヌーン四季賞に「ヴァンデミエールの右手」で準入選、そのまま受賞作から連作短編「ヴァンデミエールの翼」を連載し、そして「なるたる」連載とくるわけで、小学館秋田書店としてようやく講談社で安定したわけです。大変だったんだなあいろいろ。
「なるたる」ですっかり「危険な作家」というイメージがこびりついてしまったんですが、この短編集だけ読むと、どれもこれも「ちょっといい話」です。この短編集だけ見ると、だんだんと「切ない話」から「あったかい話」になってきてますし。昔の二作はファンタジックさ、つまり虚構性があるのに、最近の五作は短編小説のような現実世界を切り取った話だし。連載のほうはぜんぜんそんなことないのに、使い分けがはっきりできてきているってことですかね。いつ連載作のような展開があるかとハラハラするのは間違っていたようです。連載作のほうは、絵が好みかもなあってだけな人にはちょっと薦めにくいですが、こちらはこの絵が気に入る人なら、雰囲気も話もすんなりいけそうなんでお薦めです。絵がダメな人も多いでしょうけどね。
つくづく、子供の描写がうまいです。そして、ガキンチョの憎らしい面をきっちり描いているのに、読んでいてぜんぜん不快にならないってのは、何気に見せ方がけっこうすごいんじゃないかと。そして、メカ好きっぷりや少女好きっぷりも、もちろん堪能できます。
話としては「三丁目交差点電信柱の上の彼女」の素晴らしくまとまったプロットと、「パパの歌」のなんとも言えない味がいいですね。ヒロインとしては「AとR」の天然な秋野さんが素晴らしすぎます。「よごれたきれいな」の沢渡夕子の「あの表情」にハマっちゃうと、嗜好的になにかとヤバそうなので、ぐっと理性でこらえました。
っていうか装丁がいい味出してます。名作っぽい雰囲気です。
鬼頭莫宏
コメント(0)| Track back(0) | 2004年07月17日
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五十嵐大介「魔女」
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これが、五十嵐大介の最新作です。
いやもう、すばらしい。なにってこの本の半分以上を占める「SPINDLE」がもうね、やばすぎる出来ですよ。ついにこの作者は自分の才能の生かし方、広げ方、まとめ方を会得したのかって思いました。
これまでの五十嵐大介の作品は、そのどれもが、個人の視点に終始するものでした。世界を描くことはあっても、それはいつも一部分を切り取って見せただけで。もちろんその視点から描かれる世界がものすごく魅力的で、不思議だったりする世界の切り取り方は鮮やかで、この描き方に徹したことはプラスにはなれマイナスにはなり得ませんでした。そういうスタイルで、いくつものドラマ性のまったくない短い話を紡いだ連作短編「はなしっぱなし」のインパクトは、ものすごかったですし。
でも、この、連作になるらしい「魔女」は違います。魔女、魔法、歴史、自然、世界の秘密、そうした壮大なものを、今までの独立した短編でやったように個人のドラマから見上げる一方で、「個人」を複数に増やすことで「世界」を織り成し、さらに彼らは向き合って「世界」を語り合います。これまで切り取って出されるだけだった作品内の「世界」が、ついに巨大なままで提示されるようになったわけです。
まあ、一言で言っちゃえば「いつになく壮大じゃん!すげーよ!」ってことです。「はなしっぱなし」はセンスオブワンダーにあふれてましたが、こちらの「魔女」はストーリーのカタルシスがあります。もちろん独自のセンスも健在。というわけではじめのベタ褒めにつながるわけです。
「SPINDLE」は歴史が積み上げられた街トルコを我が物にし、復讐を遂げようとする魔女と、「伝言」を預かった少女の話。壮大な群像劇をぱっぱっと語っていく、小気味よいテンポとストーリー量の多さもさることながら、最後の問答が圧巻。「本当の秘密は、永遠に秘密のまま」うん、それを説得力もって提示できた人が過去何人いただろう。
「KUARUPU」は、熱帯雨林の原住民の呪術師である魔女の話。ネット回って見かけた、「森の自然を守ろう、ではなく、愛する部族の青年を殺された復讐心から侵略者と戦う、そこがいい」という感想に同意です。このへん、「魔女」との題の通り、女性をテーマに据えている作者のコンセプトが見えるような気がします。そう見ると、彼女の戦いが終わった後の、エピローグのような数行はちょっと主軸と外れているような。明らかに、作者からの自然破壊への警告ですし。キツいです。このメッセージは激痛です。この話の最後に出てくるからなのはもちろん、今までの作品や、実際に山の中の森に住んでいるという作者の経歴も考えると、ものすごく重く受け止めさせられる警告で、ひとつの作品の読後感的にはなんだかなあと思ってしまいますが、とにかく、刺さります。いたたた。
連作として、まだ続いていくようです。楽しみすぎます。期待。
五十嵐大介
コメント(0)| Track back(0) | 2004年07月17日
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五十嵐大介「そらトびタマシイ」
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一ヶ月前に復刊「はなしっぱなし」上・下巻読んで、すっかり度肝を抜かれてしまいまして、こちらの短編集も買ってみました。って、ああ!「すなかけ」ってこの人だったのか!アフタヌーン購読前、立ち読みか何かは忘れたけどこれ読んで衝撃を受けたのを覚えてます。そうだよなあこの絵柄だよなあ。
短編集ですが、どの話も、一冊ぶんはあるような読み応えがあります。独特の不思議な世界が独自のタッチで描かれていて、そういう意味では宮沢賢治的なものを感じます。童話・寓話っぽい部分もありますし。
「熊殺し神盗み太郎の涙」は異様な迫力がありつつも、なんとなくまとめられないままで終わってしまっている印象だし、「le pain et le chat」は全体の流れやとぼけた味のあるオチはともかく、ファンタジー要素の必要性がいまいちわからない、などありますが、「親子」「食事」などの要素が、幻想的だけどややホラーな話を引き締めている「そらトびタマシイ」や、ちょっと不思議な体を持った女性と周りの人々の絆をわりあいオーソドックスに(でも独自のタッチで)書き上げた「すなかけ」は、すごいの一言です。きっと、話を組み立てるときに、プロットのあちこちから作者の想像力表現力があふれ出してしまったりして、うまく展開がまとまんなくなってしまいがちなんじゃないかなと。そう思えてしまうほど、空想性に富んだ一冊になっています。
五十嵐大介
コメント(0)| Track back(0) | 2004年07月17日
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