J-POPヒットチャート歌詞分析ブログ

現代ポップス考。(移転しました)

五十嵐大介「魔女」第2集。
      

魔女 2 (2)

小学館

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 世界中、さまざまな「魔女」の話を描いていく連作集。
 第1集読んだときにも大絶賛しましたが、今回収録の「PETRA GENITALIX」「うたぬすびと」共に、あのときに最高傑作かと思った「SPINDLE」と同じレベルまで到達している気がします。

 「PETRA GENITALIX」
 タイトルは「生殖の石」の意。その石の力によってパニックになる世界と、危機を救う北欧の山奥に住む魔女ミラ、それを見届ける魔女見習いの少女アリシア。こう書くとありきたりな話っぽいですが、独特の絵のタッチ、そしてとにかく異形の生物に満たされていく街の描写が、すさまじいまでの感性を発しています。
 何よりも、物語が山場を終えてからのエピローグ、ラスト数ページは本気で鳥肌立ちました。絵の迫力が、圧巻。「魔女」の存在を蔑視し、「石」を何とかしようとするミラに対してさえも悪意をもって接していた者たちへの、これ以上ない返答になっていたと思います。

 「うたぬすびと」
 このシリーズ初の、日本を舞台にした話。「生きている実感がわかない」いまどきの女子高生ひなたは、衝動的に旅に出ようとし、親戚のユージを誘って船に飛び乗る。その甲板で、千足(ちたる)という女性に出会い、「あなたのすべては眠っている」と言われ・・・
 単なる「生まれ変わる」「本当の自分探し」な話で収束していないところがポイント。千足がひなたをそうした方向へ導こうとすることで、むしろ昨今の「本当の自分」ムーブメントをやんわりと拒絶しているフシがあります。それは「自然の素晴らしさ」についても言えることで、自然を雄大なスケールで肯定的に描きながらも、だからと言って容易く求めようとしてはいけないよ、という警告めいたものを感じさせます。
 決定的なシーンで入る誰のものとも知れないナレーションが、微妙に減点対象かな。ちょっとばかし臨場感を削いでいるかと。


 自分にとって重要だと思われる部分を伏せて「あらすじのみ、ネタバレなし」で書いたつもりですが、そうすると書きたいことが半分しか書けていない感じですね。
 まあとにかく、面白いですよ。この人の作品に慣れていないと、ちょっと抵抗あるかもですが。「はなしっぱなし」上下巻から入るのが、一番いいとは思います。

五十嵐大介

コメント(0)| Track back(0) | 2005年02月02日

山口貴由「シグルイ」3巻。
      

シグルイ 3 (3)

秋田書店

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 相変わらず表紙から濃いです。ひとつの道場を舞台に、さまざまな剣客、女、人間たちのどこかたがの外れた愛憎劇。それも、3巻でようやくひとつの収束を見せ、新しい血生臭さを予感させつつも見事にまとめています。
 とにかく絵に説得力があります。狂気が画面全体に漂っていて、息を呑まされて。作者も相当アレな感じですが、そのぶん真に迫っていて、緊迫感ある場面や一瞬の攻防、血や肉の描き方など、堂に入ったものです。凄惨な物語に、ぐいぐいと引き込まれてしまいます。

 絶対に一般受けしないでしょうし、グロくないことはないですが、そんな点で躊躇しないぜ!っていう漫画好きの方は、読んでおいたほうがいいですよー。

山口貴由

コメント(0)| Track back(0) | 2005年01月26日

ひぐちアサ「おおきく振りかぶって」3巻。
      

おおきく振りかぶって (3)講談社このアイテムの詳細を見る


 看板に偽りなし、「本当に面白い高校野球漫画」。2巻の時にも絶賛しましたけど、再度繰り返させていただきます。

 とにかくキャラが生き生きとしてるんです。高校球児たちの熱かったり戸惑ったりあれこれ相手のこと考えたりなんだりの描写が、細々と描きこまれてまして、とにかく飽きないんですねー。今までになかったタイプの野球漫画ですし、作者の情熱の注ぎ具合がよくわかるというものです。実際、おまけとしてついている裏話のページ読めば、いろいろこと細かく設定がされていて感心してしまいます。
 それと、この連載が始まる前に読み切りとして雑誌に載った「基本のキホン」という、試合シーンのまったくないという画期的な野球漫画が併録されてまして。これも面白かったんですよね。きっと評判よかったからこの連載が始まったんでしょう。そして、連載本編にもこの読みきりのキャラが大々的に登場してきて、ずっと追っていたものとしてはなかなか燃える展開になってます。

 まあちょっと読んでいて恥ずかしくなるようなとこもあるんですが、それだけ初々しさひた向きさのあるお話ということで。

ひぐちアサ
おおきく振りかぶって

コメント(0)| Track back(0) | 2005年01月22日

こうの史代「夕凪の街 桜の国」
      

夕凪の街 桜の国
双葉社

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 文化庁メディア芸術祭、漫画部門大賞を受賞した作品。信頼しているいくつかの漫画サイトでも取り上げられていて興味を持っていたんですが、たまたま大学生協で見つけたため、購入。

 戦争の話です。広島、いや「ヒロシマ」の話です。つまりは原爆の話ですが、時代は投下された昭和20年8月のことではなく、「夕凪の街」は10年後、「桜の国」に至っては60年が経った現代が舞台です。原爆投下直後の凄惨な被害の描写は主には語られず、それを経験した人の肉体的・精神的な後遺症、そして、それを経験していない人の「原爆」「ヒロシマ」そして「その経験者」に対して抱く「居心地の悪さ」のような感情に、テーマが置かれています。

 『わたしは広島に生まれ育ちはしたけれど、被爆者でも被爆二世でもありません。被爆体験を語ってくれる親戚もありません。原爆はわたしにとって、遠い過去の悲劇で、同時に「よその家の事情」でもありました』(「あとがき」より)

 今、日本に生きる大多数の人は、広島出身の作者よりもずっと、戦争や原爆は「よその家の事情」という感じを受けていると思います。はっきり言ってしまえば、実感しろというほうが無理なことです。でも「唯一の被爆国として、語り継いでいかなければならない」と、誰もが正論を言うわけでして。
 そういう、戦争や原爆に対する「居心地の悪さ」をこの作品は描いていて、その「居心地の悪さ」を、穏やかに解きほぐしてくれたと思うんです。それは、原爆被害の惨たらしさをこれでもかと示すよりも、ずっと、「戦争を知らない子どもたち」と「その子どもたち」の生きる現代に沿った形の描き方だと感じました。

 原爆の話だからといって、教訓めいたものはありません。だから、この作品を読んで「やっぱり戦争や原爆はいけないと思いました」と思え!ってんじゃあ、全然ないんですね。それも「居心地の悪さ」を感じさせない一因で、上でカタい文章書きましたけど、「戦争モノだ」と身構えないで読んでいくことができる話です。けっこうコミカルな描写が目立ち、するすると読み進めていくことができますし。
 唯一「夕凪の街」のラストのモノローグはかなりきっついですが、「桜の国」は全体にほとんど暗さはなく、「夕凪の街」の後味の悪さをうまく補完していて。だから、「夕凪の街」の続編は「桜の国」という形で絶対に描かれなくてはいけなかったと思いますし、作者もおそらくそう考えたんだろうなと勝手に思ってます。

 娯楽として読める漫画ではさすがにないですが、興味を持った人ならば、その期待を裏切ることはない漫画だと断言できます。書店で見かけたら、手にとってみてくださいな。

こうの史代

コメント(2)| Track back(0) | 2005年01月18日

あずまきよひこ「よつばと!」3巻。
      

よつばと!(3)
メディアワークス

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 やー、面白い。「ゆったりほのぼのな雰囲気」と「大爆笑できるおかしさ」を併せ持つ漫画って、「ぼのぼの」とこれくらいしかないんじゃないでしょうか。

 作者は「あずまんが大王」の人。あの作品もすごく好きなんですよね。発表雑誌やざっとの設定やアニメ化やらでちょっとオタク的だって偏見持たれていそうですけど、もったいない。むしろ低年齢層よりも高年齢層に好かれそうな、本当の意味で万人にお勧めできる良質なギャグだと思います。ヘタな四コマ雑誌を買って読むならば、断然この人のがお勧め。
 とにかく、キャラクターの生き生き具合がもう素晴らしくて。どのキャラもそれぞれきっちり立ってますが、中でも主人公よつばの「子供らしさ」の描写の確かさには、うならされるばかりです。夜空に咲く大輪の花火を見て「おはなやさん意味ないなー」という感想持つのとかって、ちょっと真似できないすごい観察眼ですよこれは。
 ちゃんと伏線も毎回張られては回収されて、だんだん登場人物の世界も広がってきて、ちゃんと計算されたうまい話運びになってます。いい漫画だなあ。

あずまきよひこ
よつばと!

コメント(0)| Track back(0) | 2004年12月04日

芦名野ひとし「ヨコハマ買い出し紀行」12巻。
      

ヨコハマ買い出し紀行 12 (12)

講談社

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 何気ない風景の素晴らしさを自分に教えてくれた、超まったりSF漫画。今回は、連載開始から10周年を迎えた第120話までを収録しています。
 しかし、いつもそうではあるものの、この10年目の単行本はいつにも増してまったりとしている感じの内容で、この作品にピンと来ない人はほんと5分でパラパラ1冊めくって「?」で終わっちゃうんじゃないかと。でも、そこが実にいいんだよなー。

 それに今巻のまったり具合は、ちゃんと意図があるように感じます。なぜかというと、これまでゆったりと、しかし確実に積み上げられてきた作品内の時間の流れを、読んでいて感じさせられるエピソードが多いんですね。初めに登場したころからずっと成長したマッキ(↑表紙の左側の女の子)との話、今まで会った人の話、前巻でいなくなったタカヒロの話、過去を思い返す話、などなど。

 主人公のロボット、アルファさん(↑表紙の右側)は初めのころは「人間よりも人間らしい感性を持っている」ことがクローズアップされがちでした。それが最近では、「成長し老いることのない時間の観察者」としての役割を与えられることが多くなってきています。そのせいもあって、変わらないようでも変わっていってしまう世界に一人取り残される哀しみが、あちこちに漂ってきていて、ドキッとさせられたり。

 詩情ある描写、柔らかな世界観、そうしたものの中に確実に「時間」の重さがのしかかってきて、より味わい深い作品になってきているように感じます。

芦名野ひとし
ヨコハマ買い出し紀行

コメント(0)| Track back(0) | 2004年11月30日

新井英樹「SUGAR」8巻。
      

シュガー 8 (8)
講談社

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 新井英樹という漫画家は、実に人に勧めにくい作風なのですけど、しかしこの「SUGAR」は題材をボクシングというジャンルにとっているためか、今までのどの作品よりも多くの人に受け入れられるライトさがあって、いい感じです。

 連載も追って読んでいたんですけど、今巻をまとめて読むと、改めてすごいなあと唸らされます。前巻でのまさかの展開から、丸々一冊かけてひとつのエピソードになっているんですけど、ダレないテンポと、最後のあたりの盛り上げ方が凄まじい。単純なオハナシではなく、一癖もふた癖もある登場人物たちをうまく織り交ぜて、作者のかなりアクの強い毒もガンガンきかせつつも、きっちりとカタルシスのあるクライマックスを作り上げています。


 連載していたヤングマガジンアッパーズがダメになってしまって、でも来年からヤンマガ本誌で連載継続する、って情報が出回っていて一安心していたんですが、「SUGAR」というタイトルでは今巻で完結、タイトル変えて新しく始めると帯に書いてありました。ふーん。それにしても、冷静に考えてみてヤンマガ本誌のカラーには合わない気がします。まあアフタヌーンもモーニングも違うっぽいんですが、イブニングあたりが妥当かなと考えていたんですが。
 あと、隔週だったのが週刊になる、というのもちょっと心配。うーん。まあ気にしていてもしかたないですが。

新井英樹

コメント(0)| Track back(0) | 2004年11月17日

津田雅美「彼氏彼女の事情」19巻。
      

彼氏彼女の事情 (19)
白泉社

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 前の巻から引き続き、有馬家の過去話です。この人は少女漫画らしい端整な(たまに端整過ぎる)絵を描くのに、どうもこういう血縁関係のドロドロが好きっぽい感じです。そういう妾の子だとか親の愛情とかっていう世界はあるけれど、「心の闇」の形成の過程みたいなのはもう何回も別の人で出てきているので、ちょっと食傷気味。それで読み進めるのにちょっとばかり苦痛を伴いました。不良の描き方が明らかに上品過ぎて、ちょっと面白かったですが。作者やっぱり育ちがいいんだろーなー、みたいな。
 で、回想が終わったあとはなかなか見ごたえが。ああやっぱり前回感じた子供うんぬんはここに関係してくるのか、とか、ああやっぱりこの巻ラストの場面に持っていくために、あれだけつらつらと過去を追っていたんだなあと。うん、これなら多少の中だるみは仕方がない。伏線はきっときっちり拾ってくれるんでしょうし、期待しましょう。

 しかし、個人的にはこの辺はさっさとケリをつけて、浅羽編をやってほしくてたまらない。やんないつもりなのかなー。

彼氏彼女の事情

コメント(0)| Track back(0) | 2004年11月09日

山口貴由「シグルイ」2巻。
      

シグルイ 2 (2)
秋田書店

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 もうだいぶ前に買ってたんですけど、そう言えば感想書いていなかったなと。あのー、めちゃめちゃ面白いです。面白いと言っても基本的には上の表紙の方向に面白いわけで、この絵でちょっとなあと思う方には薦めにくいですが。
 基本的には一巻の初めのほうからずっと過去編なわけですが、それが全然苦痛じゃありません。冒頭で果たし合う二人の男の因縁が、まだ全然つながってこないんですけど、これでもかというほど濃密な絵とストーリーで語られていくので、目が離せないです。
 ちょっとキてる作品が好きな方は、是非どうぞご一読を。

シグルイ

コメント(0)| Track back(0) | 2004年10月28日

澤井健「LACALACA」
      

LACALACA
講談社

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 メキシコ。その地で暮らす人間の中には、死んでガイコツになってから再び動き始めるものもいる。ガイコツたちの集まる家で一人、二年前に波にさらわれた夫ディエゴを待ち続ける主人公フリーダ。たとえ夫がもはや生きていなくとも、ガイコツになっていつか戻ってくるかもしれない、そんな思いを持ち続けながら―
 あらすじでわかる通り、そうとう奇妙な漫画です。オールカラーで描かれる鮮やかな色合いのメキシコの風景と、一様に灰色のガイコツたちのコントラストが、実に不思議にかみ合っています。動きしゃべる死者を登場させることで、「生と死」をテーマに据えたシリアスで悲しげなお話もありますが、ガイコツたちはどこかお茶目かつユーモラスで、楽しげに生活(とは言えないのかな死んでるんだし)している話のほうが、むしろ多い気がしました。
 とにかく、独特の風情が漂った一冊です。ちょっとばかり試しに読んでみるかとは言えないレベルの値段なのが問題ですが。画集と考えれば、味わい深いしストーリーも楽しめるしで、いいかもしれません。

澤井健

コメント(0)| Track back(0) | 2004年10月05日

                 

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柴田淳
HIROMI

淡々とダークな作風は、
2007年も健在の模様。
今回も、決して取り乱すことなく
ドロドロの本音を聴かせてくれます。


salyu
TERMINAL

作詞に一青窈 が加わったことで、
透明な世界に徹した1stよりも
輪郭が濃くなった印象の2nd。
「to U」のソロ版も入っているけど、
あんまり必要なかったかも…?


bonobos
Standing There〜いま、そこに行くよ〜

今年の自分を振り返ると、
この手のゆったり感のある
心地よいリズムがツボでした。
PV丸ごと試聴もあります。
なかなか感動的で後を引く。


メレンゲ
underworld

前々から薦められていたバンド、
PVフル試聴あったので聴いてみました。
雰囲気、かなーり好きな感じ。
映画タイアップの関係もあってか、
田中麗奈使いすぎな感じだけど、
それだけ押したいのもわかるかも。


あずまきよひこ
よつばと!6巻

読んでいるとほっとする上に
文句なしに笑えるという稀有な漫画。

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