J-POPヒットチャート歌詞分析ブログ

現代ポップス考。(移転しました)

L'arc〜en〜Ciel「夏の憂鬱 (time to say good-bye)」
      

夏の憂鬱 (time to say good-bye)
L’Arc~en~Ciel, hyde, 西平彰
KRE

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 「夏の名曲選」シリーズ。


 ラルクの音楽の何が好きかというと、色彩感ある音、流動的なメロディライン、漂う退廃的、厭世的、耽美的な空気、と、そういった情景的でなまめかしいもので。

 で、この「夏の憂鬱(time to say good-bye)」は、初期、アルバム「Tierra」「heavenly」あたりまでの、淡い色づかいで世界を浮かび上がらせる方向の決定版とも言うべき、ラルクの気だるい美しさに満ちた一曲です。アルバムからのカットだったり、シングルコレクションの選に漏れたり、いまいち地味ではありますが。

 「heavenly」収録のバージョンでは、いまいち盛り上がりに欠ける、メランコリックではあるけどそれだけな、面白みの少ない一アルバム曲に過ぎないんですが、「time to say good-bye」が加えられたシングルカットバージョンは、新たに一段階テンションのあがるサビがどかんと加えられていまして。この大幅な加筆が、実に見事にはまっています。アルバム版ではただ『夏の憂鬱は君を見失った 僕にふりつもる』というさまを綴っただけだったのが、この内に篭った感情は、新たなハイトーンのサビを得ることで、外側に向かい爆発するのです。
 特に、最後の『そして眠りを失した』以降の、繰り返されるフレーズによってほとばしるエネルギーは、凄いの一言。この巨大なうねりの最後には『ああ何を信じて歩けばいいの?』という悲痛な叫びが叩きつけられ、そしてそのまま、膝から崩れ落ちるように、風船の空気が抜けるように、興奮は熱を失い収束していき、静かにでも圧倒的な余韻を残して終わっていきます。

 苦しげで緩急あるボーカルだとか、かすかに音の震えるギターとか、濡れるような情感に彩られた、艶のある一曲です。

L'arc〜en〜Ciel

コメント(0)| Track back(0) | 2004年08月21日

唱歌「さとうきび畑」
      

さとうきび畑〜NHKみんなのうた
オムニバス, しらさやえみ, 河島英五, OPD, NAHKI, EVE, 諸岡菜穂子
KRE

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 「夏の名曲選」シリーズ。終戦の日ということで。


 テレビなどではショート・バージョンで歌われますが、やはりなんといっても11番まであるフル・バージョンでこそ、この歌の真価は発揮されるんじゃないかと。ひたすら『ざわわ ざわわ ざわわ』と繰り返され続くのを退屈だととらえずに、どこまでもどこまでも見渡す限りに広がり、永遠にも思えるような時間をざわめき揺れ続けるような一面の緑のさとうきび畑を表しているんだ、とぜひ感じてください。
 そして、反復され広がっていくさとうきび畑の静かな情景の中で、やってきた戦争と、兵隊として死んでいった父、終戦の日に生まれた主人公、会うことなく生き別れた父への思い、悲しみ、それらが、ひとつひとつゆっくりとつづられていきます。
 秘められた静かな激情と、それを包み込む夏の陽ざしと、ただ物言わずざわめき続けるさとうきび畑。凄絶さを持ちながら、どこまでも穏やかで静かな情景が、ここにあります。

 戦争によって起こった悲しみを歌っているわけですが、しかし、この曲には戦争に向けられる怒りや憎しみは感じられず、ただ、ひたすらに淡々と悲しみを歌い上げるだけです。このスタイルだからこそ、この歌はすばらしく胸に突き刺さるのだと思います。政治的、思想的に使われもしにくいでしょうし。


 1967年、寺島尚彦作詞・作曲。以来、娘のソプラノ歌手寺島夕絵子、森山良子、ちあきなおみ、盲目のテノール歌手新垣勉、鮫島有美子、EPO、沖縄の小学生と歌ったTHE BOOM、堀江美都子、などなど多数の歌い手が歌っています。
 もっとも有名なのはやはり森山良子でしょうけど、聴いたことがある中では、ちあきなおみの歌が好きですね。感情の込め方が適度で。森山良子は本当に感情をありったけ出した歌い方をして、それはとても揺さぶられるものがあるんですが、この曲の真価はそこにはないだろうと思うので。実際、楽譜には「感情を込めすぎずに」みたいな指定があったような覚えがあります。
 とにかく、聴いているだけで泣けてくる曲です。そんな滅多にあるものじゃありません。

コメント(2)| Track back(0) | 2004年08月15日

GRAPEVINE「白日」
      

白日
GRAPEVINE, 田中和将
ポニーキャニオン

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 「夏の名曲選」シリーズ。
 バインは以前に「望みの彼方」は紹介済みだし、「風待ち」はあれは初夏のイメージだから今さら出すのもなんだし、ということで、これ以上「夏の名曲」として追加するかどうかは微妙なラインです。


 バインの中で、もっとも暑苦しい、密度の高い熱を持った曲。出だしからして、コードにも乗らずにひずむギター、ズンズンと濃い音で迫るベースと、灼けたアスファルトの上のような熱気が漂っていまして。
 その上を、字面だけ追うと激しい曲調とはそぐわない、「変化/喪失」を淡々と綴るような詞が乗っていまして。まるで、メロの歌詞だけならば、バラードにもなりえそうな。『夢は夢のまま』なんて、福山雅治「桜坂」みたいですけど、疾走感あるハードなサウンドの上に歌われると、言葉から立ち昇る切なさが熱を持ち、ひりひりした痛みを伴うようにも聴こえてきます。

『"さよなら"の熱さがまた僕等を焦がした/こころが真白にした 君がいない空』
 サビで、ひりひりした痛みは、空虚ささえも取り込んだ「熱さ」になります。得体の知れない濃厚さで展開していくサウンドが、焦燥感を、押しとどめられない感情を、もがき続け、悩み続けるさまを、浮き彫りにしてくるかのような力に満ちています。


 この個人的に一番好きな時期のバインの、内側からあふれ出してくるような叫び、歪み、閉塞感を感じさせる詞と音は、本当にたまらないです。聴いているだけで息が詰まるような楽曲って、なかなかないですよ。
 この、衝動に突き動かされたようなハイテンポなナンバーがあったからこそ、続く「スロウ」「光について」の、深く内面へ落ちていく重厚な世界ができたんだなあと。

 とにかくかっこいいですよ。分厚く重く暗めなので、一般受けしないかっこよさかもしれませんが。

GRAPEVINE

コメント(2)| Track back(0) | 2004年08月14日

抒情歌「夏の思い出」
      

夏の思い出 中田喜直抒情歌ベスト
日本女声合唱団, ボニージャックス, 小牧まり, ザ・ピーナッツ, ダークダックス, 高英男
キングレコード

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 「夏の名曲選」シリーズ。たまにはこういうのもいいかなと。


 江間章子作詞、中田喜直作曲の、みなさんご存知の「夏の思い出」です。曲中では『夏がくれば思い出す』のは尾瀬の自然ですが、もうすでにこの曲自体が、夏がくるたびに思い出されるくらいに親しまれているんじゃないでしょうか。
 この曲ができたのは、終戦後間もない1943年。当時の背景は、こちらこちらに、詳しく触れている記事があります。

 確か中学の頃の音楽の教科書に載っていて、授業で歌いました。「がぎぐげご」は鼻濁音で歌うのよー、と先生が呼びかけている中で、一人で勝手にこの曲の持つ繊細さに感動していたような覚えがあります。
 実に歌詞を大事に、まさに言葉の美しさを引き立てるようにして、旋律が作られているんですよね。『はるかな尾瀬』の「おぜ」の柔らかな止め方だとか、『水芭蕉の花が 咲いている』の「咲いている」の密やかな響きだとか、『夏が来れば思い出す』の「おもいだす」、『霧のなかにうかびくる』の「うかびくる」の部分のふわりと上昇する音型に、記憶にふと沈んでしまう感じが出ていたりとか。また、『夢みて咲いている』の「咲いて」が三連符になっているのなんか、音が表情豊かにたわんで、心地よいです。同じ中田喜直作曲の「雪の降る町を」でも、実に効果的に三連符が旋律に組み込まれているし、うまいなあと。本当に日本語の情感を大切にしている作曲家なんだなあと思うわけです。

 江間章子は他に団伊玖磨作曲の「花の街」あたりも有名ですね(これも音楽の教科書で見た)。
 しかし、中田喜直の方は上記の「雪の降る町を」をはじめ、「めだかの学校」「小さい秋みつけた」「さわると秋がさびしがる」など、有名な曲の量では上回っているかと。そして、曲目のラインナップからしてもう季節感が豊かで、日本の風土を愛した作曲家だったんだなあ、と、しみじみ感じ入ってしまいます。


 ああ、尾瀬には一度は行ってみたいなあ。

コメント(0)| Track back(0) | 2004年08月13日

THE BOOM「真夏の奇蹟」
      

Singles
THE BOOM, 宮沢和史
ソニーミュージックエンタテインメント

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 「夏の名曲選」シリーズ。
 THE BOOMはこないだの「釣りに行こう」とこれと、もう一曲紹介する予定です。はい、ファンゆえの贔屓です。
 上の写真をベスト盤の「Singles+」で選んだのは、そこの詳細からリンクされているアマゾンのユーザーレビューに、わざわざブラジルから絶賛の書き込みがあったのを見つけたからだったりします。地球の裏側でも愛されているんですなあ。

 ブームは本当の意味でさまざまなジャンルを股にかけて活動してきたわけですが、この「真夏の奇蹟」は、時期的には「島唄」から「風になりたい」の発表の間に位置していて、その後のラテン音楽への傾倒を示唆するかのような、サンバパーカッション群のリズムが基調になっている曲です。
 しかし、ラテン音楽の持つ開放的な響きは、この曲からはそれほど漂ってはきません。リズム隊は軽快なのですがやや暗めの音をしているし、その上から湿気を含んだコーラス、ストリングス、うねるベース、オクターブ下と二重で歌われるボーカルが重なり、全体的に重く、厚い響きで覆われている感があります。じっとりとした、何もせずとも自然に汗が滲んでくるような、熱気の立ち込めた「真夏」が再現されているかのようです。
 メロ部分の歌詞も、社会を皮肉ったような(宗教戦争への批判が込められている感じがします)陰惨な、重苦しい雰囲気です。しかし、その中で『愛してるって言って/あなたの口から/この世界が再び/まぶたを閉ざさぬうちに』と、主人公は愛を求めます。
 そして、サビで歌われる『地球より青い愛に気付いた二人』という快心のフレーズが、非常に高らかに胸に響いてきます。ずっと息苦しさの続く曲の中、密度高く篭った熱は二人の昂ぶりへと変わり、続く『誰にも止められない 真夏の奇蹟』の部分で、最後のファルセットですうっと抜けていきます。

 悲しみや苦しみの多い社会でも、愛を糧に生きていく。なんて書くと恥ずかしいですが、『銃声が響いても 二人はキスを止めない』とあるように、そんな気恥ずかしさなど吹き飛ばしてしまうような力強さをもって、この曲は歌い上げられます。まさに「真夏」というくらいの暑苦しさで、汗ばむような熱に満ちた、愛の賛歌なのです。


 ちなみにシングル版だと、カップリングの「18時」もまた、そうとう不思議な熱気に包まれた曲だったりします。こっちは冬の曲だと思うんですが。ブーム聴いて一番に好きになったのは、この歌だったりするんですよね。

THE BOOM

コメント(2)| Track back(0) | 2004年08月11日

大浦龍宇一「夏の午後」(寄稿)
      

夏の午後
大浦龍宇一, 小林武史, 池間史規, 大村憲司, カラオケ
キティMME


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 「夏の名曲選」特別編。こちらもMIJU「SUMMER SHAKES」と同じく、大学の友人夢幻放送氏からの寄稿です。連発ですが、期待通り当方とかぶらない趣味っぷりを発揮してくれてます。



 『夏の午後』(大浦龍宇一)
 小林武史が作詞作曲。
 きれいなピアノのイントロから始まる。
 ゆったりとしたバラードで、暑さは感じられず、夏の中にある一瞬の涼しさを感じさせてくれる一曲。
 サビでのベースの展開の仕方とか、曲の世界が果てしなく広がっていくイメージをも感じさせてくれる。
 暑い夏の日、吹き抜けた風に涼しさを感じたときに聞きたい一曲。

大浦龍宇一

コメント(4)| Track back(0) | 2004年08月09日

TRF「BRAVE STORY」
      

WORKS -THE BEST OF TRF-
TRF, TETSUYA KOMURO, COZY KUBO
エイベックス

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 「夏の名曲選」第八弾くらい?

 TRFで唯一買ったシングルがこの「BRAVE STORY」でして。これがTRFで「一番好き」という人は、相当に珍しいというか、他にいないんじゃないかなとちょっと思いますが。

 初期というか第一線で活躍していた頃の「寒い夜だから…」「BOY MEETS GIRL」「CRAZY GONNA CRAZY」辺りのバリバリなディスコ路線から、だんだんとソウルやファンクっぽさを取り入れて、音楽性の幅を広げた結果、ユニット名は大文字になりセールスは落ちていくという変化があったわけですが、自分としてはむしろ、そうなってからTRFを受け入れることができたような気がします。いやまあ、モロに個人的な好みなんですけどね。
 で、この曲はtrfからTRFになって二曲目のシングル。聴いてから、トラックと歌の妖艶さに妙に惹かれてしまった覚えがあります。色気路線で先に出ていた「masquerade」では、そんな感じはまったくなかったんですが。やっぱり音楽性が変わってきたことが影響しているのかもしれません。

 基本的には打ち込みのダンストラックで、夏の曲ですが、決してガーッと盛り上がりはせず、じわじわと迫ってくるような、じっとりとした熱が秘められています。コーラスと絡まる浮遊感あるボーカルで『ほら 暑い夜 消える前に/夢をからめよう』と歌い、ちょっとした情念の世界が繰り広げられています。
 基本的には、旅立ちの歌なんですよね。で、「二人」の最後の夜が詞に描写されている、という。『ねえ 傷ついたっていいのにね 二人なら/そう 決めていたのに』なんてフレーズが好みです。そういった別れの心情が秀逸なぶん、タイトルが浮いているような気もしますが。

TRF

コメント(0)| Track back(0) | 2004年08月09日

MIJU「SUMMER SHAKES」(寄稿)
      

サマー・シェイク
MIJU, TAKURO, カラオケ
ポリドール

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 「夏の名曲選」特別編。
 この記事は大学の友人で、自分とポップスの趣味がびっくりするほどかぶらない夢幻放送氏(自サイト:「夢幻放送局」)に寄稿してもらいました。ありがとうございます。



 『SUMMER SHAKES』(MIJU)
 97年の曲。でMIJUのデビューシングル。
 GLAYのTAKUROさんがプロデュースをしたことでも有名。
 曲の知名度としては、こちらよりも2枚目の『COUPLES』の方が高いかと。
 しっかりとドラムとギターでリズムを刻む軽快なテンポの曲。
 メロも、その基本リズムを踏襲した形の流れで展開してくので、聞いていて爽快。
 もちろん、基本リズムだけの展開だと物足りないけど、そこはTAKUROの腕の見せ所。裏拍から入るところなど、なかなか気づかないところに、様々な技がある。
 それと、MIJU自身のクセなのか、ほんのわずかだけどテンポよりも音がつっこんでいる(先行している)印象があるのだけれど、それが逆にメロのアクセントとして曲を盛り上げている。
 さっぱりと、でも、軽快なリズムに乗りたいというときにお勧めの一曲。

MIJU




※記事の募集のお知らせ。

 「夏の名曲」と銘打っても、一人でやっているとかなり曲目に偏りができてしまうと思い、何人かの友人知り合いにこうして寄稿を頼んでみています。
 えー、それで、他にも「私の夏の名曲はこれだ!」みたいな熱い思いをぶちまけたい方いましたら、こちらまで送ってもらえれば、採用していきたいと思います。
 ブログをお持ちの方は、こちらの記事にトラックバックして「夏の名曲」を書いていただいても構いません、というか嬉しいです。ぜひご参加ください。

 期限は特に区切りません。「夏が終わるまで」くらいでいいんじゃないでしょうか。自分としては九月半ばごろまでは書きつないでいくつもりだったりしますので、それくらいを目安に。
 では、まあ企画倒れになるかもですが、もし参加したい方いましたらぜひどうぞ。

コメント(0)| Track back(0) | 2004年08月08日

スピッツ「プール」
      

名前をつけてやる
スピッツ, 草野正宗
ポリドール

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 「夏の名曲選」番外編。スピッツ2ndアルバム「名前をつけてやる」全曲解説の、先行レビューという形です。近日中にアルバム解説をアップし次第、この記事は削除しちゃうかもです。
(※追記:アップしました→こちらからどうぞ)


 スピッツには、夏の曲が多いです。過去にスピッツの全曲を四季ごとに振り分けて、曲順を練りに練って、150分テープ四本春夏秋冬にまとめたことがあるのですが、そのときは夏だけが曲数オーバーする勢いでした。季節感のない歌はほとんど春秋冬に混ぜ込んで、夏には入れられなかった覚えがあります。
 その多数の夏の曲の中でさらに絞るとしたら、「夏の魔物」「青い車」そしてこの「プール」になるかなと。

 夏の白く眩しい陽射しにくらっときたり、暑さのために暑いという感覚を失いそうになったりしたことはありませんか?この「プール」は、そんな瞬間を封じ込めています。鳴り響き続ける鈴の音、淡々としかしメロディアスに歌うベースライン、現実を薄めていくように遠くで鳴っているギターが、いつでも白昼夢の中に誘い出してくれるのです。

 『君に会えた 夏蜘蛛になった/ねっころがって くるくるにからまってふざけた』
 ハネたリズムにうまく乗った言葉が、「横になって抱き合う二人」なんていう性的な描写を、まるで他愛のない子供の遊びのように変換して語っています。初期スピッツの特徴である幼い素振りと、ブレイク以前までのスピッツの特徴である、溶け合ったり絡まったりしつつの一体化志向がここにあって、白昼夢のようなサウンドがその傾向を補強しています。
 これを踏まえると、タイトルだけで歌詞中には出てこない「プール」がどんな意味を持っているのかが見えてきます。つまり「ロビンソン」ではっきり言うところの『誰も触れない 二人だけの国』です。こういった「二人だけの世界」に閉じこもりがちな逃避的方向性が、スピッツ世界の基盤にあります。最近はだいぶ力強くなってきましたが。

 そして「プール」は、ただ二人の閉鎖的な世界をそのまま賛美する歌ではありません。
『孤り(ひとり)を忘れた世界に 白い花 降りやまず/でこぼこ野原を 静かに日は照らす』
 二人の世界をあえて『孤りを忘れた世界』などと喪失感ある言い方で呼び、しかも、描かれる情景の、なんと静かで美しくて凄絶なことか。この、二人の空間に溺れない透徹しきった視点は、草野正宗の全歌詞を広げてみても、もっとも突き詰められているフレーズなのではないかなと。
 そしてそう歌い上げた後、ぱったりとリズムの刻みがなくなって揺らめくギターの音だけになることで、まるでふらふらと水の中を漂っているような、ドリーミーな空間を作り上げていて、なんともいえない気だるさ、やるせなさに満たされます。まさに、プールに仰向けに浮かんでいて、耳が水面下に浸ったりして周りの世界の音が遠くなるような、そんな状態をいつも思い浮かべてしまうのです。

 夏の幻想性を、非常に高い純度で結晶させた名曲。実際に聴いてみないと、この歌のほとばしるような凄まじさは真に理解はできないだろうなあと。跳ね上がる高音ボーカルと、鳴りっぱなしの鈴が、とにかく現実をふっと遠ざけてくれる感じで、いいんです。

スピッツ

コメント(2)| Track back(0) | 2004年08月05日

BLANKEY JET CITY「sweet days」
      

HARLEM JETS
BLANKEY JET CITY, 浅井健一
ポリドール

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 「夏の名曲選」第七弾。

 まあ、夏の曲ってわけじゃあないんですけど。でも個人的にこの曲は夏のイメージなんです。『メキシコの砂漠』とあるせいかもしれないんですが、でも、前奏のあの太いビートラインを聴いた瞬間に、渇いた暑さのある世界へと引き込まれていく感覚がするんです。

 BLANKEY JET CITYほどセンチメンタルな歌を作るバンドはいないんじゃないかなと。鳴らす音は骨太で実にかっこいいんですが、それはあくまで傷つきやすい内側を守るために派手に尖ってかっとばしているんじゃないかと思うわけです。
 映画の場面説明のような単語の羅列、映像的でかつ視覚以外の感覚も刺激してくるような言葉を丁寧により分けていくと、
『空を飛びたいのさ 鳥のように 自由に』(ガードレールに座りながら)
『行くあてはないけど ここには居たくない』(小さな恋のメロディ)
『淋しさだとか 優しさだとか 温もりだとか言うけれど/そんな言葉に興味はないぜ』(ガソリンの揺れかた)
『そして 僕は冷たい人間の仲間入り』(ディズニーランドへ)
 などなど、少年の無力感、疎外感、諦念を内に秘めた悲痛な叫びが突き刺さってきます。
 かっこいいけど痛々しい。憧れと絶望を抱えた永遠の少年の歌、それがBLANKEY JET CITYの魅力だと思っています。

 この「sweet days」もまた、聴き心地の爽快さという要因も大きいんですけど、やはりある種の必死で懸命な叫びが込められているように思えて、それがとにかく印象深いです。
 詞は一見散漫で無関係な羅列に思えます。もちろん単語自体はフィーリングで選んでいたりもするんでしょうけど、その飛び飛びな連想には、マイナスの方向性を持つ言葉がかなりの割合で入ってきています。『She is Crying 一人ぼっち』『センチメンタルなペキンダック 悲しげな顔もできずに死んだ』などなど。こうして散りばめられた負の断片は、ユニークで鮮やかなきらめきを持ちつつも、大人になれない、世界に適応できない少年のささくれだった心を表しているように思います。

 そんな中で、一つの甘く淡くもろそうな恋が、サビ部分で示されます。突如として胸をかきむしるようにギターが響き渡り、サウンドは一気に激しくなりますが、そこに描かれる恋はあまりにも儚げです。
『SWEET SWEET DAYS 花びらが揺れるように/くちづけをしたあの日』
 サボテンは枯れてしまい、ココナッツまでもが不満気な表情をしている、世界はあまりにも無慈悲で、信用ならない。頬紅をつけた悪魔から、二人の甘い日々は無事でいられるのか。あまりにも頼りなげです。
 しかし。不確かだからこそ、先の保証なんてなんにもないからこそ、この「SWEET DAYS」は、『気付かなくちゃ かけがえのない事に』という叫びは、何にも代えがたい輝きを放つのではないでしょうか。「二人は幸せに暮らしました、めでたしめでたし」ではない、物語には還元されない、『要は 突き抜けるあの感じ』という刹那的な美しさがここに示されているように感じます。

 気づかなければならないとする「かけがえのない事」も、肝心だとする「あの感じ」も、非常に曖昧で、そもそも本当にそんなものがあるのかもわかりません。ただの思い込みなのかもしれません。でも、それを求めようとする心情が、聞いていて胸に迫ってきます。
 不確かな世界、不確かな「sweet days」、不確かな求めるもの。そんな不確かさの中に『ストロヴェリーほおばりながら歩こう』と、気楽に、あるいは気楽であろうと、あるいは格好つけて余裕を見せようと気楽ぶって、飛び込んでいく一人のナイーヴな少年。うじうじとした感情や苦悩を、すべて干上がらせてしまいながら。そんな、渇いた熱のある一曲です。


 あと、間奏のギターソロの素晴らしさといったら。甘さから痛さから、上でだらだら書き綴ったようなことすべてが音に凝縮されてかき鳴らされているようで。ここだけに限ったことではないんですが、楽譜の上だけでは表現され得ない音楽が、確かに立ち昇っていて。感情の篭った音を鳴らすという点で、ブランキーは本当に稀有なバンドでした。

BLANKEY JET CITY

コメント(0)| Track back(0) | 2004年08月03日

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柴田淳
HIROMI

淡々とダークな作風は、
2007年も健在の模様。
今回も、決して取り乱すことなく
ドロドロの本音を聴かせてくれます。


salyu
TERMINAL

作詞に一青窈 が加わったことで、
透明な世界に徹した1stよりも
輪郭が濃くなった印象の2nd。
「to U」のソロ版も入っているけど、
あんまり必要なかったかも…?


bonobos
Standing There〜いま、そこに行くよ〜

今年の自分を振り返ると、
この手のゆったり感のある
心地よいリズムがツボでした。
PV丸ごと試聴もあります。
なかなか感動的で後を引く。


メレンゲ
underworld

前々から薦められていたバンド、
PVフル試聴あったので聴いてみました。
雰囲気、かなーり好きな感じ。
映画タイアップの関係もあってか、
田中麗奈使いすぎな感じだけど、
それだけ押したいのもわかるかも。


あずまきよひこ
よつばと!6巻

読んでいるとほっとする上に
文句なしに笑えるという稀有な漫画。

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