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竹内まりや「返信」
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 | 返信/シンクロニシティ(素敵な偶然)
ワーナーミュージック・ジャパン 竹内まりや , 山下達郎 , センチメンタル・シティ・ロマンス
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<ベタベタ過ぎずサラサラ過ぎず、しっとり情感を込めて歌われる双方向からのメッセージ>
御年51歳。熟練の技量を感じさせつつ、レトロだけど古臭くない行き届いた一曲という趣があります。
だってメロディラインも歌い方も、一歩踏み出せばそこはムード歌謡の世界。また、下手に盛り上がりすぎると、今度はオリエンタルな民俗音楽の世界。多分歌い方や節回し、アレンジをちょいちょいっといじれば、ド演歌にもなるでしょうし、ポルノグラフィティの曲みたいにもできそうな感じ。だけど、そうじゃないのです。
ゆったりとした出だしと終わりで挟まれた心地よいリズム、そして哀愁を漂わせながら隙間を繋ぐギターなど、アレンジは夫・山下達郎によるもの。メインストリームではないにしろ、懐かしさを漂わせているにしろ、古臭い響きはしていません。
また、非常にキーが抑えられているのもポイント。高い声を出さないでも、決めどころで3連符のメロディが来たり、こぶしがきいている部分もあったりで、きちんと起伏が作られています。歌い方も全体を計算してやっているんだろうなあこれは。サビらしいサビのない構成で、しっとりとした雰囲気で進みながらも決して「さらっと」ではなく起伏に富み、でもハイトーンに走らないから聴き苦しくもなく、まさに「情感豊かな」という形容が当てはまる歌なんだなと。
加えて詞です。映画「出口のない海」のタイアップの関係か、大切な人との死別を意識させる内容になっています。『託された幸せを つかむことがもし/あなたの願いなら それを探してみるわ』と生きていく意志を見せつつも、辛いときは「あなた」の影を求めてしまう。まあ感情を揺さぶる常套の作りかたではありますが、盛り上がる箇所では『会いに来て抱きしめて 幻でいいから』などと「前向き」ではなく「後ろ向き」の内容になっている点あたりは、効果的にできているなあと。
また、タイトルにも据えられた『永遠の愛をこめた 私からの返信』。「返信」ということは、つまり、先に「あなた」からのメッセージがあった、呼びかけがあったということですよね。そう見るとこの曲は、『生きてゆく約束』『託された幸せ』と、今はもう遠い「あなた」の思いが色濃く出ていることに気がつきます。死別の歌は特に残された「私」側の悲しみやメッセージに終始しがちなところですが、「あなた」側からのベクトルを多く取り入れることで、いっそう描かれるシチュエーションがドラマティックになっているのではないでしょうか。
あと、この人の詞は他もそういう傾向あるかと思うんですが、言葉の端々が少女っぽいですよね。ひらがなを多用しているせいもあるのか、あんまり大人っぽくない。声は年季が入っているけど(でも透明感ありますが)言葉はどこか幼さが残っているという。これをミスマッチに感じる人もいるでしょうけど、これも演歌っぽくならないしっとり感の要因のひとつになっているのかもしれません。
竹内まりや
コメント(0)| Track back(0) | 2006年12月06日
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手嶌葵「テルーの唄」
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 | テルーの唄 (ゲド戦記 劇中挿入歌)
ヤマハミュージックコミュニケーションズ
手嶌葵, 宮崎吾朗, 寺嶋民哉
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<聴き手の感情を揺さぶるための「子守唄」のイメージ>
というわけで、この夏のジブリ新作映画、「ゲド戦記」テーマ曲です。歌い手の手嶌葵は劇中テルー自身の役を務め、作詞は監督の宮崎吾朗自身が手がけています。
曲タイトルも役名が入ってますし、正当なレビューをするなら本来は映画作品を観ないといけないところなんでしょうが…残念ながらまだ未見です。まあ、このブログは、取り上げるどの曲も予備知識がない人にも楽しんでもらえるように、というコンセプトのもと曲だけを見ることが基本なので、むしろ映画を観ていない人にも興味深く読んでもらえるようにするためには映画と絡めないほうが都合がいいのでは…ということで、理屈を捏ねつつ、ご容赦を。
映画の原作は「世界三大ファンタジー」と称される小説作品で、当然ながら舞台も「もののけ姫」や「千と千尋の神隠し」とは違い、欧州的な雰囲気…いわゆる西洋ファンタジー世界っぽい感じです。自分の知る限り。ですが、この主題歌は、むしろ日本民謡的な旋律をしているし、また詞でも『悲しかろう』とか『虫の囁く草原を』みたいに、ちょっと古風さが漂っています。アレンジも、どこかでわらべ歌っぽい雰囲気を出そうとしているように感じたり。なんだか、子供の頃の夕暮れの風景を思い浮かべちゃうんですよね。同じように感じる人、きっといるはず。
推測ですが、感じさせたかったのは「和風」というよりも、もっと根本的なところ…郷愁とか、童心とか、子守唄のような安らぎとか、そういうことなんじゃないかな、と。西洋世界に日本っぽい曲を当ててミスマッチを狙ったとかそういうんじゃなく、あくまでも伝えたいことがあって、それがこの曲に漂う物悲しさ、懐かしさでこそ表現できる。そう考えたんじゃないのかなあということです。西洋東洋関係なく、ただ郷愁を感じさせたい、浸ってもらいたいと思ったときに、この童謡/子守唄のようなフォーマットが最適だ、みたいな。
実際、子守唄って不思議ですよね。赤ちゃんを寝かしつけるための唄なのに、なんだか哀愁があって、どこか鎮魂めいた雰囲気もあって…
『心を何にたとえよう』というフレーズが印象的です。鷹、花、「あなた」…身の回りのものから影響されて発生するさまざまな感情、言葉にならないような移りゆく思いを、それでも何か表現したい、というような。あえて感情を表に出してこない囁くような歌い方(これがやっぱり子守唄チックなに思うんですが)でこうした内容を歌っているので、むしろ聴き手はあれこれ考えさせられますよね。
手嶌葵
ゲド戦記
コメント(2)| Track back(0) | 2006年08月26日
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玉置成実「Result」
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 | Result
ソニーミュージックエンタテインメント
玉置成実, shungo., Miki Fujisue, Yuta Nakano, mavie, Shinya Saito
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<「キレイな言葉」の化学反応で作る壮大な世界>
いつもの玉置成美、というイメージそのまま、ハイテンポで疾走するデジロック。機動戦士ガンダムSEED DESTINY関連らしいですが、詞の内容はそれを踏まえたりしているんでしょうか。
『輝く未来は 僕のために/愛しい記憶は 君のために』と示されるサビは、2回目に出てくるときはそれぞれ「僕」と「君」が逆になっています。「未来」も「過去」も、どちらも二人で共に分け合っていこう、という意志が込められているのでしょう。
この手のサウンドの歌、二アリーイコールでアニメ主題歌というのは、いかに「言葉」を選ぶか、というところが非常に重要です。
ひとつには「いかにもカッコいい単語」を散りばめること。上記の「輝く未来」もそうですし、『絆』『あの日の約束』『奇蹟』『強さ』『出逢い』『永遠』『過ち』あたりは、たいてい複数が入っているものです。これを上手く組み合わせてさらにカッコよくするのがポイントで、たとえばこの曲では『僕らは奇蹟を叶えてく』と「叶える」と組み合わせることでちょっとした言葉の科学反応を起こさせていたりします。
もうひとつは「当て字」。これは必須ではないですが、非常に多い傾向です。『理解る』で「わかる」は一般的レベル。『結末』で「こたえ」とか、『他人』で「だれ」とか、このあたりになると作詞とはまたちょっと別の領域のような気も。そして、『翌日』と書いて「あす」と読ませる意味は果たしてあるのか。それはカッコいいのか。
ちなみに作詞クレジットはshungo.という人で、この名前は最近w-inds.でも聞いたことがあります。ちょっと耽美的というか、上記に挙げたような「カッコよさ」を追求する作風を感じます。なんかこだわりがある人なんだろうなあ。
玉置成実
コメント(4)| Track back(0) | 2006年07月13日
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高橋瞳「青空のナミダ」
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 | 青空のナミダ
ソニーミュージックエンタテインメント 高橋瞳, Hitomi Takahashi, Natsumi Watanabe, hyoe yasuhara, mavie, Shinya Saito, Yuta Nakano
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<緩急ある曲調とひたむきな声で描かれる、「晴れ」に属する「雨」>
新人女性シンガー高橋瞳、3rdシングル。ストップ&ゴー、緩急のついた曲展開がなかなか面白くて、メロディラインも「おっ」と思うところがあり(Bメロ、サビ後半など)今までの3枚の中では曲的には一番気に入りました。
最近の流行だけど、2コーラス以降からバックがあれこれ変わってまして。ところどころツナギに不思議な響きの和音だかなんだかが入ってきて、はじめは違和感あったんですが慣れると味があって面白いです。
効果音系の飛び道具も野暮ったくなくように沢山取り入れられていて、曲は全体に手が込んでいるんですが、相変わらず声が良くも悪くもストレートすぎる印象ですね。いい意味に解釈すれば「曲から際立っていて、まっすぐでひたむきなイメージを体現」で、悪く言えば「他の音から浮き気味で、融通の利かないボーカル」とどちらにでも言えそうで、この辺はもう好みなのかなあと。この先徐々に変わっていくのか、それとも今のまま突っ走るのか、今後の展開が気になりますね。
「青空のナミダ」とはもちろん「雨」の比喩ですが、曲からはあんまり「雨」とか「青」という雰囲気は感じられないような。『急ぎ足追いかけた風』とか『月がそっと肩を叩き 水面映してくれた月道』とか、晴れているっぽい言葉も多いですしね。だからこの場合の「雨」は、精神的な意味合いが特に強いんだろうなあと。『心はどうして 動き出せない』『悔やみたくないよ 生まれたこと』というような、弱気な心を「雨」に重ね、それを「腫れ」の属性のものである風とか月とかが後押ししてくれる…そういうことなのかもしれませんね。
また、風とか月とかは支えてくれる「君」とかの比喩なのかもしれない…と読んでみても面白いのではないかと。
ついでに言うと、雨を「青空のナミダ」と表現することで、「晴れ」対「雨」の対立関係を描くのではなく、雨だって本来は青空に属するものなんだ、と絶対的なマイナスイメージを崩しているところは面白いです。それをこの曲の主人公に照らし合わせると、自分の気持ちは間違ってはいない、ただ一歩踏み出す勇気が足りないだけ…ということになります。今の自分を捨てるのではなく思い切りよく貫いていく…そんなスタンスにはっきりとつながっています。
高橋瞳
コメント(0)| Track back(0) | 2006年01月28日
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DREAMS COME TRUE「JET!!!」
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 | JET!!!/SUNSHINE(きくきくセット)
ユニバーサルJ DREAMS COME TRUE, 吉田美和, 中村正人, Mike Pela, 上杉洋史
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<パワフルなボーカルと感覚性豊かな表現力、エンタメ精神まで盛り込んでボリュームたっぷり>
ドリカムのニューシングルは、90年代初頭の勢いを髣髴とさせるような、ノリノリでイケイケな(決して今風の「アゲアゲ」ではない)ハッピーチューン。
ドリカムのすごいところは、これだけ声量も独自のセンスも持っている歌声の持ち主が、『胸の開き具合に チェックいれる自分に気づく』というような「そこ歌っちゃうの?」とツッコみたくなるような明け透けさと独自の感性までも備えていて、そんな能力を『バク転とかできそうです!』と、ひたすらに陽気でお気楽なポップソングにしちゃうところ。だってこれだけ声量があったら、普通はMISIAとか元ちとせとか平原綾香とか、そういうシリアスな歌い上げ系に行くところなのに、アイドルポップスと見まごうばかりの能天気さを平気で歌ってのけてしまっているわけで。
シリアスな曲を作ってもやっぱり独特の感性があるからいいんですが、さらに楽しさまで盛り込めてしまうのは、これはやっぱり他には真似できない特徴です。もっとも、そのものすごいボリューム感ゆえ、ニガテな人、ピンと来ない人も出てくるわけで…90年代に大ヒットして、00年代は地道な活動になっているのは、その辺の聴き手の風潮に一因があるのかなとも思います。
『すきがすごい勢いで音が聞こえるくらい』のテンションで、『でも笑ってる顔アップで見たら/現実感沸いて固まる』とか、感覚的な言葉だらけで、しかもいちいち機微が細かいですよね。
チャリにベル鳴らされる小さな笑いがあって、それで引き寄せられてドキッとしちゃって、それで『いいかげんチャリの人も笑いだしちゃうくらい』とまで大げさに言えちゃうほど気持ちが大きくなって…と、流れもユーモアに溢れていて、実によく出来てます。冷静に考えたらありえないところまで考えがいっちゃう、それくらいハッピーさが前面に出てきていて。
こういうの、やっぱり今のメインストリームな感覚じゃないかなあ、とは思うんですよ。同じハッピーなデートでも、現代だと宇多田ヒカル「travelling」みたいなほうがウケるわけです。この2曲、基本的な構図や遊び心とかけっこう似ているはずんですが、全然違いますよね?
ただ、こういう過剰なまでのパワフルなエンターテインメント精神は、一周回ってそろそろ再燃しそうな感じではありますが。まだちょっと早い&やりすぎかな?でもある意味「これぞドリカム!」な雰囲気がバッチリ出ているので嬉しくなりますし、潮流とか考えなくても十分通用する人たちなので、自由にやっていってほしいですね。
DREAMS COME TRUE
コメント(0)| Track back(0) | 2006年01月27日
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玉置成実「Get Wild」
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 | Get Wild
ソニーミュージックエンタテインメント 玉置成実, 小室みつ子, 小室哲哉, Satomi, DJ DRAGON, T2ya, Koma2 Kaz
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<「ハードボイルドな生き方」は、今はもうリアルではない>
小室哲哉が所属していたTM NETWORKの代表曲をカバー。…といっても、今の高校生くらいだとTMNはおろか小室哲哉もピンとこないって人もいるんだろうなあ。そういう自分もこの曲は「シティーハンター」再放送のイメージだったりする訳なんですけれども。
カバーの出来や意義の是非はまあとりあえず置くとして、ここでは『やさしさに甘えていたくはない』というハードボイルドさ漂う詞を、女性がカバーすることで生じる変化について考えてみましょう。
ワイルドな歌い方をしていた原曲は、歌い手の視点=詞の主人公の視点で、まさに詞世界そのものをリアルに、真剣に歌っていたわけです。しかし玉置成実は女性で、声にもそういう男っぽさはもちろんありません。この場合、歌い手は歌詞世界からちょっと離れます。「Get Wild」という曲の描いている物語を、外側から見て、物語のようにして歌っている、というようなイメージになります。
まあそもそも「カバー」というもの自体、その曲を再構築するわけなので、外側の視点を取り入れているってことではあります。ただ、ハードボイルドな詞世界をリアルなものとして歌っていた原曲と、ひとつの架空の物語として語るように歌われる今作では、詞世界の見せ方・取り出し方がまったく違ってきているわけです。
言ってしまえば、『やさしさに甘えていたくはない』というような生き方は、今の時代はリアルではない、「物語」の中のものだということかもしれません。今この曲は、宇都宮隆のようなキャラクターが歌うような雰囲気ではない、と。ある意味では修二と彰「青春アミーゴ」のように、「レトロさ」を売りとして原曲の雰囲気を利用したのかなあ、と考えたりします。
曲のアレンジは、原曲と同じく小室哲哉がやっているとのことで。…なんというか、サビの旋律が引き延ばされているのとか、リアレンジというよりはリミックスっぽいような。この長めの『Get wild and tough』、一回くらいならいいですが、何度もやられるとちょっと間伸び感が…リミックスならともかく。
玉置成実
コメント(0)| Track back(0) | 2006年01月03日
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東京事変「修羅場」
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<やや内にも向かった演奏、矛盾を含む強い感情、じわじわと迫りくる「情念」の空間>
相変わらずの林檎テイストが満々ですが、それでもやっぱりメンバーが変わったことによって、確実に音が変わっている部分があるなあと。今までの東京事変、「群青日和」や「遭難」とかは、とにかくわーっと各自突っ走る、衝動的な面が濃かったように感じていたのが、この曲ではそれがだいぶ抑えられている風だなあと。や、もちろん個人個人の音は相変わらず鋭いですし、お互いを刺激しあってもいるんですが、それがどどっと押し寄せるように迫ってくるのではなく、背後に潜ませにおわせている感じというか。
新メンバーの浮雲・伊澤一葉ご両人の顔見せの意図なのか、それぞれギター・キーボードソロが割り振られているんですけれども、明らかに感情がこもったプレイでありつつも、過剰さはないですよね。クールさ、クレバーさを感じさせるなと。次のアルバムが「大人(アダルト)」なのも、なるほどなあ…と。
まあ、そんなところもありつつ、椎名林檎の歌詞世界は相変わらずでありつつで、今回の曲は「情念」を強く感じさせるなあというのが率直な感想です。表にはそれほど出さないけれども、奥では強い感情が渦巻いている…みたいな。
そしてその「情念」は、「相手を好きになる/想い悩む・苦しむ」「相手を忘れる・失う/楽になる」の狭間で逡巡する感情…と読めるかなと。前二作までと同じく、アンビバレントを内包した思いですね。「貴方」を愛するが故に傷ついてしまう、逆に言えばそれだけ激しい自分の感情に振り回されていると見られます。
理性では『一層この侭通わないとて構わない』『揺れては末(おわり)』『是以上識りたくなどない』と、「貴方」から遠ざかろうとしている、あるいは自分自身に言い聞かせようとしているようです。しかし、本心では、そんなことはできないわけですね。『何方か(だれか)に会えば記憶を奪取まれよう(ぬすまれよう)/喉を使えば貴方が零れ出で溢れよう』…ここは、誰かに口を開けば「あなた」のことばかりを話してしまう、ということなのかなと。
今回は前二作に比べるとなかなか難解で、これ以上踏み込むともうそれは個人の主観に過ぎなくなりそうなので、ここまで。また他にも、心中の歌だとか、「貴方」には別の想い人がいるとか、そういう解釈もできるかなーと。そっちのほうが「修羅場」って感じですし。
ま、でも根本にあるのは「貴方」への想いが募りすぎて苦しんでいる、というところで間違いないかなと。シンプルな感情のはずなのに、どこまでも複雑に膨らみねじ曲がり混沌としていく胸の内、そういう「情念」を表現したいがために、椎名林檎の世界はこういう小難しい表現方法になるのかなあ、とちょっと思いました。
東京事変
椎名林檎
コメント(0)| Track back(0) | 2006年01月02日
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W「Missラブ探偵」
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<つんく歌謡テイストが抜けたさっぱりめの曲の上で、小悪魔的な恋のレクチャー>
さて、この前と前々回のリリース「愛の意味を教えて!」「恋のフーガ」はさっぱり聴いていないわけですが。
最近他のハロプロ勢もそういう流れが多いですが、今回つんくは完全にプロデュースから外れています。まあ、ちょっとさすがに枯渇してきた感はあったので仕方ないかなあと思う反面、やっぱり曲からつんく特有の歌謡曲的粘っこさが漂ってこなくて、それはちょっと寂しいです。
でも、曲そのものはよくできてるんじゃないかなと。楽曲も相性も稀に見るよさだった「ロボキッス」ほどではないにせよ、うまいなーと。
恋愛についてのレクチャーという形式をとっているわけですが、まずこの見せ方ですよね。この場合、自らの恋のドキドキを歌う、みたいなのがいわゆる普通の路線なわけです。そこを、「恋の相談を持ちかける女の子」にアドバイスをする(=これが「ラブ探偵」なんでしょうね)といった、Q&Aの回答役に回っていて。『観察と 冷静な分析を!!』なんても言ってますが、一歩引いた位置の目線なんですよね。
で、しかもアドバイスが「相手が貴方のことを見ている視線を感じるのよ!」です。面白いなー。さりげなさを装って「観察」しなさい、目が合ったらじっと見つめなさい、そんな周到かつ強気なスタンス。オトナなオンナ、を意識させますね(決して「大人な女」ではありませんよ?カタカナのニュアンスです)昨今流行っている「小悪魔」指南という感じなのかな。
ユニット自体が二人一組なので、片方が片方に相談している…という図を匂わせることもできますし、うまい見せ方だと思います。
まあ同世代以下の女の子への恋のテクニック指導、かつ大きいお友達にも小悪魔的な姿を見せることができる、お得な作戦です、という。
で、曲もなかなかよくできてます。つんく分は不足してるにせよ、メロディラインとかアレンジとか、なかなかいいんじゃないかなと。
とりあえず、立ち位置は定まってきている感じですね。それだけ他のソロの皆さんよりは条件的に恵まれてるし、大事にされている感もあるので、立派なアイドルとして育っていってほしいですね。
にしても、モー娘。時代は見分けつきづらかったですが、こうしてジャケ写見ると全然変わってきてますねー。
W
コメント(0)| Track back(0) | 2005年11月12日
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高橋瞳「evergreen」
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 | エヴァーグリーン
ソニーミュージックエンタテインメント 高橋瞳, 田中秀典, 十川知司, mavie, 安原兵衛
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<幼い日の思い出を叙情的に歌う、ちょっぴりストレート過ぎるボーカル>
デビュー作「僕たちの行方」はストレートなアニメオープニング的楽曲で、このままこの路線を続けていくもんだと思ったら、今回はいきなりのミディアムテンポで虚をつかれました。多角的に攻めていくつもりなんですねえ。なるほど。
で、これが案外悪くありません。ちょっとまっすぐ突き抜けすぎている感は相変わらずあってそれが情感を多少削いでいるものの、清涼感がある声なので聴き心地はいいし、フレッシュなティーンエイジの出会いと別れを描いた詞世界には合っていると思います。
『夕立に濡れた線路の上』みたいな情景は好みです。幼くて伝えられなかった恋と別れ、大切な思い出を抱えて再会を夢見る…ってこれ、同じく「キッズ・ウォー」シリーズのテーマでスマッシュヒットしたZONE「secret base〜君がくれたもの〜」のパターンじゃないっすか。そう考えてみるとコード進行もシャッフルの揺れたリズムも…ドラマに沿った内容なんでしょうか。共通点がかなり多いので、おそらく意識していないってことはないと思うのですが。
とりあえず声は、似たようなジャンルの中ではオリジナリティ持っているので、あとはそれをもっと使いこなしてほしいところです。ブレーン的にはけっこういい人が付いている雰囲気ありますし、移り変わりの激しいこの業界ですがゆっくり成長していってくれればと。
高橋瞳
コメント(0)| Track back(0) | 2005年10月09日
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Do As Infinity「TAO」
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 | TAO
エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ Do As Infinity, 川村サイコ, 亀田誠治
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<自らの解散にも重ね合わせるかのような、分かれていく旅路の歌>
デビュー6年目、通算20枚目のシングル…と思ったら、解散するのだそうです。この曲の発売時点では発表されていなかったのですが、ベストアルバムの発売、そしてこの曲の内容的に、すでに今作のリリース時点で解散は決まっていたんじゃないかな、という気がしますが、どうなのでしょうか。
というわけで、「別れ」の曲です。しかも恋愛ではなく、はっきりと『サラバ友よ』と言っているのが、いっそうユニット解散を指しているように感じられてきます。もしかすると、ゲーム「テイルズ オブ レジェンディア」のタイアップの関係もあるのかとも思いますが…
「TAO」とは中国語で「道」を意味するそうです。ふたつに分かれていく道、分かれていく旅路。それでも同じ空の下にいるんだ、ということを『きっと 僕等も/同じ雨に/打たれているのさ』と「雨」で表現するところに、独自のセンスを感じさせます。
曲としては、静かなメロからサビでふわっと舞い上がるような伸びにつながっていているのが心地よいですね。全体の雰囲気としては、遠くまではるばる続いていく、広い平原を思わせます。
Bメロの途中の転調がノーブルさを感じさせます。すっと新しい風が入るような響き。こういう辺り、テクニック的に優れたユニットだなあとつくづく。
Do As Infinity
コメント(0)| Track back(0) | 2005年09月25日
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