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the holiday「Sugarholic」
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<洋邦ふたつのアプローチ、それぞれにカラフルな10曲>
the holiday、待望の1stアルバムです。
これ、サイドバーでも載せていましたが、高校時代の親友・先輩・後輩という3人が絡んでいるインディーズバンドでして。
このうち親友・先輩の2名は、以前にも「you gotta find flowers」という名曲を生み出していたりします。そっちのレビューはこちらで書いています。
CDが完成したその日にわざわざ届けてくれて、それで自分が購入第1号だったりして。こりゃーレビューしなきゃあ、と。
幸いというかなんというか、自分たちでサイトまで作っててそちらで試聴することができるので、話が内輪になり過ぎないで済みますし。
てなわけで、聴きながら読んでいただければと。
01.DROP&ROLL
02.HELLO HONEY
03.Carnivalize Me!
04.風にのせたラブレター
05.Super Hero
06.LOVE POTION
07.Dreamer Away
08.the United Imagination
09.京通り
10.Good Night
まずは全体を通しての解説+感想から。
一聴してすぐに感じるのは、「洋楽的なアプローチ」の曲と「邦楽的なアプローチ」の曲の2種類があるということ。自分がその辺に敏感だということもありますが、明らかに違うタイプの曲が混ざっているんですね。で、クレジットを見ると、やっぱりというかなんというか、作曲者が別々だったりして。
全体の3/4くらいを占める「洋楽的なアプローチ」曲は、ボーカル&ピアノ担当のTAKEDA RYOのもので、これはけっこう珍しいタイプだと思います。洋楽といっても基本的にシンプルで、ここ最近のではなく、ビートルズとかその辺りの雰囲気がします。っても洋楽詳しくないんでアレですが…
対して、04、09と、作詞のみ07を担当しているKAKUDA KAZUYUKI側は、良くも悪くも日本の若手バンドらしい楽曲タイプで。かなりポップ寄りの詞・曲に仕上がっていて、非常にフレッシュです。描写を多用していて映像が浮かびやすいですね。好きです、そういうの。
英詞・洋楽と日本語詞・邦楽タイプにくっきり分かれていて、はじめはけっこう戸惑ったんですが、でもどちらかのタイプ一辺倒だったら、ちょっと印象には欠けたよなあと。どちらの方向性も持っているというのは、幅の広さでとても有利です。特にインディーズ業界は、ひとつの持ち味しか持っていないバンドも多いですし。
しかもこのthe holidayというバンドは、このアルバム内でメンバー全員が歌っている、という離れ業をやってまして。そうやって、カラフルにさまざまなアプローチを出せるというのは長所かなと。
ただ、まだそれぞれで乖離してしまっているように感じていたりも…今後はもっとすり寄っていけたほうがいいかなと思います。もちろん「幅を狭めろ」と言ってるんじゃないですが、バンドの統一カラーみたいなのは、ある程度はっきりさせられるといいんじゃないかなと思います。
そのためには、今回の曲中では「Dreamer Away」みたいに、作詞と作曲を別々で担当した楽曲を作っていくとよいのではないかなと。
では、ここから内容ダイジェスト。
どっしりとしたヘビーな音を作ろうとしていて、どこか憂いや鬱屈を含んだ響きのある「DROP&ROLL」で、アルバムは幕を開けます。そして、バンドサウンドはそのままに、ぐっとポップに傾いた「HELLO HONEY」へと続きまして。全編英語なのに、サビがとてもキャッチーで、すぐに口ずさめますね。
続く「Carnivalize Me!」は、一転、『サンバ』だの『ワッショイワッショイ』だのと聴こえてきて、思わず脱力してしまうお祭りソング。コーラスの気の抜け具合が笑えます。「HELLO HONEY」では爽快だったのに…。
「風に乗せたラブレター」は、ぐっとギターポップなミディアムテンポ。すごく真っ当な、ちょっと気恥ずかしくなるくらい、直球ラブソングになっている一曲です。こう、有名になったバンドが「無名時代の人気曲」としてライブだけでやってそうな感じ。
で、前半のハイライト「Super Hero」。個人的には一番好きです。バラード好きだからっていうのもありますが、ピアノ基調アレンジといい、曲展開といい、テーマといい、揺さぶられるものがあります。
『Super hero I just don't know how I can see you』。ここで言う「Super Hero」は、明らかに、今は亡きあの人ですね…
後半戦。古き良き洋楽を感じさせる「LOVE POTION」は、演奏面でのまとまりがアルバム中一番かなと。で、『薄暮時』『夢見草』という言い回し、そしてサビの締めかたがなかなか粋な「Dreamer Away」が続きます。ほんの4文ほどの短いメッセージをひたすら、途中で快速な4拍子からどっしりした3拍子へと変化しつつも叫び続ける「the United Imagination」。
スイングのリズムに乗って『子供のころのように/ただ前に進んでみるのもいいんじゃないの?』とリラックスしたメッセージを投げる「京通り」は「みやこどおり」と読みます。演奏はちょっと前のめり気味かなー。勢いあって面白くはあるけれど。
最後は、ピアノの小品「Good Night」で締め。
と、本当にバラエティに富んだラインナップです。やや無節操気味ですが、各自で歌ったりするなどしているところを見ると、そこをウリにしたいんだろうなあと。実際ちゃんとそれぞれ作りこまれていて、インディーズバンドにしてはかなり表現の幅が広いのではないかと思います。いやマジで。
ピアノがいいですね、特に。ちょっと濡れた響きで。メインで響いている「Super Hero」や「Dreamer Away」はもちろんのこと、そのほかの曲のほとんどにも味付けで加えられているのですが、それが絶妙な絡み方で。他の楽器(ボーカル含む)も、このピアノのようにもう少し演奏に力加減をミックスできると、全体がぐっとよくなると思いますね。
楽曲構築能力はあると思うんで、あとは、実演奏の場でどれだけこの曲たちを生かせるか、が課題なのではないでしょうか。全体的にボーカルが弱い感じですし、演奏も、合わせ方がちょっと消極的になってて、ややもったりしている曲が散見されますので。せっかく曲がいいのにその辺が気になっちゃうと、聴き手としてはむしろ、マイナスへの傾き方が強くなってしまうと思うのです。
声の太さ、あるいはバンドの呼吸を、ライブ経験を積むなりなんなりして、磨いていってもらいたいなあと。まだまだ発展途上だということは本人たちも理解しているかと思うので、よりスキルアップに励んでもらいたいものです。
とりあえず以上!
曲ごとについて詳しく書くと長くなるので、そちらはまたメルマガの方ででも。
なんだかいろいろ精力的に活動していて、ライブやるとかシングル作るとかいろいろと話は聞いてます。最近はネット販売まで始めていて、とにかく真剣です。
頑張ってほしいものです。応援してます!
the holiday
コメント(0)| Track back(0) | 2005年07月26日
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熊木杏里「無から出た錆」
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このブログの常連さまであるstyle of my ownのアイデアルさんから、アルバムレビューのリクエストを頂きましたので、紹介したいと思います。
だいぶ遅くなってしまったのですが…
オフィシャルサイトはこちらになるのでしょうか。詳しくはそちらに載っていますが、シンガーソングライターという言葉がよく似合う、穏やかな音楽と声、独特の味を持つ詞を書いています。
個人的に、ここ一年ほど柴田淳やSalyu、KOKIAそれに諫山実生など、ゆったりめの女性ボーカルが好みのひとつとして確立しつつあるのですが、その系譜に連なる、聴いていてリラックスできるタイプの歌い手です。
ただ彼女が上に挙げた方々と違う点は、その「フォーク性」の濃さです。
聴きやすさ、そこはかとなく漂う懐かしさ、そういう雰囲気を出すための「アコースティックさ」ではないのです。吉田拓郎や井上陽水をリスペクトしているということが、実際に聴いていてうなずけるくらい、ルーツとして「フォーク」の水脈をしっかりと持っていることがわかるんですね。
じゃあ具体的にどんな点が「フォーク」なのか、と尋ねられると、非常に難しいんですけれど。フォークに特に詳しいわけでもないですし…
一つ考えたのは、その紡がれる世界がどれも淡々としている、非常に「日常」を感じさせる点である、ということで。
ここで言う「日常」というのは、まあ「ドラマティック」の反対側の概念だとでも考えていただけると、わかりやすいかと。現代のポップスって言うのは大抵、ドラマ性を含むもので…っていうか最も歌われる素材である恋愛が、そもそもそうだからってのもありますが。
たとえば象徴的なのが、このアルバム一曲目の「長い話」。
これは、17歳から今までの自分のことを振り返ってつづったと思われる歌なのですが、何とはなしに流れはあるものの、山場があるわけではなくて。過剰に事件を盛り込むでも、過剰に自らの足跡を切々と歌い上げるのでもなく、淡々と独り言のように歌っていまして。ストーリーとしては落第モノなのですが、その取るに足らない内容の淡々とした語りが、何ともいえない味になってるわけです。
他にも、言葉そのものの選び方もまた、「日常」を切り取った描写が冴えています。「夏蝉」「雨」などが、特に好きかな。また、アルバム後半の「イマジンが聞こえた」や「夢のある喫茶店」「祖母と二人で」などの舞台設定のある曲も、どことなく古き良きフォークを連想させます。
表現のセンス的な部分、言葉を綴るにおいてどこに重きを置いているのか、という観点では、矢野絢子に通じるものがあるように感じます。ただし、矢野絢子は声に思い切り感情を込めて鮮烈なイメージを追い求めるのに対し、熊木杏里はひたすら感情を押し包んで(それこそ、自分を「無」にするように)淡々と歌う、と正反対のアウトプット方法をとっているようですが。
最近、「金八先生」の挿入歌として使われた「私をたどる物語」も、ボーナストラックとして収録されています。
熊木杏里
コメント(2)| Track back(0) | 2005年05月15日
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100s「OZ」
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シンガーソングライターとしてコアな人気を持っていた中村一義が、一人での活動から徐々にバンドへと傾斜していくようになり、ついには「100s」(ひゃくしき)とバンド名を冠したアルバムを作り・・・そういった流れを経て、昨年から正式に100s名義での活動が始まり、そして出来上がったのがこのアルバムということになるわけです。
全21曲。短いインターミッションやインストも数曲あるとはいえ、相当なボリューム。ファーストアルバムでありながら、前述のように長いキャリアがあるからなのか、それともこの100sというバンドの才能ゆえなのか、恐ろしく完成度の高いアルバムになっています。人それぞれ好みはあるので、このアルバムを気に入らないという人ももちろんいるのだろうとは思いますが、それでも「完成度が高い」という点については、聴いた人の大多数が賛同するのではないかなと。それくらい、練られた構成、息の合った演奏とアレンジメント、とにかく統一感のある一枚です。
内容量のわりに、またどの音も粒が立って響いてくるのに、聴いていて全然疲れないのが、個人的にポイント高いです。視界ははっきりしているのに、柔らかい空間が作られていて。これは、なかなか他では感じない特徴ですね。キーボード、掠れのないファルセット&コーラスなんかが主な要因なんでしょうが、アレンジの見事さも大きく関係しているんでしょう。バンドのパートそれぞれが、闇雲に自分のアピールをするのではなく、役割を考え、ひとつひとつの曲想を全員で共有しながら精密に組み立て、絡み合わせているといった雰囲気に満ちています。
書いていたら思いもかけず「曲想」という単語が出てきましたが、このアルバムには「曲想」がある、と言うと伝えやすそうですね。どの曲も、おそらくは構築の段階で「どんな曲にするか」ということをきちんと練り上げて、メンバー全員に同じイメージが固まってから作っていく、それくらい明確なビジョンを持って各曲が出来上がっているように感じられます。
詞は、作詞者の中村一義独特の味がいかんなく発揮されています。この人、歌詞カードを見ればすぐわかるのですが、昔から句読点を多用するんですね。これはどういう効果があるのかというと、大きいのは、言葉が区切られることで「断片的になる」ということなのかな、と。
『要は、飛び立つ瞬間が今日さ。自分を行け、行け。』(「A」より)
『ただ朝に、ただ夜に、ただ深く礼、したいだけ。』(「バーストレイン」より)
『君が望むのならしな、しな。/心、生きるのなら。』(「Honeycom.ware」より)
『まだまだ叫ぶんだ。/世界中に想いよ、もっと降れ。』(「光は光」より)
呼びかけ、瞬間的に高まる想い、つぶやき、願い。そうした、シンプルだからこそ「文章になりきらない」感情が、短い一語ずつに込められている、そんな印象を受けます。それが形だけでなく、完成度の高い歌として提示されているから、コアなファンが多いのもうなずけます。
しかし、歌詞カード見ないとわかんないです、なんて歌っているか。ただでさえ前述のように断片的で類推しにくいのに、さらに以下の要素が加わります。
・詩的、あるいは奔放、あるいはめちゃくちゃな表現を多用している
『知るもの無き底面。/悪戯書きは平面。』(「Sonata」より)
『ですからビーツなら、不動にスライ、スタックス&ハイ。』(「K-ing」より)
・砕けた言葉遣いだったりする
『みんな今、未来に手ぇ伸ばすぜ。』(「やさしいライオン」より)
・一音に言葉を詰め込んでいて、英語っぽい
『愛、無心、銀河、宇宙。』(「B.O.K」より)
→「I'm singing about you」とか何とかそんな感じの英語っぽい。
純粋な「音」としての快さも追求しようとしているんでしょう。それでいながら、断片的にシンプルな感情を散りばめたり、「(For)Anthem」「扉の向こうに」などではかなり社会批判的なメッセージを込めたり、きちんと言葉の生み出す意味も重視していこうとしています。
というわけで、曲も詞もかなり複雑に構築され、だけどすっと聴きやすい、なかなか稀有な出来の作品に仕上がっていると思います。名曲だと感じた「Honeycom.ware」が、アルバムに置かれると(真ん中の重要なポジションにあるとはいえ)目だっては聴こえないくらい、どの曲も捨てがたいですよ。オススメ。
100s
中村一義
コメント(2)| Track back(0) | 2005年02月21日
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GRAPEVINE「Everyman,everywhere」
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Everyman,everywhere(通常盤)
GRAPEVINE, 田中和将
ポニーキャニオン
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リーダーだったベース西原誠の脱退を経て作られた前作「イデアの水槽」(こちらで全曲解説しています)から一年が過ぎ、5曲入りのミニアルバムがリリース。新たな立ち位置を示した、というよりは、今までとこれからの境界、峠のような場所から前後の眺めを俯瞰しているような印象を受けました。
一言で言うと、地味。いや、バインの味ははっきりと滲み出ているのですけど、でも初聴きの人はきっと首を傾げてしまうんだろうというのが、ありありと想像できます。逆に言うとこれを受け入れられるなら、かなりコアなファンになれそうですが。
でも、地味です。華々しさなんてなく、どれも似たようなミドルテンポ。メンバー三人に作曲能力があり、今回もそれぞれが書いているのに、もちろんそれぞれに特徴があるにせよ(ドラマーが一番メロディアスな楽曲を作るバンドって、つくづく不思議だ)この5曲はかなりトーンが似通っている感じ。この今回の、バンドとしての共鳴性以上にあるっぽい共通のトーンが、時に深く時にひりひり来るギターなどもありながら、全体として淡々とした雰囲気を形成しているように感じられます。
そうしたこの一枚に漂う雰囲気へと至る要因として、どの曲においても、詞が自己言及的、自己分析的なものをかなりの割合で含んでいるということが関係してくるように思います。どれもこれも、一人で考えているんですよね。特定の他人、二人称「君」が出てくるのは二曲だけだったりしますし。
宿酔(念のため:「ふつかよい」ね)の頭を抱えて『根が暗いんだ 中身が』なんて言ってしまう、かなりマイナスに変身という語を使っている「Metamorphose」。『これから ぼくらは繰り返してく』と理解した上で『もっと泳げ』『一層泳げ』と自らを鼓舞する「スイマー」。
そして何よりも、ミュージシャン、創造者としての自分を客観的にシビアに観察する視線があります。「Reason」では『ほら きっとまた 異色な歌を/誰かが聴かせてくれるさ』と言ってみたりしてますし、「作家の顛末」はタイトルからして言わずもがな。この流れを考えると、「Everyman,everywhere」で『やがて忘れてしまうんだそうだ』と述べられるものも、「君への気持ち」が、と読むよりも「創作への衝動が」と読むほうがしっくり来るようにも思えてきます。
閉鎖的に、内省的に、そしてどこか自戒的自虐的に語られる5曲。非常に皮肉っぽく刺々しい部分が多いですが、しかしただ子供っぽく文句を言っているわけではないところがポイントです。斜に構えて世の中にケチをつける自分に酔うことなく、酔いたがる自分さえも客観的に観察し描写しようとしています。上に挙げた「Everyman,everywhere」の一節も、『やがて忘れてしまうんだそうだ』と、「忘れてしまうんだ」と思春期の少年よろしくただ嘆くのではなく、「だそうだ」と伝聞系にすることで、一捻りある深みをそこに作っていますし。
こういうヒネクレた詞を表現し、そこにヒネクレながらも真摯な感情を潜ませることのできる音楽性がバインの一つの持ち味だと考えていて、なのでその点、今回のミニアルバムは「彼ららしさ」が非常に堪能できる一枚と言っていいと思います。
ま、ヒネクレ方も少しずつ変わってきているんですけどね。やはり5曲入りのデビューミニアルバム「覚醒」と比べてみると、向こうはヒネクレるためにヒネクレてたり、ヒネクレながら振り回されていたり、急に素直になったりと、ちょっと陰気ながらも若さがありますね。
サウンドは問題もなく、特記事項もなく。準メンバー(なのかな?今ひとつよくわからんのですが)のベース金戸覚・キーボード高野勲との連携は、もう前作からして違和感ないですし。だんだん奥行きが深まってきたかな、ってくらいですかね。
色味に乏しいからすぐ飽きちゃうかなー、と当初ちょっと思ったわりには、全然そんなこともなく。むしろ、分量的には軽めでいいサイズなので、おかげでかなりちょくちょく聴いています。
次の一手を楽しみにさせてくれる一枚でした。
GRAPEVINE
コメント(2)| Track back(0) | 2004年12月24日
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nifu「ファースト」
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読みは「ニーフ」。矢野絢子「てろてろ」をカバーしていたことで知った、岡山出身男性デュオです。
ずっと岡山ローカルで活動していたので(弾き語りの旅などもしていたみたいですが)まったく情報が出回ってこない人たちだったのですが、8/25にこのファーストミニアルバムを全国発売し、東京在住でも聴けるようになりました。
とにかく、二人とも、声がきれい。甘さと透明感を同時に出すのは、なかなか凄いことです。そしてさらに、ハモリが美しい。同じメロディーでも、ハモリがあるのとないのとでまったく色味が変わってくるくらいです。
惜しむらくは、アレンジがちょっと拙いところがあるかなーと。ピアノ系はそうでもないんですが、ドラムが入ると、なんか重たくなるんですよね。
特に「てろてろ」は、切々とした矢野絢子とは違い非常に穏やかに歌い上げていてその対比が面白いのですが、きっとピアノの矢野絢子に対してバンドサウンド気味にしたんでしょうけど、これだったらシンプルに弾き語りアレンジで聴いてみたかったなと感じました。
まあ完全な無名の新人なんでそれほどサポートが充実しているわけじゃないでしょうし、本人たちもずっと路上弾き語りでやってきていたのでしょうから、レコーディングに慣れてなかったのかなと。回数を重ねれば、こなれてくると思います。
アレンジにも詞にも言えることですが、とても初々しい感じが全体に漂っていて、こう、ほんわかとします。手作り感、あったかさがありますね。
個人的にベストは最後の「またいつか」ですかね。歌唱力が堪能できるし、盛り上がり方がとてもいいです。
nifu
コメント(0)| Track back(0) | 2004年12月23日
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矢野絢子「ナイルの一滴」
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新星のピアノ弾き語り女性シンガー、矢野絢子のファーストアルバム。
アルバムって、普通は統一感を重視して全体の雰囲気をまとめるのが定石だと思うのですが、この一枚はそうではなく、ひたすら曲を並べていっているような感触を受けます。
曲ごとの個性が強いということがひとつあって、これは基本スタンスが「ピアノ+インパクトある声」と、どうしても曲調の幅が狭くなりがちなのを、最大限広げようとしているようです。あえてひたすらに歌い上げる同じトーンの楽曲でアルバムトーンを塗りこめていた鬼束ちひろとは正反対の方向性で、ピアノ基調のシンガーにしては、かなりバラエティに富んでいる内容になってます。
もうひとつ、おそらくは意図的に、楽曲を直線的に並べている印象があります。インパクト大だった「てろてろ」「夕闇」の二枚のシングル、そして有線でしょっちゅう流されていたジャズ調の「ゼンマイ仕掛け」を頭に持ってくる。真ん中に突然約12分の物語「ニーナ」があり、ここまでが前半。ちょうどここまででミニアルバムが一枚できそうな、密度の高く主張の強い6曲が並んでいます。
後半は、アップテンポで軽めの曲が4曲並び、そしてしっとりとした曲が2曲並び、そして最後、インストというにはあまりにも「うた」として聴こえてくる表題曲「ナイルの一滴」で締めくくられています。
どれもこれも個性が強く、曲順の構成からしても、かなりのボリュームがあります。通して聴くのはけっこう重労働ですが、デビューアルバムらしく、自分の今現在持っているすべてを注ぎ込んだと主張しているようで、まさに力作と言える一枚に仕上がっています。
力作なのは間違いないところですが、ただ、いくぶん空回りしている部分もあるように感じます。
言いたいこと、歌いたいことは山のようにある、それはびんびんと伝わってきます。「ニーナ」で語られる長い長い物語、「レモンスライスほおばって」のなかなかブレイクポイントまで到達しない長広舌なメロディーとかからも、とにかくしゃべりたくてたまらないのは明らかです。なのですが、今ひとつ、何を訴えかけたいのかが見えてこないところがあって。
たとえば「ゼンマイ仕掛け」や「闇の現」の、切迫した伴奏と迫ってくるような叫びには気持ちがざわつかされるのに、「嘘つきの最期」の『本当のことは美しいとでも思っているならお笑い種だね』、「かなしみと呼ばれる人生の優しさよ」のタイトルや『みんな傷つけあって/楽しいんだ』など、随所に印象深い、皮肉交じりの、はっとさせられるフレーズがあるのに、結局それらはあくまでも提示された、並べられただけで、読み取るべきメッセージの存在がとても希薄に思えるんですよね。切り取り方は鮮やかなんですが、その断片を未消化のまま投げっぱなしにしているみたいで。
「君が好きだ」というシンプルなメッセージの「てろてろ」。そして唯一作詞作曲両方が提供である「坊や」。この二者が、描かれる情景から滲んでくるものの輪郭がもっとも豊かではっきりしているように感じる辺りからして、やはりまだ自分を表現しきるのには未成熟な面があるのだろうな、と推測します。
ただし。
「てろてろ」が有線で流れる謎の歌だったころ自分が混乱したように、少年の声かと聴き違うほどにイノセントな声質が彼女の魅力なわけで、だから「投げっぱなし」な点は、ひたすら純粋な視点から世界を「見る」ことに徹している、実に彼女らしいスタンスだ、とも言えるわけです。
個人的にはもう少しメッセージの集約力を上げてほしいなと感じるのですが、それは今後に十分期待できますし、今回はデビューアルバムであることからしても、「未完成さ」はむしろ魅力のひとつになっていると捉えてよいと思います。
好みを挙げると、少年の視点や物語風の曲が多数を占める中で少女の想いがひしと伝わってくる「わかれ」、陽気で、どこかいとおしくて、それでいて芯の強い賛歌「ソリダスター」、等身大なのに驚くほどの深さのある「かなしみと呼ばれる人生の優しさよ」あたりがお気に入りです。
矢野絢子
いろいろ書いたわりに、Oriori no Uta様の記事(こちら)とほとんど同感、と言うと、ほんとそれで終わってしまう内容なのですが・・・
コメント(0)| Track back(0) | 2004年12月23日
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MOTORWORKS「BRAND-NEW MOTOR WORKS」
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 | BRAND-NEW MOTOR WORKSMOTORWORKS, 石田ショーキチ, 黒沢健一ドリーミュージックこのアイテムの詳細を見る |
L⇔Rの黒沢健一、Scudelia Electroの石田小吉、スピッツの田村正浩などベテランによる、「楽しく音楽をやろう」と結成された、新人じゃない新人バンド。でもタイトルどおり、まさにデビュー作らしい、意気込みと勢いに溢れた一枚に仕上がっています。
試聴してもらえばよくわかるかと思いますが、芯がしっかりしていてかつ抜けのいい生のバンドサウンドと、コンピュータで作成した電子音がミックスされているわけですが、このバランスがなかなかうまいことになっているかと。
エレクトリカルなアレンジって、過剰な作りこみになってしまいがちなものだと思うんですけど、生音を補完し、より先へ開放させていく感じに、うまくまとめられています。これはプロデュースを手がけている、リーダーでこのバンドの発起人である石田小吉の、「バンドらしさを出したい」という思いによるものなんだろうなあと。
かっちりまとまったバンドに、スペーシーなコンピュータサウンドが加わることで、どこか都市を感じさせる、近未来的な曲が多いです。ファーストシングルになった「SPEEDER」に代表される、摩天楼のハイウェイを突っ走っていくような疾走感と爽快感。そこに「氷の空」セカンドシングル「Missing Piece」「The End」辺りのちょっと叙情的な曲が絡む、といった塩梅。
自分としては非常に珍しいことですが、ほとんど歌詞を気にしないで聴いてるんですね。歌詞カード見ようともあんまり思わない。それだけ、単純に音を楽しめているってことです。でも詞も悪いわけじゃなく、たまに「おっ」と耳に残るフレーズが出てきたりします。
お気に入りは、メロディラインのうねりが心地よく(特にBメロ)派手に飛び跳ねるべースが印象的な「The Slide」、サビの韻を踏んだフレーズが頭に焼きつく「ステレオ・ラヴ」、ミディアムバラードの王道を行く旋律が美しい「Missing Piece」、緩やかなメロと跳ねるサビの対比が面白い「コスモゼロ」ってとこですかね。
とにかく、非常に高いレベルでまとまっている一枚かと思います。すんごいマニアックなこだわり持っている人とかはともかく、わりと幅広い人に薦めやすいなと。
最近お気に入りになりそうなバンドがいないと悩んでいる人なんか、ちょっと聴いてみるといいかもしれないですよ。
MOTORWORKS
コメント(0)| Track back(0) | 2004年10月12日
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SOPHIA「EVERBLUE」
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原点回帰の感ある、SOPHIAの9thアルバム。レコード会社を移籍したということもあって、初心に帰ろうとしたのかもしれないですね。
タイトル通り、「青」という色、そこから連想される「青春」の日々、青臭さ、色あせない輝きがテーマになっています。「青」「ブルー」という言葉がタイトルに三曲、歌詞中ではなんと、12曲中10曲も使われています。
でも、もともとSOPHIAって「青」のイメージありますしね。たとえばMr.childrenなどは、長い活動の中で「深海」なんて暗いアルバムを作ったり活動休止してから一回り成長して来た印象がありますけど、SOPHIAはポップで爽やかな曲を基盤として「ゴキゲン鳥 〜crawler is crazy〜」「ビューティフル」なんかの皮肉っぽい曲を作ってみたり、「OWR」「HARD WORKER」なんかのかなり実験的な曲を作ってみたりとかなりせわしなくいろいろなことに手を出しているのに、あくまでも基盤は揺るがないし、決して大人にならない、ピュアな世界を保ち続けている印象があります。さまざまな曲調にほいほい手を出すのも、子供ゆえの無邪気な好奇心から、っていう感じですし。
純真さを自然に保ち続けるSOPHIAというバンドにとって、「色褪せない青」という今回のアルバムは、まさにぴったりなネーミングです。
「青」というテーマがあるためか、またしてもけっこうあれこれ曲調が混ぜこぜになっているのにもかかわらず、統一感は失われていない印象があります。まず、シングルが、三連続リリースした「旅の途中」「please,please」「花は枯れて また咲く」とさらに「青い季節」と四曲も入っているのに、曲順にきちんと収まっています。浮遊感あって曲も詞もとらえどころなく実験的な「ブルーテーブル」や、悪ノリ気味な「情熱のプライド」、タイトルとは裏腹なねっとり加減のある「綺麗なメロディー」などクセの強い辺りも、まあ今までのアルバムに比べれば(全部知っているわけじゃないんですけど)誤差の範囲内かと。
やっぱり、個人的にイチオシの名曲「青い季節」がきっちりとアルバムの中心に居座って全体を引き締めているのと、この曲に呼応するように冒頭でアルバムを象徴している「青空」、もはや手馴れたミディアムバラード「hello,good-bye」「your side」と、この辺がきっちり主題の基本線を固めているのがポイントなのかな。
改めてきちんと聴くと、SOPHIAっていいですねー。今ひとつふらふらおぼつかない感がありましたけど、もうデビューしてからもうすぐ10年になろうかというキャリアを積んできているだけの力は持ち合わせていたということでしょう。前に出ていたベスト二枚組、買っちゃおうかな。
SOPHIA
コメント(0)| Track back(0) | 2004年10月03日
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ACIDMAN「equal」
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ギター・ベース・ドラムの3ピースバンドACIDMANの3rdアルバム。
歌詞にまったく恋愛が絡んでこないなど、「人間関係」ではなく「世界との対峙」をストイックに硬質に描きあげる徹底された世界観。レベルの高い演奏能力、息の合ったアンサンブル能力に裏打ちされた、強弱やリズム、テンションの幅の広さ、曲展開の鮮やかさ。この二点において、邦楽界では非常に稀有な存在です。一度は聴いてみてください。ほとんどすべての音を三人で出しているとは思えない、ダイナミズムある音楽世界が広がっています。
内容が濃いです。シングル「水写」「イコール」、前編と後編に分かれている「彩-SAI-」、なんとディズニー音楽のカバーである「colors of the wind」、そして一曲で10分近くありひとつの世界を構築してしまっている「廻る、巡る、その核へ」と、実にさまざまですが、統一感はまったく欠けてません。インスト三曲も聴いていて退屈しないのは、やはり音だけでの表現力の賜物でしょう。
さて、ややディープな話になりますが。
1stアルバム「創」2ndアルバム「Loop」から確実に変わったと言えるのは、なによりも詞ですね。世界そのものを見つめる透徹した視線は変わらずにありますが、今までと異なるのは、そこに、視点人物、つまり書き手の意志が入り込み始めた、という点です。
今まではほとんど、書き手は客観的な描写に終始する傍観者でした。とりとめのないつぶやきを漏らすことはあれども、思考に志向を持つことはしなかったように思います。
それが今回は、はっきりと意志が感じられるのです。たとえば「FREAK OUT」は遠まわしではありますが、これ反戦の歌ですよね。『war is over 何回目だ?』なんて、ドキッとさせられる皮肉に満ちています。こちらの インタビュー記事によると、今回は全曲にそうした思いが入っているとのこと。
そうした反戦、平和への気持ちがさりげなく混ざっている他にも、先行シングル「イコール」の時のレビューでも触れたような「発見」の驚き、新しい意識の誕生のようなものが、全体に溢れているように感じられます。
『木漏れ日に舞う粒子達が 世界を一つ創り出した
透明な迷路を超えて イコールで繋ぐ』
(「イコール」より)
「創り出した」「迷路(≒ループ?)」「イコール」と、意図的なのかそうでないのか、アルバムタイトルらしきものが揃っているフレーズです。で、まさに今回は「繋ぐ」という確かな意志が感じられる作りになっているので、この箇所は実に象徴的なフレーズです。
「創」で世界観と音をバシッと叩きつけてきて、「Loop」ではバンド性を内向きにひたすら煮詰めていた彼らですが、今回でついに、外に向けて自らを発信しようとし始めました。音楽も、どこか吹っ切れて一歩前に出てこようとしているように感じられます。
ただ、個人的には、前作「Loop」の、方向性を失ってただ高まる混沌とした密度の濃い音のが好みだったりして、外に発散していく道を見つけた今作は、ちょっと感じられる圧力的に物足りない部分もあったりしました。まあ「Loop」みたいなの何枚も作っていたら、精神とか病んでしまいそうですが。
でも、他人に勧めるんなら、断然この「equal」ですね。「創」の頭のシングル三曲連続はものすごいインパクトなんですが、一枚通して全体的な出来のよさで見れば、今回がもっとも安定しているかと。
ACIDMAN
コメント(0)| Track back(0) | 2004年09月30日
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THE BOOM「百景」
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デビュー15周年を迎え、リリースされたアルバムは、ぐっと渋く落ち着いた一枚。前作「LOVIBE」もまたゆったりとした懐の広さが漂う名盤だったわけですが、あちらはボサノヴァ、ラテンの匂いがしていたのに比べ、今回はぐっと和風な色合いを強めています。といっても、昨今の邦楽の日本ブームとは一線を画した、独特の流れで。
こう言うとファンのひいき目みたいですが、実際違うんですよ。
まずBOOMは14年前1990年に、「JAPANESKA」という日本の色合いの強いアルバムをすでに作っているということ。このときそのまま沖縄音楽に傾倒し、その後「島唄」を発表する、という経緯があるわけで。
そして、今回また日本色が強いのは、去年あたりずっと全国を回り、野外ステージだの公民館だのといった、かなり小さな会場などで、地域に密着したコンサートツアーを行ってきて、その行脚の過程で生まれた曲ばかりだということ。だから曲目も「朱鷺-トキ-」だの「白いハマナス」だのと、特定の土地を想起させるものがあったりします。
さらに、一口に「和風」と言っても、かなり作りが違います。今の和風テイストを取り入れた曲というのはたいていが、いわゆる「ドレミソラド」の「陽音階」を使っています。ピアノの黒鍵だけを鳴らすとこの雰囲気がでたりしますので、鍵盤ある人は試しにやってみるのも一興かと。でも、宮沢和史の作曲の場合、この「陽音階」に縛られてないんですね。むしろ、「ドミファソシド」の沖縄音階に近い色合いがあります。なんかのインタビューで「自然にそうなってしまうことが多い」みたいなことを言っていたような。
さて長々と述べましたが、正直なところ、緩やかな曲が多すぎて刺激が少なく、聴いているとちょっと退屈してしまいます。はい。ゆったりした曲は好きなんですけど、「和風」な味のものばかりがたくさん並んでいると、どうしても。なので、「24時間の旅」「天国に落ちる坂道」「Any Time,Any Day」あたりのテンポのいいものが魅力的に感じました。
また、最後の「歌」が、なんといってもすばらしい。こういうシンプルでかつ宿命的な曲を作るから、ブームは自分の中で特別な位置を占めているんでしょう。
THE BOOM
コメント(0)| Track back(0) | 2004年07月01日
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